Psoriatic nail disease
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬性爪疾患(かんせんせい つめ しっかん)とは、皮膚の病気「乾癬(かんせん)」が爪に影響をあたえた状態です。乾癬は、皮膚の細胞がふえすぎて赤いかさぶたやかゆみができる病気で、その一部として爪にも症状があらわれることがあります。爪が分厚くなる、色が変わる、もろくなるなどの変化がみられます。
重要な事実
- 乾癬患者の約50%から80%が人生のある時点で爪の症状を経験するとされています。
- 爪だけに症状があらわれることもありますが、多くの場合は皮膚や関節の症状をともないます。
- 乾癬性爪疾患は感染症ではなく、他人にうつることはありません。
乾癬そのものは日本人の約0.3~1%に見られる病気で、それほどめずらしくありません。爪の症状は乾癬患者の半数以上にみられるため、比較的よくある合併症のひとつです。
乾癬をもつ人なら誰でも爪の症状があらわれる可能性がありますが、とくに重症の乾癬や関節炎(乾癬性関節炎)をともなう人に多くみられます。年齢や性別に関係なく発症します。
症状
- 爪のまわりが急に赤く腫れて激しい痛みがある(細菌感染の可能性)
- 発熱をともなう
- 突然、爪がはがれて出血が止まらない
- ⚠爪の症状が急に悪化した
- ⚠爪のまわりに膿(うみ)が出ている
- ⚠痛みが強く、市販の痛み止めが効かない
一般的な症状
- 爪の表面に小さなくぼみ(点状陥凹)ができる
- 爪が分厚くなる
- 爪の色が黄色っぽく、または白く濁る
- 爪がもろくなって割れやすくなる
- 爪の下にものがたまる(爪甲下角質増殖)
- 爪がはがれる(爪甲剥離)
子供の症状
- 子どもの乾癬は軽度のことが多く、爪の症状も目立たない場合があります。
- 爪のくぼみや変色が主な症状で、かゆみをともなうことはあまりありません。
高齢者の症状
- 高齢者では爪がもともと薄くもろくなりがちで、症状が悪化しやすいです。
- 爪の変形や肥厚が強くなり、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。
原因
主な原因
- 原因ははっきりしていませんが、免疫の異常(自分の細胞を攻撃してしまう)が関係していると考えられています。
- 遺伝的な要素もあり、家族に乾癬の人がいる場合、発症リスクが高まります。
- 外傷や感染、ストレスなどが引き金になることがあります。
リスク要因
- 家族歴(乾癬や乾癬性関節炎の人がいる)
- 他の自己免疫疾患をもっている
- 肥満や喫煙
- 強いストレスを感じている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 爪の周りが赤く腫れて痛みがある場合
- 膿や出血がある場合
- 急に症状が悪化した場合
定期受診を予約すべき場合:
- 爪の色や形の変化が気になりはじめた
- 日常生活(例えばタイピングや靴を履くとき)に支障が出ている
- 自己ケアをしても改善しない
診断
医師が爪の見た目を診察し、問診を行います。他の爪の病気(水虫など)と見分けるために、ときに爪の一部を採取して顕微鏡で調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 視診(目で見て確認する)
- 皮膚生検(ごく小さな爪の組織をとって調べる)
- 真菌検査(カビの感染がないか確認する)
診察で予想されること
診断は通常、皮膚科の外来で行われます。検査は痛みをともなうことがありますが、麻酔を使うので我慢できる範囲です。結果が出るまでに数日から1週間ほどかかることもあります。
治療
治療の目的は、爪の見た目を改善し、痛みや日常生活への影響を減らすことです。症状の程度や乾癬全体の状態に応じて、外用薬や内服薬、光線療法などが組み合わされます。
自宅でのセルフケア
- 爪を短く整え、やすりで角を丸くすると割れにくくなります。
- 爪を乾燥から守るために、保湿クリームを塗りましょう。
- 爪を強く打ったり、傷つけないように注意してください。
- 水仕事のときはゴム手袋を使いましょう。
医療治療
医師による治療には、爪に直接塗る塗り薬(ステロイドやビタミンD3を含むもの)や、爪に染みこませる特殊な薬液、内服薬(免疫の働きを調整する薬)、光線療法(紫外線をあてる治療)などがあります。症状が重い場合や関節炎をともなう場合は、注射薬を使うこともあります。治療法は患者さんごとに合ったものを医師が選びます。
手術が検討される場合
爪の変形が激しい場合や、強い痛みがある場合には、爪を除去する手術が行われることがあります。しかし、通常は薬物療法やケアで対応できるため、手術が必要になることは多くありません。
この病気と共に生きる
乾癬性爪疾患とともに暮らすには、爪を大切に扱いながら日常生活を送ることが大切です。見た目が気になることもあるかもしれませんが、治療により改善が期待できます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がけましょう(喫煙は症状を悪化させる可能性があります)。
- ストレスをためないように、リラックスする時間をつくりましょう。
- 適度な日光浴は症状に良い影響を与えることがありますが、日焼けには注意してください。
食事と運動
バランスの良い食事と適度な運動は全身の健康に役立ちます。特に乾癬では肥満が症状に悪影響をあたえることがあるため、体重管理が推奨されます。特定の食品を避ける必要はありませんが、炎症を抑える効果が期待できる魚や野菜を積極的にとると良いでしょう。
精神的健康と心の健康
爪の見た目の変化が気になって、人前に手を出すのが恥ずかしい、仕事や趣味に支障が出てストレスを感じることもあるかもしれません。そんなときは、一人で抱え込まずに医師や家族に相談しましょう。心理的なサポートも治療の一部として重要です。
予防
乾癬性爪疾患を完全に予防する方法はありません。しかし、乾癬の治療をきちんと続けることで、爪の症状が軽くなったり、進行を遅らせたりできる可能性があります。
ワクチン
乾癬そのものを予防するワクチンはありませんが、インフルエンザや肺炎などの感染症を予防するワクチンは、免疫に影響をあたえる治療を受けている場合には特に重要です。医師と相談してください。
検診プログラム
乾癬と診断された人は、定期的に皮膚科で爪の状態をチェックしてもらうことが推奨されます。早期発見・早期治療が症状の悪化を防ぐことにつながります。
合併症
治療しない場合
- 爪の変形が進行し、指の機能に支障をきたすことがあります(例えば細かい作業が難しくなる)。
- 爪の下に細菌やカビが感染しやすくなり、痛みや腫れを引き起こすことがある。
- 見た目の変化により、心理的なストレスや社会生活への影響が出ることがある。
長期的な見通し
乾癬性爪疾患は完全に治ることは難しい場合もありますが、適切な治療とセルフケアによって症状はかなり改善します。痛みや見た目の悩みは軽減でき、多くの方が日常生活に大きな支障なく過ごせています。医師と協力して自分に合った治療法を見つけることが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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最終更新: 2026年7月9日
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