乾癬の再燃(フレアアップ)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬は、皮膚の細胞が通常より速く増えすぎてしまうことでできる慢性の炎症性皮膚疾患です。赤い発疹や銀白色の鱗屑(うろこ状のかさぶた)が現れます。再燃(フレアアップ)とは、症状が落ち着いていたのに急に悪化する時期のことです。
重要な事実
- 乾癬は人にうつる病気ではありません。
- 皮膚の症状だけでなく、爪や関節に影響をおよぼすことがあります。
- 再燃はストレスや感染症などの誘因によって起こりやすくなります。
乾癬は比較的よく見られる皮膚疾患で、日本人の約0.3~1%にみられるという報告があります。近年は患者さんが増えている傾向にあります。
すべての年齢で発症する可能性がありますが、多くは20代から30代で初めて症状が現れます。男女差はあまりありません。家族に乾癬の人がいると、少し発症リスクが高まります。
症状
- 全身の皮膚の広い範囲が赤くなり、腫れや痛みを伴う(全身性紅皮症)
- 皮膚に水ぶくれが多発し、発熱や悪寒を伴う(膿疱性乾癬)
- 突然、広範囲の皮膚症状と強い全身症状(発熱、倦怠感など)が現れた
- ⚠発疹やかゆみが急速に広がっている
- ⚠強い痛みやかゆみのために眠れない、または日常生活に支障がある
- ⚠関節の強い腫れ・痛み・こわばりが続いている
一般的な症状
- 境界がはっきりした赤い発疹(ひじやひざ、頭皮、腰まわりにできやすい)
- 銀白色の鱗屑(フケやうろこのように見えるカサカサした皮膚)
- かゆみや痛み、皮膚のひび割れ
- 爪が厚くなったり、小さなくぼみができる
- 関節の腫れやこわばり(乾癬性関節炎)
子供の症状
- 乳児では、おむつかぶれのように見える紅斑がおしりや太ももに現れることがあります。
- 年長児では、頭皮やひじ・ひざに赤い発疹とカサカサした鱗屑がみられます。
- かゆみが強く、掻きすぎることで出血しやすくなります。
高齢者の症状
- 高齢者は皮膚が薄くもろくなっているため、発疹が切れやすく出血しやすいです。
- 背中の中央部や膝の裏側など、自分では見えにくい場所にも症状が出ることがあります。
- ほかの病気で複数の薬を飲んでいる場合、乾癬の治療薬との相互作用に注意が必要です。
原因
主な原因
- 免疫システムに異常が生じ、自分の皮膚細胞を攻撃してしまうことが原因と考えられています。
- 遺伝的な要素と環境要因が重なったときに発症しやすくなります。
- 再燃の引き金として、ストレス、感染症(特にのど風邪)、皮膚への刺激や外傷、乾燥した季節(冬)、飲酒などがあります。
リスク要因
- 家族に乾癬の人がいる
- ストレスの多い生活を送っている
- 喫煙や飲酒の習慣がある
- 肥満傾向にある
- 特定の処方薬を服用している(薬の種類によっては皮膚症状を引き起こすことがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚の広い範囲が急に赤くなり、発熱や強い痛みを伴う場合
- 関節の腫れや痛みで体を動かしにくい場合
定期受診を予約すべき場合:
- 気になる発疹が続いているが、急に悪化しているわけではない場合
- 市販の保湿剤などで様子を見ても改善しない場合
- 治療をしているが症状のコントロールが難しい場合
診断
乾癬の診断は、おもに皮膚の見た目と問診で行われます。発疹の形や広がり、爪や関節の状態を医師が確認します。
行われる可能性のある検査
- 視診(皮膚の状態を目で確認します)
- 血液検査(炎症の度合いや全身状態を調べます)
- 皮膚生検(必要な場合、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べます)
診察で予想されること
初診では、症状がいつからあるか、どこに広がっているか、かゆみや痛みの程度、過去の治療歴、最近のストレスや生活習慣などについて質問されます。診断がついたら、症状の重症度に合わせて治療方針の説明を受けます。気になることはその場でどんどん質問しましょう。
治療
乾癬は「付き合っていく」病気です。治療の目標は、症状を抑えて再燃を減らし、普段の生活を快適に過ごせるようにすることです。症状の程度に応じて、外用療法(塗り薬)、光線療法、内服療法(飲み薬)、注射による治療(生物学的製剤)などが単独または組み合わせて行われます。治療は長期間続くことが多いため、医師と相談しながら自分に合った方法を見つけることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 入浴後はすぐに保湿剤を塗り、皮膚をしっとりと保つ。
