Rotator cuff tendinopathy
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
回旋腱板(かいせんけんばん)とは、肩の関節を包むようにある4つの腱(けん)の集まりです。腱は筋肉と骨をつなぐ、ゴムのように伸び縮みする組織です。回旋腱板腱障害(かいせんけんばんけんしょうがい)は、これらの腱に炎症(えんしょう)や小さな傷ができることで、肩に痛みや動かしづらさが生じる状態です。簡単に言うと、肩の使いすぎや老化によって腱が弱り、痛みが出る病気です。
重要な事実
- 回旋腱板腱障害は肩の痛みの原因としてとても多く、特に40歳以上に多いです。
- 多くの場合、手術をしなくても、安静やリハビリで回復します。
- 適切な治療とセルフケアにより、約8割の人が改善します。
はい、非常によく見られる肩の障害です。特に中年以降の方や、腕をよく使う仕事やスポーツをする方に多く見られます。
主に40歳以上の中高年の方に多いですが、野球やテニス、水泳など腕を繰り返し上げるスポーツをする若い方にも起こります。また、建設作業や荷物の上げ下ろしが多い仕事の方もリスクが高いです。
症状
- 転倒や激しい動作の直後に、肩に激痛が走り全く腕を上げられなくなった場合(腱の完全断裂の可能性があります)
- 肩の変形や腫れが急激に大きい場合
- 強い痛みで我慢できず、腕に力が全く入らない場合
- ⚠肩の痛みが数日間続き、市販の鎮痛薬(しんつうやく)を使っても改善しない
- ⚠腕を上げる動作で痛みが強く、日常生活に支障が出ている(例:歯を磨く、髪を洗う)
一般的な症状
- 肩の前面や外側に痛みがある(特に腕を上げるときや、夜寝ているときに痛む)
- 肩を動かすときに関節にひっかかる感じやゴリゴリという音がする
- 腕の力が入りにくくなり、物を上に上げたり、背中の後ろに回したりするのが難しい
- 肩の可動域(動かせる範囲)が狭くなる
子供の症状
- 小児ではまれですが、野球の投球動作などで肩を痛めた場合に起こることがあります。
- 肩の痛みを訴え、投球のスピードやコントロールが落ちることがあります。
高齢者の症状
- 加齢により腱がもろくなっているため、軽い動作でも痛みが出やすいです。
- 肩の痛みが慢性的(長く続く)になりやすく、夜間痛(ねむれないほどの痛み)が特徴的です。
- 進行すると、服の着替えや髪をとかすなどの日常動作がつらくなります。
原因
主な原因
- 使いすぎ:同じ動作を繰り返すこと(特に腕を頭上に上げる動作)で腱に小さな損傷が蓄積します。
- 加齢:年を重ねると腱の弾力性が低下し、弱くなります。
- 外傷:転んで肩を打つなど、急な力が加わることで腱を傷めることがあります。
リスク要因
- 野球、テニス、水泳など腕をよく使うスポーツ
- 大工仕事や配管工事など、腕を上げる仕事
- 肩の筋肉が弱い、またはバランスが悪い
- 喫煙(血行が悪くなり腱の修復が遅れます)
- 姿勢が悪い(猫背などで肩の負担が増します)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(emergency)に当てはまる場合はすぐに119番に電話して救急車を呼んでください。
- 突然、肩が使えなくなった、または著しく腫れた場合
定期受診を予約すべき場合:
- 肩の痛みが1週間以上続く
- 腕を上げる、背中に回すなどの動作がつらい
- 夜間に痛みで目が覚めることがある
診断
医師が肩の状態を診察し、痛みの場所や動きの制限を確認します。また、画像検査(がぞうけんさ)で腱の状態を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診と身体診察:医師が肩の動きを確認し、特定の動きで痛みが出るかを見ます。
- エコー(超音波)検査:痛みのない検査で、腱の厚みや断裂の有無を調べます。
- MRI(磁気共鳴画像)検査:腱や筋肉の状態をより詳細に確認できます。外科手術を検討する場合に行われることが多いです。
診察で予想されること
診察室では、先生があなたの肩の動きをいくつかチェックします。力を入れたり、腕を回したりする検査があります。痛みを伴うこともありますが、診断には大切なステップです。検査結果をもとに、あなたに合った治療方針を一緒に決めていきます。
