Prolactinoma
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
プロラクチノーマは、脳の下垂体(脳の底にある小さな器官)にできる、良性の腫瘍(かたまり)です。この腫瘍はプロラクチンというホルモンを多く作り出し、月経や性機能などに影響を与えることがあります。
重要な事実
- ほとんどが良性(がんではない)で、ゆっくり大きくなります。
- 女性に多く見つかることがありますが、男性でも発症します。
- 治療により症状は改善しやすく、多くの人が普通の生活を送れます。
プロラクチノーマは下垂体にできる腫瘍の中で最も多いタイプですが、全体の人口から見ると珍しい病気です。100万人あたり年間約10~20人程度が見つかるとされています。
20代から40代の女性に多いとされていますが、男性や高齢者、子どもでも発症することがあります。女性の方が早期に症状が出やすいため、見つかりやすいという面もあります。
症状
- 突然の激しい頭痛
- 急に視力が落ちたり、視野が半分以上見えなくなった
- 意識がもうろうとする
- 顔や手足の片側が動かしにくい、言葉が出にくい(脳卒中の可能性)
- ⚠数日以上続く新しい頭痛
- ⚠視野が狭くなった感じがする
- ⚠吐き気や嘔吐を伴う頭痛
一般的な症状
- 月経が不規則になる、または止まる(女性)
- 乳房から母乳のような分泌物が出る(女性でも男性でも)
- 妊娠していないのに母乳が出る(女性)
- 性欲の低下や勃起障害(男性)
- 不妊(子どもができにくい)
- 頭痛、視野が狭くなる・ぼやける(腫瘍が大きい場合)
子供の症状
- 思春期の遅れ
- 身長の伸びが遅い
- 乳房の腫れ(男女とも)
- 頭痛や視力の問題
高齢者の症状
- 症状がはっきりしないことがある
- 性欲低下や疲れやすさを年齢のせいだと思いがち
- 視力低下や頭痛が見られることも
原因
主な原因
- はっきりした原因はわかっていません。
- 下垂体の細胞が何らかの理由で腫瘍のように増えてしまうと考えられています。
- まれに遺伝性の病気(多発性内分泌腫瘍症など)が関係することがあります。
リスク要因
- 女性であること(特に20~50歳)
- 家族に下垂体腫瘍の人がいる場合(遺伝性が疑われる)
- 一部の遺伝性疾患(多発性内分泌腫瘍症1型など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急な視力低下や視野の異常がある
- 激しい頭痛が突然始まった
- 意識障害がある
定期受診を予約すべき場合:
- 月経不順や止まった状態が続く
- 理由もなく母乳のような分泌物が出る
- 性欲の低下や勃起に問題がある
- なかなか子どもができない
- 慢性的な頭痛や視野の異常を感じる
診断
血液検査でプロラクチンの値を調べ、必要に応じてMRI(画像検査)で下垂体の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(プロラクチン値、他のホルモン値もチェック)
- MRI検査(脳の詳しい画像を撮り、腫瘍の有無や大きさを確認)
- 視野検査(腫瘍が視神経を圧迫していないか調べる)
診察で予想されること
まずは内科や脳神経外科を受診します。血液検査とMRIは痛みがなく、安心して受けられます。結果が出るまでに数日から1~2週間かかる場合があります。医師が結果をやさしく説明してくれます。
治療
プロラクチノーマの治療は主に薬で行います。薬でプロラクチンの値を正常に戻し、腫瘍を小さくすることができます。治療は長期間にわたることがありますが、多くの場合、症状は改善します。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従い、定期的に血液検査やMRIを受ける
- 急な頭痛や視力の変化があったらすぐに医師に連絡する
- ストレスをためすぎないようにする
- 妊娠を希望する場合は事前に医師と相談する
医療治療
第一選択は薬物療法です。プロラクチンの分泌を抑える薬(経口薬)を服用します。薬の種類や量は患者さんの状態に合わせて医師が決めます。副作用として吐き気やめまいが出ることがありますが、多くの場合は時間とともに落ち着きます。
手術が検討される場合
薬で効果が十分でない場合や、腫瘍が大きくて視力に影響を与える場合、手術で腫瘍を摘出することがあります。手術は鼻の穴から行うことが多く、体への負担が比較的少ない方法です。
この病気と共に生きる
プロラクチノーマと診断されても、治療を続ければ多くの人が普段と変わらない生活を送れます。定期的な通院と検査が大切です。妊娠を考えている場合は、医師と計画を立てましょう。
生活習慣のアドバイス
- 処方された薬をきちんと飲み続ける
- 定期的に受診し、血液検査とMRIを受ける
- 頭痛や視野の変化に注意する
- 規則正しい生活を心がけ、睡眠を十分にとる
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事と適度な運動は全身の健康に役立ちます。骨粗しょう症のリスクを減らすため、カルシウムやビタミンDを十分にとることも勧められます。
精神的健康と心の健康
ホルモンのバランスが崩れると気分の変動や不安を感じることがあります。また、不妊や性機能の問題で精神的な負担を感じる方もいます。そうした気持ちは自然なことで、一人で抱え込まずに医師やカウンセラーに相談してください。
予防
プロラクチノーマを確実に予防する方法は今のところありません。早期発見と治療が症状の進行を防ぎます。
ワクチン
該当なし
検診プログラム
特定の遺伝性疾患が疑われる場合を除き、症状のない人が定期検診でプロラクチノーマを調べることは推奨されていません。気になる症状があれば早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 視力障害や視野欠損(腫瘍が大きくなった場合)
- 骨粗しょう症(プロラクチンが高いと骨密度が減る)
- 不妊や性機能障害の長期化
- 下垂体の他のホルモン分泌にも影響が出ることがある
長期的な見通し
プロラクチノーマは治療によく反応する病気です。ほとんどの場合、薬で症状が改善し、腫瘍も小さくなります。早期に発見して治療すれば、普通の生活を送ることができます。治療を続ければ、妊娠や出産も多くの方で可能です。希望を持って前向きに取り組んでいきましょう。
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最終更新: 2026年7月16日
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