- 皮膚を掻きすぎないように爪を短く切り、必要ならかゆみ止めの冷却シートなどを使用する。
- 刺激の少ない石けんや入浴剤を選び、ぬるめのお湯で長湯をしない。
- 禁煙し、お酒はほどほどにする。
- ストレスをため込まないよう、散歩や音楽など自分なりのリフレッシュ方法を持つ。
医療治療
薬を使った治療には、皮膚に直接塗る外用薬、紫外線を利用する光線療法、全身に作用する内服薬や注射薬があります。最近では発症の仕組みに直接働きかける治療薬(生物学的製剤)も増え、従来より高い効果が期待できます。どの治療が合うかは症状の範囲や重症度、生活スタイルによって異なるため、医師とよく相談して決めます。自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従いましょう。
手術が検討される場合
乾癬そのものに対して手術が行われることはほとんどありません。ただし、関節の変形が進んだ場合には整形外科的な治療が必要になることもあります。
この病気と共に生きる
毎日のスキンケアで「刺激を避け、保湿を欠かさない」を基本にしましょう。乾癬の症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。うまく付き合っていくために、自分の体調や気持ちの変化を記録して、再燃の誘因をみつけると対策が立てやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 喫煙をしている人は禁煙を目指す。
- アルコールは適量までにする(特にビールなどの冷たい飲み物は冬に悪化させやすい注意も)。
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない。
- ストレスを発散する趣味や運動を取り入れる。
- 冬場は部屋の湿度を保ち、保温と保湿を徹底する。
食事と運動
特定の食品で乾癬が治るというエビデンスは十分ではありませんが、魚、野菜、果物、全粒穀物を中心としたバランスのよい食事は、炎症を抑えるのに役立つと言われています。運動はストレス解消と体重管理に効果的です。関節に痛みがある場合は、負担の少ないウォーキングや水泳などを選びましょう。
精神的健康と心の健康
見た目に症状が現れるため、「人にどう思われるだろう」と不安に感じたり、気分が落ち込んだりすることもあります。ストレスは再燃のきっかけになるため、自分の気持ちを言葉に出すことも大切です。つらい時は医師や看護師、心理の専門家に相談してください。
予防
乾癬そのものを完全に予防することはできませんが、再燃を避けるためにできることはたくさんあります。自分の誘因(ストレス、睡眠不足、感染症、乾燥など)を見つけて、それを避けるようにすることで、悪化のリスクを下げられます。
ワクチン
皮膚の乾癬そのものを予防するワクチンはありません。ただし、感染症をきっかけに乾癬が悪化することがあるため、インフルエンザや肺炎球菌などの定期接種をきちんと受けておくことは勧められています。
検診プログラム
乾癬は皮膚だけの病気ではなく、高血圧や糖尿病、脂質異常症、関節の障害など、全身の健康とも関係しています。定期的な健康診断に加えて、皮膚科で関節の症状についてチェックしてもらうことも大切です。
合併症
治療しない場合
- 皮膚のバリア機能が低下して、細菌感染症(とびひなど)を起こしやすくなります。
- 乾癬性関節炎になると、関節の痛みや腫れが続き、放置すると変形することがあります。
- 乾癬を長く放置していると、心血管疾患や糖尿病などの合併症のリスクが高まるという報告があります。
長期的な見通し
乾癬は完全に根治する病気ではありませんが、多くの方で症状を上手にコントロールできるようになっています。特に近年の治療法の進歩により、皮疹をほぼきれいに保てる方も増えています。あきらめずに、自分の体と気持ちに向き合いながら、医療者と一緒に治療を続けていきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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