Sjogrens syndrome
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
シェーグレン症候群(シェーグレンしょうこうぐん)は、体の免疫(めんえき)の仕組みに異常が起きて、涙や唾液(だえき)を作る腺(せん)が自分の体に攻撃されてしまう病気です。その結果、目や口が異常に乾燥します。他の臓器に影響が出ることもあります。
重要な事実
- 免疫の異常で涙腺や唾液腺が攻撃される自己免疫疾患です
- 女性に多く、特に40~60歳で発症しやすいです
- 目と口の乾燥が主な症状ですが、全身に症状が出ることがあります
シェーグレン症候群は比較的よく見られる自己免疫疾患で、日本の人口の約0.1~1%にみられるとされています。ただし診断されていない人も多いと考えられています。
圧倒的に女性に多く、男女比は約1:9です。中高年(特に40~60歳)に発症しやすいですが、子どもや高齢者にもみられます。他の自己免疫疾患(関節リウマチなど)のある人にも合併しやすいです。
症状
- 突然の視力低下や激しい目の痛み(角膜潰瘍の可能性)
- 重度の口の渇きで呼吸や飲み込みができない
- 意識がもうろうとする、けいれんが起きる
- ⚠目の痛みや充血がひどく市販の目薬で改善しない
- ⚠口やのどの痛みが強く食事が全くできない
- ⚠原因不明の高熱や関節の激しい痛み
一般的な症状
- 目が乾いてゴロゴロする、充血する、光をまぶしく感じる
- 口が乾いて食べ物が飲み込みにくい、話しにくい、のどが渇きやすい
- 虫歯や口内炎ができやすい
- 関節の痛みやこわばり
- 疲れやすい、全身の倦怠感
- 唾液が減って味覚が変わることがある
子供の症状
- 小児では診断が難しく、症状がはっきりしないことがあります
- 繰り返す耳下腺(じかせん)の腫れ(おできのようなもの)
- 目の乾燥や口の乾燥よりも、全身症状(発熱、疲れ)が目立つことも
高齢者の症状
- 加齢による乾燥と区別がつきにくい
- 口や目の乾燥が特に強く出やすく、義歯の不具合や食べにくさが増す
- 他の持病(高血圧、糖尿病など)の薬の影響で症状が悪化することもある
原因
主な原因
- 免疫システムが誤って自分の涙腺や唾液腺を攻撃すること(自己免疫反応)
- 遺伝的な要因(家族に自己免疫疾患の人がいる場合)
- ウイルス感染(エプスタイン・バーウイルスなど)がきっかけになる可能性
リスク要因
- 女性であること
- 40歳以上であること
- 他の自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)を持っている
- 家族に自己免疫疾患の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の視力低下や目の激しい痛みがある
- 口が異常に乾いて呼吸や食べ物・水を飲み込むのが困難
- 激しい腹痛、胸の痛み、または意識がぼんやりする
定期受診を予約すべき場合:
- 数週間以上続く目の乾きや口の渇き
- 頻繁な虫歯や口内炎、のどの違和感
- 疲れやすさや関節の痛みが続く
- 妊娠を考えている場合(シェーグレン症候群は妊娠に影響することがあるため)
診断
シェーグレン症候群の診断は、医師が問診と検査を組み合わせて行います。目と口の乾燥の程度を確認し、血液検査や涙・唾液の検査、場合によっては小さな組織を取って調べる生検(せいけん)などが行われます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(自己抗体という免疫の異常を示す物質を調べる)
- シルマーテスト(涙の量を測る)
- 唾液腺シンチグラフィーや唾液分泌量の測定
- 口唇腺生検(下唇の小さな腺を取って顕微鏡で調べる)
- 目を染色する検査(角膜や結膜の傷を調べる)
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。複数の専門医(リウマチ内科、眼科、歯科、耳鼻咽喉科)が連携して行うこともあります。検査は痛みを伴うものもありますが、医師が説明しながら進めてくれます。診断を受けた後は、症状に合わせた治療や生活の工夫で多くの症状を和らげることができます。
治療
