息切れが急に悪くなるとき(息切れの発作)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
息切れの発作(増悪)とは、呼吸がふだんより急に苦しくなることをいいます。1つの病気の名前ではなく、肺や気道の病気がある人が、何かきっかけがあって症状が一時的にはげしくあらわれる状態です。息苦しさはおどろくほど深く感じられますが、しっかりした対処法と医療の支援があります。
重要な事実
- 息切れの発作は、ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの持病がある人に起こりやすいです。
- 多くは、感染症やアレルギー、煙、天候などがきっかけになります。
- 発作のときは、落ち着いて正しい手順で対応することが大切です。また、いつ受診するかをあらかじめ決めておくと安心です。
慢性の肺の病気を持つ人では、季節の変わり目や風邪のあとなどに、息切れの発作がよくみられます。
ぜんそくやCOPDなど、もともと肺や気道に病気がある人に多くみられます。子どもではぜんそく、高齢者ではCOPDや心不全が原因としてよくあります。また、喫煙歴のある人や、呼吸器の感染症にかかりやすい人も影響を受けます。
症状
- 急に息ができなくなり、何をしても苦しさが続く
- 唇や爪が青紫色になる
- 呼びかけても返事をしない、意識がもうろうとする
- 1語ずつしか話せない、あるいは全く話せない
- ⚠すでに決められている発作の手順を行っても、30分以上おさまらない
- ⚠息苦しさがひどくなり、家事や会話、歩行がふだん通りにできなくなった
- ⚠発熱とともに胸の痛みやたん(痰)が増えてきた
- ⚠何度も発作をくり返す場合
一般的な症状
- 急に息が苦しくなる
- ゼーゼー、ヒューヒューという音がする(喘鳴)
- 咳が止まらない
- 胸が締めつけられる感じ
- 呼吸が速くなる
子供の症状
- 鼻の穴を大きくふくらませながら呼吸をする
- あごや首、あばらの下を引き込むように息をする(陥没呼吸)
- 泣いたり授乳したりすると、すぐに息があがる
- 顔色がさえない、ぐったりする
高齢者の症状
- ふだんより息切れが長く続く
- 混乱したり、ぼんやりしたりする
- 疲れやすさや食欲の低下がある
- 手足の爪や唇の色が青っぽい
原因
主な原因
- 気道へのウイルスや細菌の感染(風邪、インフルエンザなど)
- ハウスダスト、花粉、カビなどのアレルギー性の原因
- たばこの煙や排気ガス、香水などの刺激物
- 冷たい空気や湿度の変化、天候の急変
- 強い運動や感情の高ぶり、ストレス
- 処方された治療を十分にとっていない、または体調管理がうまくいっていない
リスク要因
- ぜんそくやCOPD、心不全などの持病がある
- 喫煙者または受動喫煙を頻繁に受ける
- 呼吸器の感染症にかかりやすい
- 高齢で、咳やたんを出し切る力が弱っている
- 肥満や運動不足で呼吸の予備能力が低い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 家族やまわりの人が見ていて、呼吸がふだんと明らかに違うと感じる
- 横になると息苦しくて、座っていないと眠れない
- 息切れが、軽い動作でも起こり、回復に時間がかかる
定期受診を予約すべき場合:
- 1〜2週間前から、階段をのぼるなどの日常動作で息切れを感じる
- 夜間や早朝に咳や息苦しさで目がさめる
- 予定していた受診日よりも前でも「何かおかしい」と感じたら早めに相談する
診断
医師は、まずあなたの息切れの様子や発作のきっかけを詳しく聞きます。そのうえで、呼吸の音を聴いたり、血液中の酸素の量を測ったりして、呼吸の状態を確かめます。
行われる可能性のある検査
- 問診(いつから、どのようなときに息苦しくなるかなど)
- 聴診(じょうちん)による呼吸音の観察
- パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
- 胸部X線(レントゲン)検査
- 血液検査(炎症の程度をみる)
診察で予想されること
