Psoriasis plaques
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬(かんせん)とは、皮膚が赤く盛り上がり、その上に銀白色のうろこ状の皮膚(鱗屑)が重なってできる、慢性的な皮膚の病気です。免疫系の異常が関係していて、皮膚細胞が過剰に増えることで起こります。かゆみや痛みを伴うこともあります。
重要な事実
- 乾癬はうつる病気ではありません。
- 免疫系の異常が原因のひとつと考えられています。
- 慢性的ですが、治療で症状を上手にコントロールできます。
- 重症度は人によって大きく異なります。
日本では約0.34%の人にみられ、比較的多い皮膚の病気です(厚生労働省 難病指定疾患)。
どの年齢でも発症する可能性がありますが、多くは15〜35歳の間に初めて症状が現れます。男性・女性ともにみられます。
症状
- 呼吸困難、のどや顔のはれ(アレルギー反応の可能性)
- 高熱とともに皮膚が広範囲に赤くなり、水ぶくれや膿ができる(膿疱性乾癬の可能性)
- ⚠関節の急激な腫れや激しい痛み
- ⚠皮膚の広範囲にわたる感染兆候(赤みが広がる、熱をもつ、膿が出る)
- ⚠強い精神的な苦痛や自傷行為の考えがある場合
一般的な症状
- 皮膚に赤く盛り上がった局面(プラーク)ができる
- くっきりと境界がはっきりした銀白色の鱗屑で覆われている
- かゆみ、ヒリヒリ感、または痛みを伴うことがある
- 関節の腫れやこわばり(乾癬性関節炎)を伴うこともある
- 爪にへこみや変色、肥厚がみられることがある
子供の症状
- 症状は大人と似ていますが、顔や頭皮に小さな局面ができやすい
- かゆみを強く感じることが多い
- 湿疹(アトピー性皮膚炎)と間違われることもある
高齢者の症状
- ひじやひざなどの関節部分に症状が出やすい
- かゆみが強く、皮膚が乾燥しやすい
- 乾癬性関節炎のリスクが高まることがある
原因
主な原因
- 免疫系の異常:T細胞と呼ばれる免疫細胞が過剰に働き、皮膚の炎症を引き起こす
- 遺伝的要因:家族に乾癬の人がいると発症リスクが高まる
リスク要因
- ストレス
- のどや皮膚の感染症
- 皮膚のけが(引っかき傷、日焼けなど)
- 特定の薬剤(リチウム、β遮断薬など)
- 過度の飲酒
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状が急激に広がり、痛みや発熱を伴う場合
- 関節の腫れや動きにくさが急に出てきた場合
- 強い精神的な悩みがあり、自分では対処できない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 皮膚の赤みや鱗屑が気になり始めたとき
- かゆみや痛みで日常生活に支障が出ているとき
- 爪の変化や関節の不調を感じたとき
診断
医師が皮膚の状態を直接診察することで、多くの場合診断がつきます。必要に応じて皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる(皮膚生検)こともあります。
行われる可能性のある検査
- 視診と問診:症状の経過、家族歴、誘因などを確認
- 皮膚生検:診断が確実でない場合に行うことがある
診察で予想されること
診察では、症状が現れた時期、かゆみや痛みの程度、家族の病歴、普段の生活習慣などについて質問されます。医師の指示に従い、気になることは何でも相談しましょう。
治療
乾癬の治療は、炎症を抑え、皮膚の細胞が異常に増えるのを防ぐことが目的です。症状の程度や範囲に応じて、外用薬、光線療法、内服薬や注射の薬(全身療法)が使われます。
自宅でのセルフケア
- 保湿ケアを毎日行い、皮膚の乾燥を防ぐ
- ぬるめのお湯でやさしく洗い、強くこすらない
- ストレスをため込まないようにする
- 爪を短く切り、かきむしりによる皮膚の傷を防ぐ
- アルコールや喫煙を控える
医療治療
軽症〜中等症では、ステロイドの外用薬やビタミンD3誘導体の外用薬などが一般的です。光線療法(UVB、PUVA)も有効です。重症の場合や関節炎を伴う場合は、医師の判断で内服薬や注射による治療(免疫系に作用する薬)が行われることがあります。治療法は一人ひとりに合わせて選択されますので、医師とよく相談してください。
この病気と共に生きる
乾癬は長く付き合う病気ですが、適切な治療と生活管理で症状をコントロールできます。毎日のスキンケアと規則正しい生活を心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- ストレス管理(趣味、リラックス法、適度な運動)
- 禁煙、節酒
- 十分な睡眠をとる
- 皮膚を清潔に保ち、刺激の少ない衣類を選ぶ
食事と運動
特に「これを食べれば治る」という食事はありませんが、バランスの良い食事と適度な運動は炎症を抑える助けになります。肥満は症状を悪化させる可能性があるため、体重管理にも気をつけましょう。
精神的健康と心の健康
見た目が気になる、かゆみで眠れないなど、精神的な負担を感じることもあります。つらい気持ちは一人で抱え込まず、医師や家族、または乾癬の患者会などに相談することをおすすめします。
予防
乾癬そのものを完全に予防する方法はありませんが、誘因(ストレス、感染、皮膚の傷など)を避けることで、症状の悪化(フレア)を防ぐことができる場合があります。
ワクチン
乾癬そのものを予防するワクチンはありませんが、感染症が誘因になることがあるため、インフルエンザや肺炎球菌などの定期予防接種は受けておくとよいでしょう。
検診プログラム
特別なスクリーニング検査はありません。関節の症状がある場合は、早期に医師に相談することで乾癬性関節炎の進行を防ぎやすくなります。
合併症
治療しない場合
- 乾癬性関節炎が進行し、関節の変形や機能障害を起こすことがある
- 皮膚の感染症(特に細菌や真菌)を併発しやすくなる
- 心理的なストレスからうつ病や不安障害を引き起こす可能性がある
- 重症の場合は心血管疾患や糖尿病のリスクが高まるという報告がある
長期的な見通し
乾癬は完治が難しい病気ですが、現代の治療法で多くの人が症状をうまくコントロールし、日常生活をしっかりと送っています。治療と生活管理を続けることで、症状のない時期(寛解)を長く保つことも可能です。希望を持って治療に取り組みましょう。
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最終更新: 2026年7月9日
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