プラダーウィリ症候群
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
プラダーウィリ症候群(PWS)は、生まれつきの遺伝子の変化によって起こるまれな病気です。食欲を抑える働きが弱く、強い空腹感により体重が増えやすくなるほか、筋肉の発達や成長、学びにも影響が出ることがあります。
重要な事実
- 多くの場合、遺伝ではなく、妊娠中に偶然起こる遺伝子の変化が原因です。
- 乳児期は飲み込みが弱く体重が増えにくい一方、幼児期以降は強い食欲があらわれます。
- 早くから適切な支援や環境を整えることで、健康面や生活の質を大きく改善できます。
まれな病気で、およそ1万人から3万人に1人の割合で生まれるとされています。日本では厚生労働省の指定難病に指定されています。
男の子と女の子のどちらにも、世界中のどの地域でも見られる病気です。生まれた時から体の中に原因があります。
症状
- 急に激しい腹痛が現れた(食べすぎによる胃の破裂などの危険があるため)
- 呼吸が苦しそう、息ができない
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- のどに食べ物が詰まり、息ができない
- ⚠繰り返す嘔吐や下痢
- ⚠高熱が続く
- ⚠極端に元気がない、ぐったりしている
- ⚠胸の痛みを訴える
一般的な症状
- 乳児の頃の筋力の弱さ(ぐにゃぐにゃする、吸う力が弱い)
- 乳児期の食べにくさや体重の増えにくさ
- 幼児期以降の強い空腹感と肥満
- 身長が低い、手足が小さい
- 言葉や運動の発達の遅れ
- 気持ちの切り替えが苦手、こだわりが強いなどの行動面の特徴
子供の症状
- 強い食欲をコントロールしにくい
- 学習や運動面の遅れ
- 睡眠時無呼吸(眠っている間に息が止まりやすい)
- 皮膚をかきむしる行動
- 背骨のゆがみ(側弯症)がみられることがある
高齢者の症状
- 肥満による合併症(糖尿病、高血圧、心臓病など)
- 睡眠時無呼吸の悪化
- 関節の痛みや動きにくさ
- 骨密度の低下(骨粗しょう症)
- 生活習慣病のリスクが高まる
原因
主な原因
- 15番染色体にある遺伝子の一部が失われているため
- まれに、父親由来の染色体が両方ともない場合(母性片親性ダイソミー)
- 多くの場合、家族歴はなく、偶然起こる変化が原因です
リスク要因
- 特別な危険因子は知られていません。誰にでも起こりうる遺伝子の変化が原因です。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛が続く
- 繰り返す嘔吐や下痢
- 高熱が続く
- 胸の痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 乳児の飲み込みが弱く、体重が増えない
- 幼児期以降、異常に食欲が強い
- 発達の遅れや行動の問題で悩んでいる
- 定期的な健康診断で肥満や生活習慣病の相談をしたい
診断
医師が症状と体の特徴を確認した上で、血液を使って遺伝子検査を行い、診断を確定します。
行われる可能性のある検査
- 遺伝子検査(メチル化テスト)
- 染色体検査
- 血液検査(ホルモンや代謝の状態を確認)
- 成長曲線の記録や食欲・行動の評価
診察で予想されること
複数の専門家(小児科、内分泌科、栄養士、理学療法士など)のチームで支援が行われます。診断には時間がかかることもありますが、結果を踏まえて治療計画を立てます。
治療
プラダーウィリ症候群を根本的に治す方法はまだありませんが、早くから対処を行うことで症状や合併症を抑え、生活の質を高めることができます。
自宅でのセルフケア
- 食べ物の管理を徹底する(鍵のかかる場所に保管し、少量ずつ提供する)
- 食事の時間と量を決め、家族全員が同じルールで見守る
- 定期的な運動の習慣をつくる
- 行動面のサポートとして、見通しの立てやすい生活リズムを作る
医療治療
主な治療は、成長や体組成を改善するための成長ホルモン療法です。これにより、身長の伸びや筋肉量の維持、食欲調整が期待されます。また、肥満から生じる糖尿病や高血圧などの合併症には、生活習慣の改善に加え、医師が適切と判断した薬剤が使われることがあります。いずれも医師の指示のもとで行う必要があります。
手術が検討される場合
手術が必要になる場合は、背骨の強いゆがみ(側弯症)や、胃や腸の緊急の問題(過食による胃破裂など)への対応です。通常の経過では、手術が最初の治療になることはありません。
この病気と共に生きる
日々の生活では、食べ物の管理が最も大切です。空腹感を強く感じるため、食事以外の食べ物に触れない工夫が必要です。また、行動や気持ちのサポートも欠かせません。
生活習慣のアドバイス
- 食料品を手の届かない場所に保管する
- 食事の記録をつける
- 毎日決まった時間に軽い運動をする
- 睡眠時無呼吸がある場合は、医師に相談し、適切な対応を取る
食事と運動
エネルギーを抑えたバランスのよい食事と、毎日の適度な運動が基本です。管理栄養士の指導を受けながら、本人に合った食事計画を立てることが長期的な健康維持につながります。
精神的健康と心の健康
本人も家族も、食欲をコントロールできないもどかしさや将来への不安を感じることがあります。周囲の理解と支援が大切です。心理的なサポートを受けることで、気持ちの負担を減らせます。もし強い不安や抑うつで危険を感じる場合は、一人で抱えず、119番や周りの人に助けを求めてください。
予防
遺伝子の変化による病気のため、予防することはできません。ただし、早期診断と適切な管理で合併症を予防し、健康を守ることができます。
ワクチン
この病気に特有のワクチンはありませんが、一般的な予防接種は感染症から体を守るために大切です。かかりつけ医に相談して受けるようにしましょう。
検診プログラム
新生児の段階で全員に行われるスクリーニング検査は、現時点ではありません。ただし、家族歴がある場合などは、遺伝カウンセリングを受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 重度の肥満
- 2型糖尿病
- 心臓や血管の病気
- 睡眠時無呼吸症候群の悪化
- 骨や関節の問題
- 社会生活への参加が難しくなること
長期的な見通し
適切な治療と生活環境が整えば、多くの人が学校や職場で活躍し、自分らしい生活を送ることができます。焦らず、周囲と協力しながら一歩ずつ進んでいくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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