肺炎のときの食事と水分:回復を助けるポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺炎とは、肺の中に細菌やウイルスなどが入り込み、炎症を起こす病気です。肺は酸素を取り込み、二酸化炭素を出す働きがありますが、肺炎になるとこの働きが弱まり、咳や発熱、息苦しさなどの症状が現れます。
重要な事実
- 肺炎は、多くの場合、細菌やウイルスの感染によって起こります。
- 水分と栄養をしっかりとることが、回復の大きな助けになります。
- 手洗いやうがい、予防接種などの方法で、肺炎を予防できます。
肺炎はとてもありふれた病気で、日本でも毎年多くの人がかかります。特に冬から春にかけて増える傾向があります。
小さな子ども、お年寄り、持病のある方、免疫力が落ちている方はかかりやすくなります。ただし、健康な大人でもかかることがあります。
症状
- 呼吸がはなはだしく苦しく、息ができない
- 唇や顔の色が青白い、または紫色
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
- 脈が速くて弱い
- 何も飲み込めない、水分もとれない
- ⚠高熱が続いている
- ⚠せきが長引いている
- ⚠たんに血が混じっている
- ⚠胸の痛みが強い
- ⚠息苦しさがだんだん強くなっている
一般的な症状
- 咳が続く
- たんが出る
- 息苦しさ
- 胸の痛み
- 全身のだるさ
- 食欲がない
子供の症状
- 呼吸が速い、または苦しそう
- 胸の周りが息を吸うとへこむ
- ゼーゼーとした呼吸
- ぐったりしている
- ミルクや食事をまったくのまない
高齢者の症状
- 熱があまり出ないことがある
- ぼんやりする、元気がない
- 食欲が落ちる
- せきやたんが少ないこともある
- 急に動けなくなる
原因
主な原因
- 細菌(肺炎球菌など)による感染
- ウイルス(インフルエンザウイルスなど)による感染
- マイコプラズマという微生物による感染
- 真菌(カビ)による感染(まれ)
- 食べ物や唾液などが誤って気管に入ること(誤えん)で起こる場合
リスク要因
- 高齢であること
- 乳幼児であること
- たばこを吸うこと
- 喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器の病気
- 糖尿病、心臓病、腎臓病などの持病
- 免疫力の低下
- 栄養不足
- 誤えんしやすさ(飲み込む力の低下)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさがあり、日常生活に支障が出ている
- たんに血が混じっている
- 高熱が下がらない
- ぐったりしてつらい
定期受診を予約すべき場合:
- せきが2週間以上続く
- 熱が続いている、または何度も繰り返す
- 食欲が戻らず体力が落ちたと感じる
- 肺炎と診断された後、経過を確認してもらいたい
診断
医師は、まず症状の経過を詳しく聞き、聴診器で肺の音を確認します。さらに、血中酸素濃度を測ったり、胸部の画像検査や血液検査を行って診断します。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査
- 胸部CT検査(必要に応じて)
- 血液検査
- たんの検査(原因となる菌を調べます)
- パルスオキシメーターで酸素濃度を測る検査
診察で予想されること
診察では、いつからどんな症状が出たか、持病の有無、たばこを吸うか、などを聞かれます。呼吸の状態を確認するため、少し歩いてもらうこともあります。検査は短時間で終わることが多く、体への負担は大きくありません。
治療
肺炎の治療は、原因となる微生物を抑えることと、体の回復を助けることを目的とします。症状の重さや体の状態に応じて、自宅で治療する場合と、入院して治療する場合があります。
自宅でのセルフケア
- 体を休めて十分な睡眠をとる
- 水分をこまめに補給する(のどが渇いていなくても)
- 部屋の湿度を50〜60%に保つ
- たばこを吸わない(周りの人のたばこの煙も避ける)
- 栄養のある食事を、無理のない範囲でとる
- 医師の指示に従って、せきやたんを悪化させないようにする
医療治療
治療には、細菌を抑える抗菌薬(抗生物質)、炎症やせき、熱を和らげる薬などが使われます。ウイルスが原因の場合は、体の免疫が回復するのを待つこともあります。症状によっては、酸素吸入や点滴による水分・栄養補給、呼吸を楽にするための理学療法が行われます。薬の種類や使い方は、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
肺炎そのものに対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、胸の中に膿がたまる「膿胸」などの重い合併症が起きた場合は、膿を外に出す処置や手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
肺炎からの回復には時間がかかります。症状が良くなったように感じても、体の回復はゆっくりです。焦らず、医師と相談しながら、少しずつ日常の活動を戻していきましょう。疲れを感じたら休むことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- バランスのよい食事を心がける(たんぱく質やビタミンを十分に)
- 水分をこまめにとる
- 口の中を清潔に保つ
- 睡眠と休息を大切にする
- 手洗い・うがいを習慣にする
- 人混みや感染者の多い場所を避ける
食事と運動
回復期は体がエネルギーを消耗しているため、栄養補給が特に大切です。肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質、野菜や果物のビタミン、そしてご飯やパンなどのエネルギー源を、無理なくとりましょう。食欲がわかないときは、おかゆ、スープ、うどん、ヨーグルトなど食べやすいものから始めて、1回の量を減らし、1日に何回かに分けて食べると良いです。飲み込む力が弱くなっている場合は、とろみをつけた食事にすると安心です。水分は、お茶やスープ、果物などからも補給できます。運動については、医師の許可が出てから、散歩などの軽い運動から始め、無理をしないことが大切です。
精神的健康と心の健康
咳や息苦しさが続いたり、入院が長引いたりすると、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。これは珍しいことではありません。そのようなときは、家族や友人、医師や看護師に話してみましょう。話すだけでも気持ちが軽くなることがあります。
予防
肺炎は、多くの場合、予防が可能です。石けんを使った手洗いやうがい、バランスの良い食事、十分な休養、流行期のマスク着用が効果的です。また、飲み込む力が弱くなってきた方は、食事中の姿勢や食べ物の大きさに気をつけると誤えんを防げます。
ワクチン
日本では、高齢者や基礎疾患のある方を対象に、肺炎球菌ワクチンの定期接種があります。インフルエンザワクチンは、インフルエンザによる肺炎を防ぐのに役立ちます。ワクチンについても、医師に相談して決めましょう。
検診プログラム
症状がなくても、健康診断や人間ドックで胸部レントゲン検査を受けることができます。高齢の方や持病のある方は、定期的な健康診断をすすめます。
合併症
治療しない場合
- 肺炎の炎症が広がり重症化する
- 胸膜炎(肺を覆う膜の炎症)
- 膿胸(胸の中に膿がたまる)
- 敗血症(細菌が血液中に入り全身に炎症が広がる)
- 酸素不足で全身の臓器に負担がかかる
長期的な見通し
多くの方は、適切な治療と休養によって回復します。高齢の方や持病のある方は回復に時間がかかることもありますが、最近の医学の進歩で治療の選択肢は広がっています。焦らず、あなたのペースで回復を目指しましょう。
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最終更新: 2026年7月31日
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