妊娠中にでる発疹と上手に向き合うために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中に皮膚に現れる発疹をまとめて「妊娠中の発疹」と呼びます。ホルモンの変化や血流の増加、お腹が大きくなることによる皮膚の引っ張りなどが理由で、じんましんのような発疹や小さなぶつぶつ、乾燥によるかゆみなど、さまざまな形で現れます。多くはお母さんにだけ症状が出て、赤ちゃんに直接影響することはほとんどありません。ただし、まれには注意が必要な肝臓の病気が原因のこともあるため、気になる症状があれば早めに相談しましょう。
重要な事実
- 妊娠中の発疹は比較的よくある皮膚の症状です。
- たいていの発疹は赤ちゃんに直接影響しません。
- 強いかゆみや、尿の色が濃い・便の色が薄いなどの症状があるときは注意が必要です。
- 自己判断で市販薬を使わず、妊娠中に安全な治療を医師に相談しましょう。
はい、妊娠中に何らかの皮膚のかゆみや発疹を経験する方は少なくありません。特に妊娠後期に多い「妊娠性そう痒性じんましん性丘疹・局面」という発疹は、約100人に1人の割合で見られるといわれています。
初めての妊娠の方、双子などの多胎妊娠の方、妊娠前からアトピー性皮膚炎などのアレルギーがある方に現れやすいとされています。しかし、どの妊娠でも起こる可能性があります。
症状
- 顔やのどが腫れて息苦しさを感じる場合は、すぐに119番に連絡してください。
- 発疹に加えて、突然の激しい腹痛や出血、意識がもうろうとする症状がある場合は、119番に連絡してください。
- じんましんが全身に広がり、呼吸が苦しくなる場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
- ⚠発疹が全身に広がり、水ぶくれやただれがある
- ⚠手のひらや足の裏まで強いかゆみがある
- ⚠尿の色が濃く、便の色が白っぽい
- ⚠発疹とともに37.5度以上の発熱がある
- ⚠赤ちゃんの動きが普段より少ないと感じる
一般的な症状
- おなかの妊娠線に沿って赤い発疹ができる
- 小さなかゆみのあるぶつぶつ(丘疹)ができる
- じんましんのように盛り上がった赤い斑点が現れる
- 虫刺されに似た発疹が手足やおなかに出る
- 皮膚の乾燥やかさつきを伴うかゆみがある
原因
主な原因
- 妊娠中のホルモンの変化による皮膚の過敏反応
- お腹が大きくなることで皮膚が引っ張られる刺激
- 妊娠に伴う免疫の調整による変化
- まれに、肝臓の胆汁の流れが悪くなる「妊娠性肝内胆汁うっ滞」という病気
- 接触や食事によるアレルギー反応、感染症による発疹
リスク要因
- 初めての妊娠
- 多胎妊娠(双子や三つ子など)
- 妊娠前からのアトピー性皮膚炎やアレルギー
- 妊娠中の急激な体重増加
- 暑い時期で汗をかきやすい環境
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発疹が急に増え、水ぶくれや潰瘍になってきた
- かゆみが非常に強く、手のひらや足の裏にも広がっている
- 尿の色がコーラのように濃い、または便の色が白っぽい
- 赤ちゃんの動きが減ったと感じる
定期受診を予約すべき場合:
- おなかや太ももの発疹が気になるが、強いかゆみや痛みはない
- 妊娠中に使える塗り薬や飲み薬について事前に確認しておきたい
- 発疹が1週間以上続いている
診断
医師が発疹の見た目、場所、かゆみの程度、妊娠週数について確認します。必要に応じて、血液検査や皮膚の一部を調べる検査を行うこともあります。産科と皮膚科の両方の医師が連携して診断を進めることがあります。
行われる可能性のある検査
- 視診(医師が目で見て触って確認する)
- 問診(いつから、どんな経過で出たかを話す)
- 血液検査(肝機能や胆汁酸の数値を調べる)
- 皮膚生検(ごく一部を切り取って顕微鏡で詳しく調べる)
診察で予想されること
