Polymyalgia rheumatica
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
リウマチ性多発筋痛症(略してPMR)は、肩や腰、太ももなど体の中心に近い部分の筋肉に痛みやこわばりが現れる病気です。炎症(体の中で起こる反応)によって症状が出ます。命にかかわることはほとんどありませんが、適切な治療で症状は良くなります。
重要な事実
- 60歳以上の方に多く見られます
- 朝のこわばりが特徴的で、動き始めがつらいです
- 治療には炎症を抑える薬が使われ、多くの場合効果があります
- この病気は自己免疫疾患の一種と考えられています(自分の免疫が自分を攻撃してしまう状態)
比較的多く見られる病気で、特に北欧や北米の高齢者に多いとされています。日本でも患者さんはいらっしゃいます。
主に60歳以上の方、特に70代前後で発症することが多いです。女性の方が男性よりやや多くかかります。子どもにはほとんど見られません。
症状
- 突然の視力低下や見え方の異常
- 強い頭痛、特にこめかみ(側頭部)の痛み
- あごや舌を動かすときの強い痛み、しびれ
- ⚠数日から1週間続く強い痛みやこわばりで日常生活に支障が出ている
- ⚠発熱が続く、体重が急に減った
- ⚠治療を始めているのに症状が良くならない、または悪化している
一般的な症状
- 両肩や首、腰、太ももの付け根などに起こる痛みとこわばり(特に朝に強く、30分以上続く)
- 関節ではなく、筋肉の周りの部分が痛むことが多い
- 体がだるい、疲れやすい
- 微熱や食欲不振、体重減少
子供の症状
- この病気はほとんど子どもの発症はありません。もし子どもに似た症状があれば、別の病気が考えられます。
高齢者の症状
- 高齢者では症状が強く出ることがあり、寝返りが打てない、腕を上げられないなどの支障が出ることがあります
- 急に症状が悪化して、動けなくなることもあります
- 巨細胞性動脈炎という目の症状や頭痛を伴うことがあるため注意が必要です(別の病気ですが合併しやすい)
原因
主な原因
- はっきりした原因はまだわかっていませんが、免疫システムの異常が関係していると考えられています
- 遺伝的な要因と環境的な要因(感染など)が重なって発症するのではないかと言われています
リスク要因
- 年齢:60歳以上であること
- 女性であること
- 特定の遺伝子(HLA-DR4など)を持っていること
- 欧州や北米での居住歴(ただし日本人でも発症します)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 両肩や太ももなどの痛みとこわばりが2週間以上続く
- 朝起きてから30分以上体が動かしにくい
- 全身のだるさや発熱を伴う
定期受診を予約すべき場合:
- 症状が軽いけれども気になる場合
- 疲れやすさや微熱が続く場合
- 高齢のご家族の様子が変わってきたと感じた場合
診断
医師が問診と診察を行い、血液検査や炎症の程度を調べて診断します。他の病気(関節リウマチや感染症など)を除外することも大切です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:炎症を示すCRPや赤沈(ESR)の値が高くなることが多い
- 画像検査:エコーやMRIで関節や筋肉の周りの炎症を確認することもある
- 他の病気を調べる検査:関節リウマチの抗体検査など
診察で予想されること
診断には少し時間がかかる場合があります。炎症の数値や症状の経過を見ながら慎重に判断されます。治療を始める前に、動脈炎の合併がないか目の診察や頭部の検査が行われることもあります。
治療
治療の中心は炎症を抑える薬で、多くの場合、少量のステロイド(副腎皮質ステロイド)という種類の薬が使われます。症状はすぐに改善することが多いですが、再発を防ぐためにゆっくりと減らしながら、数か月から1年以上続けることがあります。
自宅でのセルフケア
- 朝のこわばりが強いときは、ゆっくりと体を動かすストレッチを行う
- 痛みが強いときは無理をせず安静にする
- 温かいシャワーや入浴で筋肉をほぐす
- 体を冷やさないようにする
医療治療
医師は炎症を抑える薬(ステロイド系の治療薬)を処方することが一般的です。最初は1日1回服用し、症状が良くなったら徐々に減量していきます。治療期間は個人差があり、半年から2年程度かかることもあります。また、再発を防ぐために別の免疫調整薬が使われる場合もあります。必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
この病気に対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、合併症として巨細胞性動脈炎が疑われる場合、動脈の組織を取って調べる(生検)ために小さな手術が行われることがあります。
この病気と共に生きる
治療を続けながら、症状の波に合わせて生活リズムを整えることが大切です。朝のこわばりが強い時期は、ゆっくり家事をする、休憩をこまめにとるなどの工夫をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 無理のない範囲で軽い運動(ウォーキングや水中歩行)を続ける
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- ストレスをためないようにリラックスする時間を作る
- 禁煙(喫煙は炎症を悪化させる可能性があります)
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけてください。炎症を抑える効果が期待される魚(特に青魚)や野菜、果物を積極的に摂ると良いでしょう。過度な運動は避け、関節や筋肉に負担が少ないストレッチや軽い筋トレを医師と相談しながら行いましょう。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みやこわばりは気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。治療で症状は良くなるため希望を持ってください。もし気分が沈んだり、日常生活を楽しめなくなったら医師やカウンセラーに相談しましょう。
予防
現在のところ、確実に予防する方法はわかっていません。しかし、健康的な生活習慣(適度な運動、禁煙、バランスの良い食事)を心がけることで免疫のバランスを整えることが期待できます。
ワクチン
この病気を予防するワクチンはありません。ただし、治療で免疫を抑える薬を使う場合、感染症にかかりやすくなるため、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種を医師と相談すると良いでしょう。
検診プログラム
特に定期的なスクリーニング検査は推奨されていません。しかし、60歳以上の方で原因不明の肩や腰のこわばりが続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 症状が続き、日常生活が大きく制限される(寝たきりになるリスク)
- 巨細胞性動脈炎を合併するリスクが高まる(視力障害や脳卒中などの重い合併症につながる可能性)
- 抑うつ状態や体力低下を招く
長期的な見通し
適切な治療を始めれば、多くの方は数日から数週間で症状が大きく改善し、普段の生活に戻れます。治療期間は人によって異なりますが、ゆっくりと薬を減らしていくことで再発を防げます。怖がりすぎず、医師と一緒に治療を続けていきましょう。
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最終更新: 2026年7月9日
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