シェーグレン症候群の治療は、症状を和らげて生活の質を保つことが中心です。根本的に治す治療法はまだありませんが、様々な方法で乾燥症状や全身症状をコントロールできます。治療は医師(リウマチ内科、眼科、歯科など)の指導のもとで行います。
自宅でのセルフケア
- 人工涙液(目薬)をこまめにさす(防腐剤なしのものを選ぶと良い)
- 水分をこまめにとる、のどあめやキシリトール入りのガムをかむ
- 加湿器を使って室内の湿度を50%以上に保つ
- 強い風やエアコン、タバコの煙を避ける
- 歯磨きとフッ素入り歯磨き粉で虫歯を予防する
医療治療
医師は症状に応じて、人工涙液や唾液分泌を促す薬、抗炎症薬、免疫を調整する薬(免疫抑制剤など)を処方することがあります。点眼薬や内服薬など様々な形で提供されます。重症の場合や合併症がある場合は、リウマチ専門医による定期的な管理が必要です。
手術が検討される場合
まれに、関節の破壊が進んだり、内臓に重い合併症(例えば間質性肺炎や腎障害)が起きた場合には、手術や専門的な治療が検討されることがあります。医師とよく相談してください。
この病気と共に生きる
シェーグレン症候群と共に生きることは、乾燥症状への細やかなケアと、疲れやすい体への配慮が必要です。目薬や水分補給のタイミングを工夫し、無理のない生活リズムを作ることが大切です。長く付き合う病気ですが、適切に対処すれば多くの人は日常生活を大きく変えずに過ごせます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休憩をとる(疲れをためない)
- こまめな加湿と水分補給
- 口の中を清潔に保ち、定期的に歯科検診を受ける
- 外出時にはサングラスや帽子で目を保護する
- 禁煙する(タバコは乾燥を悪化させる)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけましょう。酸っぱいものや刺激物が口の乾燥を和らげることもありますが、口内炎があるときは控えめに。水分をしっかりとり、柔らかくて飲み込みやすい料理を工夫すると良いです。軽い運動(ウォーキングやストレッチ)は血流を良くし、疲れや関節のこわばりを和らげる助けになります。
精神的健康と心の健康
慢性的な乾燥や疲れは気分にも影響することがあります。イライラしたり、悲しくなったりするのは自然なことです。感情を一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に話してみましょう。必要ならカウンセリングや心療内科のサポートも役立ちます。
予防
現在のところ、シェーグレン症候群を完全に予防する方法はわかっていません。しかし、健康的な生活習慣(バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理)を心がけることで、症状の悪化を防ぎやすくなる可能性があります。
ワクチン
定められた予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌など)は、免疫のバランスを大きく崩さない限り受けることができます。ただし、自己免疫疾患があるため、ワクチンの前に医師に相談してください。
検診プログラム
特別なスクリーニング検査はありませんが、目や口の乾燥が続く場合、または関節リウマチなどの自己免疫疾患がある場合は、定期的に医療機関で経過を見てもらうことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 虫歯や歯周病が急速に進み、歯を失いやすくなる
- 角膜(黒目の部分)に傷や潰瘍(かいよう)ができて視力低下を起こす
- 関節の炎症が慢性化して関節が変形する
- 間質性肺炎や腎臓の病気(腎炎)などの内臓合併症
- 神経症状(しびれ、痛み)が現れることがある
長期的な見通し
シェーグレン症候群は完治が難しい病気ですが、多くの人は適切な治療と生活の工夫で症状をうまくコントロールし、普段の生活を続けることができます。合併症に注意しながら、定期的に医師のフォローアップを受けることで、長期的に安定した状態を保つことが可能です。希望を持って病気と向き合いましょう。
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最終更新: 2026年7月9日
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