はじめに安静にして酸素の状態を確認しながら、原因に応じた治療を行います。検査自体は痛みはなく、数十分の間に終わることが多いです。結果によっては、しばらく入院での治療が必要な場合もあります。
治療
息切れの発作の治療は、原因を取り除きながら呼吸を楽にし、酸素を十分に取り込めるようにすることが目的です。発作の程度や持病に応じて、医師がひとりひとりに合った計画を立てます。指示された治療に加えて、発作を起こしにくくする生活の工夫もとても大切です。
自宅でのセルフケア
- 座って前かがみの姿勢になり、肩の力を抜いてゆっくり呼吸する
- 口をすぼめて細く長く息を吐く「口すぼめ呼吸」を試す
- 指示された発作時対応がある場合は、あわてず手順に沿って行う
- たばこや香水など刺激物の多い場所を避けて、新鮮な空気を吸う
- 冷たい飲み物や極端に暑い場所は避けて、からだを急に冷やさない
医療治療
治療法には、気道を広げる吸入薬(きゅうにゅうやく)、炎症を抑える薬、たんを出しやすくする薬などがあります。ただし、くすりの種類や使い方は症状や原因によって異なるため、必ず医師の指示に従ってください。感染症が原因の場合には、抗生物質などの全身治療が必要になることもあります。また、血液中の酸素が低い場合は、酸素吸入を行います。
この病気と共に生きる
息切れの発作をうまく付き合うためには、ふだんの体調の変化をつかむことが第一歩です。脈拍や息苦しさの程度、使った薬の効果などをメモしておくと、次の発作を防ぎ、早めに対応できます。医師や看護師と相談して、自分だけの「発作のときの行動計画」を作っておきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をして、たばこの煙のほか、ハウスダストや花粉などをできるだけ避ける
- 風邪の流行期は人ごみを避け、うがいと手洗いを行う
- 適度な運動を続けて、息切れしにくい体力をつくる
- 十分な睡眠と休息をとり、ストレスをためない
- 就寝中に息苦しいときは、上半身を少し高くする姿勢を試す
食事と運動
とくに呼吸が楽になる特別な食事はありませんが、バランスのよい食事で体力を保つことが大切です。運動は、ウォーキングや軽いストレッチなど、自分のペースで無理なく続けましょう。運動のプログラムは、運動療法に詳しい医師や理学療法士に相談すると安全です。
精神的健康と心の健康
息苦しさは不安や恐怖を強く感じる症状です。「また発作が起きたらどうしよう」と心配になるのは自然なことです。呼吸をゆっくり整える練習や、気持ちを落ち着ける方法を身につけると、発作の不安をやわらげやすくなります。どうしても不安が続く場合は、医師やカウンセラーに相談してみてください。
予防
息切れの発作は、完全に防ぐことは難しいですが、ふだんの管理で起こる回数を減らし、軽くすることができます。持病の治療をきちんと続けること、環境から原因を取り除くこと、体調の変化に早く気づくことが大切です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、呼吸器の感染症による発作を予防するのに役立ちます。今年の予防接種について、かかりつけ医もしくは担当医と相談しましょう。
検診プログラム
かかりつけ医で定期的に呼吸機能を調べてもらうと、発作のサインを早めにとらえられ、治療の調整がしやすくなります。
合併症
治療しない場合
- 呼吸が十分にできず、血液中の酸素が低下する
- 発作が長引いて体が疲れ果て、体力が落ちる
- 肺炎や心不全などの合併症を起こしやすくなる
- そのままにすると、入院が必要になったり、まれに命に関わったりすることもある
長期的な見通し
息切れの発作は、どきどきするほど苦しいものですが、ほとんどの場合、適切な対応と治療でおさまります。持病を上手に管理し、発作のサインを見逃さなければ、多くの人はこれまでと同じように日常生活を送ることができます。ひとりで悩まずに、医療者のサポートを頼ってください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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