乾癬(かんせん)の合併症について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬は、皮膚が赤くなり、その上に白や銀色のうろこ状の皮ふ(鱗屑)ができる慢性的な皮膚の病気です。免疫の働きに異常が起こり、皮膚の生まれ変わりが速くなりすぎることが原因の一つと考えられています。人にうつることはありません。
重要な事実
- 乾癬は人にうつる病気ではありません。
- 皮膚の症状だけでなく、関節や全身の健康にも影響をおよぼすことがあります。
- 適切な治療とケアを続けることで、症状を抑え、日常生活を長く続けることができます。
乾癬は日本でも比較的多くの人が経験する皮膚の病気です。数百人から千人に1人程度の割合で見られるという報告があり、実際には軽い症状で医療機関を受診しない人もいるため、さらに多い可能性もあります。
乾癬はどの年齢でも発症する可能性がありますが、特に30代から50代に多く見られます。子どもや高齢者でも発症することがあり、家族に乾癬の人がいる場合は発症のリスクが高くなるとされています。
症状
- 全身の皮膚が急に広い範囲で赤くなり、熱を持って強い痛みがある場合は、ためらわず119番に電話してください。
- 全身に小さな膿のぶつぶつが多数現れ、発熱や寒気をともなう場合は、119番に電話してください。
- 関節が急に激しく腫れて動かせない、または強い痛みがある場合も、119番に電話してください。
- 息苦しさ、胸の痛み、意識の変化など、命にかかわる可能性のある症状がある場合は、ただちに119番に電話してください。
- ⚠発疹や赤みが急速に広がっている場合は、その日のうちに皮膚科を受診してください。
- ⚠皮膚から膿や浸出液が出ている、悪臭がある場合は、感染症の可能性があるため早めに受診してください。
- ⚠関節の痛みや腫れが続き、日常動作がしづらい場合は、その日のうちに医療機関に相談してください。
- ⚠強いかゆみや痛みで眠れない、仕事や学校に行けないなど、日常生活に大きな影響がある場合も早めの受診が必要です。
一般的な症状
- 皮膚に赤みのある盛り上がった発疹ができる
- その部分に白や銀色のうろこ状のかさぶた(鱗屑)がつく
- かゆみや痛み、ひび割れ、出血をともなうことがある
- 爪が厚くなったり、小さなへこみができたりする
- 関節の腫れ、こわばり、痛みが現れることがある(乾癬性関節炎の可能性)
子供の症状
- 発疹が小さく、皮膚のしわや頭皮、顔などにできやすい
- かゆみが強く、夜よく眠れないことがある
- 見た目に関する悩みから、学校でストレスを感じることがある
高齢者の症状
- 皮膚が薄くなり乾燥しているため、ひび割れや出血を起こしやすい
- 傷口からの感染症のリスクが高まりやすい
- 高血圧や糖尿病など、ほかの病気をあわせ持つことが多く、治療の選択で注意が必要になる
原因
主な原因
- 免疫の異常:体を守る免疫細胞が、自分の皮膚の細胞を「敵」とみなして攻撃してしまう
- 遺伝的な要因:家族に乾癬の人がいる場合、発症しやすいことが知られている
- 誘因:ストレス、感染症(特にのどの感染)、皮膚のけがやかき傷、ある種の薬、喫煙、過剰な飲酒などが症状のきっかけになることがある
リスク要因
- 家族歴がある
- 慢性的なストレスを抱えている
- 感染症にかかったことがある
- 皮膚に傷や刺激を繰り返す
- 喫煙している
- お酒をたくさん飲む
- 肥満またはメタボリックシンドロームがある
- 一部の薬を使用している(自己判断でやめず、医師に相談すること)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発疹が急に広がり、強い赤みや腫れ、痛みがある
- 皮膚から膿が出る、じくじくする、悪臭がある
- 関節が腫れて痛み、動かしにくい
- 発熱をともなう広範囲の皮膚症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 赤みやかゆみをともなう発疹が何週間も続いている
- 保湿度などで肌をケアしても症状がよくならない
- 爪の変化や関節のこわばりに気づいた
- すでに乾癬の治療中で、定期的なフォローアップを受けたい
診断
乾癬の診断は、皮膚科の医師が皮膚や爪、関節の状態を直接診て、症状の経過や家族歴、生活状況を詳しく聞くことによって行われます。必要に応じて検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる皮膚生検
- 炎症やほかの病気の可能性を調べる血液検査
- 関節の痛みや腫れがある場合のレントゲン・超音波検査
- 高血圧や糖尿病などの合併症を調べる血圧・血糖検査
診察で予想されること
診察では、発疹が現れた時期、かゆみや痛みの程度、過去の病気、使っている薬、飲酒や喫煙の習慣、仕事や家庭でのストレスなどについて質問されます。診察や検査はそれほど時間がかからず、痛みをともなう検査もまれです。診断結果に基づいて、治療の選択肢や生活上の注意点が説明されます。
治療
