レット症候群について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
レット症候群は、主に女の子に起こるまれな神経(しんけい)の発達の病気です。最初は順調に育ったように見えても、生後6か月から18か月ごろから、話すことや手を使うことなど、いったん身につけた力が少しずつ失われていきます。
重要な事実
- ほとんどが女の子にみられます
- 生後しばらくは順調に発達することが多いです
- 手の動きや言葉の力が後退していくのが特徴です
- 遺伝子(いでんし)の変化が原因とされています
- 根治する治療法はまだありませんが、症状に合わせた支援はあります
まれな病気で、およそ1万人から1万5千人に1人の割合で起こります。
ほとんどが女の子です。男の子にも起こることがありますが、非常にまれです。
症状
- 呼吸が止まりそうになる、唇や顔の色が青い
- 5分以上続くけいれん、またはけいれんが繰り返し起こる
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 食物や物をのどに詰まらせて息ができない
- ⚠いつもと違ってぐったりしている
- ⚠呼吸が速い・浅い、または不規則で心配なとき
- ⚠けいれんが初めて起こった、またはいつもと違う様子のけいれんがあった
- ⚠発熱があり、水分が取れない・ぐったりしている
- ⚠家族が対応に困るほどの強い不安がある
一般的な症状
- 手をこすり合わせる・もむなどの繰り返しの動きがある
- 発達の後退(できていたことができなくなる)
- 言葉の発達が止まる・失われる
- 歩き方が不安定になる
- 呼吸が速くなったり止まったりする
- けいれん発作が出ることがある
子供の症状
- 生後6か月〜18か月ごろまでの発達はほぼ順調
- その後、あたまの成長がゆっくりになる
- 手で物をつかむことが難しくなる
- 目が合いにくくなったり、興味が狭くなったりする
- 発語がほとんどなくなる
- 睡眠のリズムが乱れることがある
高齢者の症状
- 大人になっても、むずかしい動きや言葉の課題が続く
- 背骨が曲がる(側弯症:そくわんしょう)ことがある
- 関節がこわばったり、動かしにくくなったりする
- てんかん発作が続く人もいる
- 更衣や食事など、日常生活の支援がさらに必要になることがある
原因
主な原因
- MECP2(メックピーツー)という遺伝子の変化が主な原因です。この遺伝子は脳の発達に大切な働きをします。
- 多くの場合、親から受け継いだのではなく、本人に突然起こった変化です。
リスク要因
- ほとんどが女の子であること
- 家族にレット症候群の人がいる場合(まれに遺伝することがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- できていたことが急にできなくなる、発達の後退が目立つ
- けいれんを初めて起こした
- 呼吸の異常が続く、または激しい
- 水分が取れないなど、日常生活に大きな変化がある
定期受診を予約すべき場合:
- 言葉や手の動き、歩き方の発達が気になる
- 学校や保育園などで様子が気になるとき
- 症状の変化について、かかりつけ医や専門医に相談したいとき
診断
診断は、発達の経過を詳しく聞くこと、身体の診察、遺伝子検査などを組み合わせて行われます。また、似た症状のほかの病気を除外するために、画像検査や脳波検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 遺伝子検査(血液を採ってMECP2遺伝子を調べます)
- 脳波検査(脳の電気的な活動を調べ、けいれんの有無を確認します)
- 頭部の画像検査(MRIなどで脳の構造を確認します)
- 発達や運動の評価
診察で予想されること
診断には、数か月から数年かかることがあります。かかりつけ医から専門の医療機関(小児神経科や遺伝科など)を紹介されることが多いです。診断後は、定期的なフォローアップと、家族への説明や支援が行われます。
治療
レット症候群を根本から治す治療法はまだありません。しかし、それぞれの症状に合わせたリハビリテーションや薬による治療、日常生活の工夫によって、生活の質を高めることができます。
自宅でのセルフケア
- 楽しい活動やコミュニケーションの工夫を見つける(音楽、絵本、感触遊びなど)
- 手の使い方を練習するための道具や環境を整える
- 転倒やけいれんに備えて、安全な居場所をつくる
- 家族の負担を減らすために、地域の支援サービスを利用する
医療治療
けいれん、呼吸の乱れ、胃腸の問題などの症状に対して、それをやわらげる薬が使われることがあります。薬の種類や量は、医師が本人の状態に合わせて慎重に決めます。理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションも治療の中心です。
手術が検討される場合
背骨の曲がり(側弯症)が強い場合や、消化管の問題が深刻な場合に、手術が検討されることがあります。ただし、すべての人に必要なわけではなく、医師とよく相談したうえで決めます。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、本人のペースを大切にし、安全で安心できる環境を整えることが大切です。介護する家族の負担も大きいため、周囲の手助けや地域のサービスを上手に利用しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 音楽や感触遊びなど、本人が楽しめる活動を日常に取り入れる
- 定期的に体を動かし、関節のこわばりをやわらげる
- てんかんがある場合は、発作の記録をつけて医師に見せる
- 家族の休息(レスパイト)のために、短期入所や訪問介護を利用する
食事と運動
食事は、飲み込む力に合わせて、とろみをつけたり、食べやすい形にしたりする工夫が役立ちます。栄養状態を保つために、管理栄養士や医師に相談してください。運動は、無理のない範囲で、理学療法士などの指導を受けながら続けましょう。
精神的健康と心の健康
介護をする家族は、疲れや不安、孤立感を感じることがあります。家族の心の健康もとても大切です。ひとりで抱え込まず、相談できる人や場所を見つけてください。
予防
レット症候群は遺伝子の変化によって起こるため、現在のところ予防する方法はありません。
合併症
治療しない場合
- てんかん発作によるけが
- 呼吸の異常による低酸素(さんそ)状態
- 側弯症の進行による呼吸や内臓の圧迫
- 食べることの困難による栄養不足や誤嚥(ごえん)
- 感染症にかかりやすくなる
長期的な見通し
レット症候群は生涯にわたる病気ですが、多くの人は成人まで生きることができます。症状はそれぞれ異なり、支援や治療によってできることを増やしたり、合併症を減らしたりすることが可能です。希望をもって、本人に合ったケアを続けていくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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