治療
治療の基本は、痛みを抑えながら腱の修復を促すことです。ほとんどの方は手術をせずに、安静、リハビリ、そして必要に応じた治療で改善します。治療は段階的に進みます。
自宅でのセルフケア
- 安静:痛みのある動作を避け、肩を休めましょう。ただし、完全に動かさないと関節が固まってしまうので、痛くない範囲で軽く動かすことが大切です。
- アイシング:痛みが強い時には、氷のうなどで肩を冷やすと炎症が和らぎます(1回15~20分、1日数回)。
- ストレッチ:医師や理学療法士(りがく りょうほうし)の指導のもと、無理のない範囲で肩のストレッチを行います。
医療治療
医師からは、痛みや炎症を抑えるための飲み薬や外用薬(塗り薬、貼り薬)が処方されることがあります。また、リハビリテーション(理学療法)が中心的な治療で、肩の筋肉を強化し、可動域を改善するエクササイズを段階的に行います。場合によっては、関節内に炎症を抑える注射を行うこともあります。これらの治療法は、あなたの症状や状態に合わせて医師が選択します。
手術が検討される場合
もし、数か月にわたるリハビリや治療を行っても痛みが残り、日常生活に大きな支障がある場合には、手術が検討されることがあります。手術には、損傷した腱を修復する方法などがあります。手術が必要かどうかは、整形外科の専門医とよく話し合って決めましょう。
この病気と共に生きる
日常生活では、痛みの出る動作(高い棚の物を取る、重いバッグを肩にかけるなど)を避ける工夫をしましょう。また、正しい姿勢を保つことが肩の負担を減らすのに役立ちます。動作を少し変えるだけでも、痛みが和らぐことがあります。
生活習慣のアドバイス
- 正しい姿勢を意識する(猫背にならない、パソコンの画面を目の高さに合わせる)
- 肩に負担のかかる動作は、片手ではなく両手で行うなど工夫する
- 寝る時は、痛みのない側を下にして、枕の高さを調整する
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけましょう。特に、たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)は腱の修復に役立ちます。運動は、医師や理学療法士の指導のもと、肩に負担の少ないストレッチや筋力トレーニングを続けることが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動も全身の血行を良くし、回復を助けます。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みは、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。肩の痛みで思うように動けないもどかしさを感じることもあるでしょう。そんな時は、一人で抱え込まず、家族や友人、あるいは医療スタッフに気持ちを話してみてください。必要に応じて、心理的なサポートを受けることも選択肢の一つです。もし自殺や自分を傷つけるような考えが浮かんだら、すぐに119番(救急)または相談窓口に連絡してください。
予防
完全に予防できるわけではありませんが、リスクを減らすことはできます。
合併症
治療しない場合
- 腱の損傷が悪化して断裂(完全に切れること)に至ることがあります。
- 肩の動きが制限され、日常生活動作(着替え、洗髪、物を取るなど)が困難になります。
- 慢性的な痛みが続き、夜間眠れなくなることがあります。
- 肩関節周囲炎(凍結肩、いわゆる五十肩)を併発することがあります。
長期的な見通し
多くの場合、適切な治療とセルフケアにより症状は改善します。早めに治療を始めれば、手術をせずに済む可能性が高くなります。回復には個人差がありますが、根気よくリハビリを続ければ、日常生活に支障のないレベルまで回復することが期待できます。肩の痛みを軽く見ずに、医師に相談しながら一緒に治療を進めていきましょう。
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最終更新: 2026年7月16日
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