網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
網膜芽細胞腫は、目の奥にある網膜(もうまく)という光を感じる薄い膜にできる、まれながんです。主に5歳までの子どもに発症し、早期にみつけて治療すれば、命を助けられる可能性が高い病気です。
重要な事実
- 網膜芽細胞腫は、目の網膜にできるまれながんである
- ほとんどが5歳までの子どもに発症する
- 片目または両目にできることがあり、遺伝するタイプもある
- 早期発見・早期治療で多くの子どもが助かっている
まれな病気です。日本では小児がん全体の約1〜2%を占めるといわれています。
ほとんどが5歳以下の子どもで、特に乳幼児に多くみられます。両目の網膜芽細胞腫の場合は、遺伝的要因が関わっていることがあります。大人で診断されることはほとんどありません。
症状
- 急に視力がなくなった場合は、直ちに119番で救急車を呼んでください。
- 目をすごく痛がり、眼球が急にはれて飛び出して見える場合は、119番に連絡してください。
- 目の出血が止まらない場合も、救急車を呼びましょう。
- ⚠瞳孔が白く見えるのに気づいた場合は、数日中に眼科や小児科を受診してください。
- ⚠急に斜視になった、眼が腫れて赤みが続く場合は、なるべく早く医療機関に連絡してください。
一般的な症状
- 瞳孔(ひとみ)が白く光って見える(猫の目のように白く反射する)
- 目が斜めを向いている(斜視)
- 視力の低下や、物が見えにくい
- 目の赤み、はれ、痛みを訴える
子供の症状
- 写真で片方の目だけ白く光って写る
- 目をこすったり、涙が多い、まぶしがる
- 眼球が大きく見える、または飛び出して見える
- 目の色や見た目が変わって見える
高齢者の症状
- 網膜芽細胞腫はほとんどが子どもの病気のため、大人に特有の症状はありません。
- ただし、大人でも視力の低下や目の異常がみられる場合は、別の目の病気の可能性があるため、必ず眼科を受診してください。
原因
主な原因
- 網膜芽細胞腫は、網膜の細胞ががん化することで発生します。
- 原因は遺伝子の変化(突然変異)で、RB1という遺伝子の異常が関わることが知られています。
- 遺伝するタイプは、親から子へ引き継がれることがあります。
リスク要因
- 家族(兄弟姉妹や親など)に網膜芽細胞腫を発症した人がいる
- 生まれつきの遺伝子の変化がある場合(遺伝子検査でわかることがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 子どもの目の瞳孔が白く光って見える場合は、すぐに眼科を受診してください。
- 目の異常に気づき、数日以内に受診したい場合は、予約ではなく直接医療機関に相談しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 乳幼児の定期的な眼科健診は、視力の発達も確認できるため大切です。
- 家族に網膜芽細胞腫の人がいる場合は、生後すぐから定期的な眼底検査を受けることがすすめられます。
診断
眼科で目の中を詳しく調べます。日本の厚生労働省が推進する小児がん拠点病院など、専門の医療機関を紹介され、診断と治療が行われます。
行われる可能性のある検査
- 眼底検査(目の中を直接観察する検査)
- 超音波検査(目の中の腫瘍の状態を調べる検査)
- MRI検査(腫瘍の広がりや転移を調べる検査)
- 遺伝子検査(遺伝性の有無を調べる検査)
診察で予想されること
検査は、子どもが眠った状態で行われ、体への負担が少ないように配慮されています。診断結果については、医師が家族にていねいに説明します。疑問や不安があれば、遠慮なく質問することが大切です。
治療
治療の目的は、命を助けることと、視力をできるだけ温存することです。腫瘍の大きさ、位置、広がり方、子どもの年齢などを考慮して、治療の計画が立てられます。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って、通院や治療を継続する
- 子どもの目の清潔を保ち、感染やけがを防ぐ
- 治療の副作用や子どものようすの変化をメモしておく
- 治療後も定期的な検査を欠かさない
医療治療
主な治療法には、化学療法(抗がん剤を使う治療)、放射線療法、レーザー光凝固、冷凍凝固などがあります。抗がん剤は点滴や内服で用います。治療法は病変の状態に合わせて組み合わせられます。薬の名前や具体的な用量は、かかりつけの医師に直接相談してください。
手術が検討される場合
腫瘍が大きく、視力を温存することが難しい場合は、眼球を摘出する手術が必要になることがあります。これは命を守るために検討される最終手段です。術後は義眼を使い、見た目に配慮したかたちが用意されます。
この病気と共に生きる
治療後も定期的な通院と検査が必要です。特に遺伝性の場合、成長に伴って別の腫瘍が現れることがあるため、長い期間の経過観察を行います。子どもの視力に合わせた生活環境を整えることもサポートになります。
生活習慣のアドバイス
- 視力に合わせて、家の中の段差や危険な場所を整える
- 日差しの強い日は遮光眼鏡や帽子を活用する
- 目の周囲の感染症やけがを防ぐ
- 学校や園の先生と、目の状態について情報を共有する
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスの良い食事と、体力に合わせた運動で元気に過ごしましょう。治療中は感染症にかかりやすくなるため、人混みを避けるなど医師のアドバイスに従ってください。
精神的健康と心の健康
がんと診断されたことは、保護者にも子どもにも大きな衝撃と不安をもたらします。つらい気持ちをひとりで抱え込まず、医療機関の心理士やソーシャルワーカーに相談しましょう。保護者が強く不安や絶望感を感じたときは、公的な相談窓口やいのちの電話などの支援を利用することも勧められます。
予防
網膜芽細胞腫は遺伝子の変化が原因で発生するため、完全に予防する方法はありません。ただし、遺伝性のある家系では、生まれたときから定期的な眼底検査を行うことで、早期発見と早期治療が可能になります。
ワクチン
網膜芽細胞腫を直接予防するワクチンはありません。通常の小児用ワクチンは、治療計画に影響することがあるため、医師と相談して接種時期を決めましょう。
検診プログラム
家族歴がある場合は、子どもの眼底検査を新生児期から定期的に受けることが重要です。遺伝子検査でリスクを知ることも、早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなり、視力を失う
- 腫瘍が眼球の外側に広がり、脳や骨などに転移する
- 命にかかわることがある
長期的な見通し
早期に発見できれば、90%以上の子どもが治ると報告されています。治療技術の進歩により、視力を保てることも増えています。治療後も長い経過観察が必要ですが、多くのお子さんが元気に成長し、充実した生活を送っています。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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