診察は通常5〜15分程度です。「妊娠何週か」「発疹が出た時期」「かゆみの強さ」「家族や自分のアレルギー歴」などを聞かれます。必要なら血液検査を行い、結果は数日後にわかります。原因によっては、漢方薬や生活指導を含めた治療方針が説明されます。
治療
治療は発疹の原因と妊娠週数によって異なります。多くの場合、赤ちゃんへの影響が少ない塗り薬(保湿剤やステロイド外用薬)や飲み薬(抗ヒスタミン薬)を、医師が妊娠中に安全なものを選んで処方します。原因が肝臓の病気の場合は、食事指導や定期的な血液検査で慎重に管理します。自己判断で市販薬を使うのは避けましょう。
自宅でのセルフケア
- シャワーはぬるめのお湯で短時間にし、肌をゴシゴシこすらない
- かゆくなったら冷たいタオルや保冷剤で冷やす
- 通気性の良い綿の下着やゆったりした服を着る
- 保湿クリームで皮膚をしっとりさせ、乾燥を防ぐ
- 爪を短く切り、搔き壊しによる感染を防ぐ
医療治療
妊娠中に使えることが確認された外用薬や内服薬を医師が処方します。薬の種類や使う量は、妊娠週数や症状に合わせて慎重に決められます。光線療法などの治療が選ばれることもあります。市販薬については、必ず医師または薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
妊娠中の発疹に対して外科手術が必要になることはほとんどありません。
この病気と共に生きる
発疹がある間は、かゆみと上手に付き合いながら無理をしすぎない生活が大切です。かく代わりに冷やす、保湿するなどして皮膚を守りましょう。夜眠れないときは、寝室を涼しくして布団を清潔に保つと楽になることがあります。
生活習慣のアドバイス
- 入浴はぬるめで短時間にし、皮脂をとりすぎない
- ボディソープや化粧品は刺激の少ないものを選ぶ
- ストレスがたまらないよう、軽い運動や趣味で気分転換する
- 急激な体重増加を避け、バランスの良い食事を心がける
食事と運動
特別な食事制限は原則ありませんが、かゆみが強いときはアルコールや香辛料を控えると楽になることがあります。妊娠中は医師に相談しながら、ウォーキングなどの軽い運動で血流を良くしましょう。
精神的健康と心の健康
発疹がひどいとかゆみで眠れず、不安やストレスを感じることがあります。「赤ちゃんに影響があるのでは」という心配も出るかもしれません。そんなときは、ひとりで悩まず、助産師や医師に相談してください。気分の落ち込みが続く場合は、妊産婦のメンタルヘルス相談があることも知っておきましょう。
予防
妊娠中の発疹をすべて予防することはできませんが、日頃から肌を清潔にし、保湿することでかゆみをやわらげることができます。また、急激な体重増加を避けることは、妊娠線に沿ってできる発疹の予防につながります。
ワクチン
妊娠中のワクチン接種は、時期や種類によって医師との相談が必要です。発疹を直接予防するワクチンはありませんが、かかりつけ医の指示に従い、必要な予防接種を受けることは大切です。
検診プログラム
妊娠中の定期健診では、血圧や尿の検査に加えて、皮膚の変化も伝えるようにしましょう。必要に応じて血液検査で肝機能を調べることができます。
合併症
治療しない場合
- 搔き壊しによる皮膚感染症(とびひや毛包炎など)
- 強いかゆみによる不眠やストレスの悪化
- まれに、胆汁うっ滞という肝臓の病気が続くと、赤ちゃんの状態に影響を与える可能性がある
- 湿疹が慢性化し、皮膚が厚くなったり色が変わったりする
長期的な見通し
妊娠中の発疹の多くは、出産後に自然に改善します。注意が必要な原因が見つかった場合でも、早期に発見して治療を始めれば、母子ともに健康でいられる可能性はとても高いです。心配なことがあれば、遠慮なく医療者に相談してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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