肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺高血圧症は、肺に血液を送る血管の中の血圧が高くなる病気です。心臓から肺に向かう動脈に負担がかかり、十分に酸素を取り込めなくなります。息切れや疲れやすさなどの症状が現れます。
重要な事実
- 肺高血圧症はまれな病気ですが、早く見つけて治療を始めれば、症状を和らげることができます。
- 原因はさまざまで、心臓や肺の病気が関係するものもあれば、原因がはっきりわからないものもあります。
- 治療には薬や生活の工夫などがあり、医師と相談しながら続けていくことが大切です。
肺高血圧症は、とてもまれな病気です。一般的な健康診断では見つかりにくいこともありますが、近年は診断される人が増えています。
どの年齢でもかかる可能性がありますが、30〜60歳の女性に多いという報告があります。また、心臓や肺に病気がある人には、合併症として起こることもあります。
症状
- これらに当てはまる場合は、すぐに救急車を呼んでください(119番)。
- 突然の強い胸の痛みや圧迫感がある
- 意識を失った、または意識がもうろうとする
- 激しい息苦しさで、座っていられない、話せない
- 血の混じった痰や血を吐いた
- 唇や皮膚が青白い・紫っぽい
- ⚠息切れが急にひどくなった
- ⚠胸の痛みが続いている
- ⚠めまいが繰り返す
- ⚠足のむくみが急に強くなった
一般的な症状
- 息切れ(特に階段や坂道など体を動かしたとき)
- 疲れやすさ
- めまいや立ちくらみ
- 胸の痛み
- 動悸(心臓がドキドキする)
- 足やくるぶしのむくみ
子供の症状
- 新生児や赤ちゃんでは、唇や皮膚が青っぽくなる
- 体重が増えにくい
- 呼吸がはやい
- ミルクを飲むときにすぐ疲れる
高齢者の症状
- 階段を上るのが以前よりつらくなる
- 疲れやすくなった
- 足のむくみ
- せき(痰のないせき)
- ちょっとした動きで息切れがする
原因
主な原因
- 肺に血液を送る動脈そのものが細くなったり硬くなったりする(肺動脈性肺高血圧症)
- 心臓の左側の病気(左心不全や弁の病気)が原因になる
- 慢性の肺の病気(COPDなど)や睡眠時無呼吸症候群が原因になる
- 血液が固まりやすく、肺の血管に血の塊が詰まる(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)
- 原因がよくわからないもの(特発性)もある
リスク要因
- 高血圧や心臓病がある
- 肝臓病(特に肝硬変)がある
- 膠原病(こうげんびょう)などの自己免疫疾患がある
- 家族に肺高血圧症の人がいる
- 低酸素の環境で長く過ごした、または睡眠時無呼吸症候群がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れが日常生活に支障をきたすほど強い
- 胸の痛みや動悸が続く
- めまいや失神がある
- 足やおなかのむくみが目立つ
定期受診を予約すべき場合:
- 階段を上るときに息切れが気になり始めた
- 運動すると疲れやすい、力が出ない
- 検診などで心臓の異常を指摘された
診断
肺高血圧症の診断には、問診、身体診察、心臓の超音波検査(心エコー)などを行います。必要に応じて、カテーテル検査で心臓と肺の血管の圧力を直接測ることもあります。
行われる可能性のある検査
- 心臓の超音波検査(心エコー)
- 胸部X線検査
- 血液検査
- 心臓カテーテル検査(肺動脈の圧力を測る検査)
- CTやMRIなどの画像検査
診察で予想されること
診断には数週間から数か月かかることがあります。症状や検査結果から、心臓や肺、呼吸器の専門医がいる専門医療機関を紹介されることもあります。
治療
肺高血圧症の治療は、症状を和らげ、進行を遅らせ、生活の質を保つことを目的とします。原因や重症度によって、治療内容は医師が一人ひとりに合わせて決定します。また、肺高血圧症は厚生労働省の指定難病の対象となることがあり、医療費の助成を受けられる場合があります。詳しくは保健所や病院の相談窓口でお尋ねください。
自宅でのセルフケア
- 医師に相談しながら無理のない範囲で体を動かす(呼吸器リハビリテーション)
- 塩分を控えた食事をとる
- 体重やむくみに気をつける
- 禁煙をする
- 妊娠や出産はリスクを伴うため、医師とよく相談する
医療治療
薬物療法では、肺の血管を広げて血液の流れをよくする薬や、血液が固まりにくくする薬などが使われます。また、血液中の酸素が少ない場合には酸素吸入が必要になることもあります。薬の選択や組み合わせは、症状や病型によって医師が決定します。
手術が検討される場合
薬による治療で効果が不十分な場合は、肺移植が検討されることがあります。また、肺の血管に血の塊が詰まるタイプの肺高血圧症では、血栓を取り除く手術(肺血栓内膜摘除術)が選択肢となることがあります。
この病気と共に生きる
肺高血圧症と診断されたあとも、多くの人は仕事や家庭生活を続けられます。体調に合わせてこまめに休憩をとり、処方された薬や酸素療法を規則正しく使うことが大切です。飛行機に乗るような高い気圧の変化や、高所への旅行は、事前に医師に確認しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 体力にあわせた運動(ウォーキングなど)
- ストレスをためない工夫
- 感染症にかからないように手洗いやうがいを徹底する
- 旅行や外出の計画は医師と相談する
- 十分な睡眠と休養をとる
食事と運動
塩分を控え、野菜や果物、魚を中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。運動は、呼吸が苦しくならない程度の有酸素運動を、医療チームの指導のもとで行うと安全です。
精神的健康と心の健康
長く続く治療や、息苦しさへの不安から、気分が落ち込んだり、不安を感じたりすることがあります。それは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や看護師、またはカウンセリングなどの心理の専門家に相談してください。
予防
原因がはっきりしない肺高血圧症を完全に予防する方法はありません。しかし、心臓や肺の病気をきちんと治療し、禁煙、適度な運動、高血圧や糖尿病の管理など、生活習慣を整えることは、肺高血圧症のリスクを減らすことにつながります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、肺高血圧症の患者さんにとって、感染症を防ぎ、症状の悪化を防ぐために大切です。かかりつけ医と相談して受けてください。
検診プログラム
肺高血圧症の家系がある人や、心臓や肺の病気などのリスクがある人は、息切れなどの症状があれば早めに検査を受けることがすすめられます。定期的な健康診断も役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 心臓の右側に負担がかかり、心不全になることがある
- 不整脈(脈が乱れること)が起こりやすくなる
- 肺の血管に血栓(血の塊)ができることがある
- 日常生活での活動が大きく制限される
長期的な見通し
肺高血圧症は、以前は予後がよくない病気とされていましたが、治療薬や治療法の進歩により、症状の改善や寿命の延長が期待できるようになってきました。専門医と一緒に根気よく治療を続けることで、穏やかで活動的な生活を送ることが可能です。希望をもって治療に向き合いましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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