乾癬の治療は、皮膚症状を抑えるだけでなく、関節炎や心血管疾患などの合併症を予防することも目指します。症状の範囲や重症度、年齢、生活スタイルなどを考慮して、皮膚科医と相談しながら治療方針を決めます。現在では治療の選択肢が多く、多くの方が症状を良好にコントロールできています。
自宅でのセルフケア
- 皮膚を強くこすらず、ぬるま湯でやさしく洗う
- 入浴後はすぐに保湿剤を塗り、皮膚の乾燥を防ぐ
- かゆいときは、かきむしらずに冷たいタオルで冷やすなど工夫する
- 刺激の少ない肌着(綿など)を選ぶ
- 爪を短く切り、かき傷による感染を防ぐ
医療治療
乾癬の治療には、皮膚に塗る外用薬、光線療法(光を当てて症状を改善する治療)、内服薬、注射液などがあります。重症の場合や関節の症状が強い場合には、免疫の働きを調整する薬が使われることもあります。どの治療も医師の処方と説明に従って行い、自己判断でやめたり量を変えたりしないことが大切です。
手術が検討される場合
乾癬そのものに対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、乾癬性関節炎が進行して関節の変形や機能障害が強い場合には、整形外科の医師と検討することがあります。
この病気と共に生きる
乾癬はよくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。毎日のスキンケアや処方された治療を続けるとともに、疲れやストレスをためないよう、生活のリズムを整えることが大切です。症状が落ち着いていても定期的に受診し、変化があればすぐに伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- ストレスをためない(十分な睡眠、趣味、リラックス法を取り入れる)
- 禁煙を検討する(喫煙は乾癬の悪化や合併症のリスクを高めます)
- アルコールは適量にとどめ、できれば控えめにする
- 皮膚に傷をつけないよう注意する(引っかき傷、日焼け、摩擦など)
- 規則正しい生活を心がけ、感染症予防に努める
食事と運動
バランスの良い食事(野菜、果物、魚などをバランスよく)を心がけ、極端な食事制限は避けましょう。定期的な運動は体重管理やストレス解消に役立ちますが、関節に負担がかかる激しい運動より、ウォーキングや水中運動など無理のない範囲で行うのがおすすめです。肥満は乾癬を悪化させる可能性があるため、理想体重の維持を目標にしましょう。
精神的健康と心の健康
乾癬は見た目に現れるため、「人に見られるのがつらい」「かゆくて集中できない」など、心理的な負担を感じることは自然なことです。気分が落ち込みやすくなったり、不安が強くなったりすることもあります。「生きるのがつらい」と感じる場合は、一人で抱え込まず、家族や友人、医師、カウンセラーに相談してください。また、自治体の相談窓口や精神保健の専門機関を利用することもできます。緊急時はためらわず119番に連絡してください。
予防
乾癬そのものを完全に予防する方法はまだありません。しかし、ストレスや感染、皮膚のトラブル、喫煙・飲酒などの誘因をできるだけ避け、健康的な生活習慣を保つことは、発症や悪化のリスクを下げる可能性があります。
ワクチン
感染症は乾癬の悪化要因となることがあるため、インフルエンザなどの一般的な予防接種は検討に値します。ただし、使用している治療によっては接種できない種類のワクチンもあるため、必ず主治医に相談してください。
検診プログラム
乾癬があると、関節炎、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患などの合併症リスクが高まるといわれています。皮膚科の治療とあわせて、かかりつけ医で定期的に血圧や血糖、血液中の脂質などをチェックすることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 乾癬性関節炎:関節が腫れて痛み、こわばる。進行すると関節の破壊や変形をともなうことがある
- 皮膚感染症:ひび割れやかき傷から細菌が入り、とびひや毛包炎などを起こしやすくなる
- 紅皮症:全身の皮膚が広く赤くなり、発熱や脱水をきたす重い状態
- 汎発性膿疱性乾癬:全身に膿疱ができ、発熱や強い倦怠感をともなう重い状態
- メタボリックシンドローム:高血圧、高血糖、脂質異常症などのリスクが高まる
- 心血管疾患:動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることがある
- うつ病・不安障害:見た目や慢性の症状による心理的負担から発症リスクが高くなることがある
長期的な見通し
乾癬は長く付き合っていく病気ですが、治療法の進歩により、多くの方が症状をうまくコントロールし、活動的な生活を続けています。合併症が心配な場合も、早めに気づいて適切な対処をすればリスクを減らせます。皮膚科を中心とした医療チームとともに、無理なく前向きに治療を続けていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。