二分脊椎(二分脊椎症)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
二分脊椎は、おなかの中で赤ちゃんの背骨(せぼね)がうまく作られず、背骨の一部が割れたり欠けたりする先天的な状態です。脊髄や神経に影響が出ることがあり、症状や重さは人によって大きく異なります。軽い場合はほとんど症状がなく、重い場合は足の動きや感覚、排尿・排便などに障がいが出ることがあります。
重要な事実
- 二分脊椎は生まれつきの背骨の形成異常です。
- 重症度は軽度から重度まで幅広く、症状は人それぞれです。
- 妊娠前からの葉酸摂取が予防に役立つとされています。
日本では、妊娠中の葉酸摂取などの啓発が進み、罹患率は減少傾向にありますが、それでも約1000人に1人程度の割合で見られるといわれています。
受精から約4~6週目の胎児の時期に神経管の閉鎖がうまくいかないことで起こるため、出生時にはすでに状態が決まっています。女児にやや多いとされ、どの家庭でも起こり得る状態です。
症状
- 突然の意識の低下
- けいれん
- 呼吸が苦しそう
- 高熱が続く
- 顔色が青い、ぐったりしている
- ⚠新たな、または急に悪化する足のしびれや脱力
- ⚠尿がまったく出ない
- ⚠激しい頭痛または腰痛
- ⚠背中の皮膚の赤い腫れや熱感
- ⚠発熱を伴う排尿時や背中の痛み
一般的な症状
- 背中の下の方に毛やあざ、しこり、袋のようなものがある
- 足の力が弱い、感覚が鈍い
- 尿や便が出にくい、または漏れやすい
- 足の形や歩き方の異常
子供の症状
- 歩き始めが遅い
- 足や腰の変形
- 水頭症(頭の中に水がたまる状態)による頭の大きさの増大や発達の遅れ
- 学習や集中の困難
高齢者の症状
- 加齢に伴う筋力低下の進行
- 腰痛や関節の痛み
- 排尿・排便のコントロールの悪化
- 皮膚の傷や床ずれ(じょくそう)ができやすくなる
原因
主な原因
- 背骨と脊髄のもとになる神経管が妊娠初期に正しく閉じないことが直接の原因です。
- 神経管が閉じないことで背骨にすき間ができ、脊髄や神経が正常に発達しないことがあります。
- 遺伝要因と環境要因が関わっていると考えられていますが、正確な原因はまだわかっていません。
リスク要因
- 妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸(ビタミンB群の一種)が不足している
- 糖尿病がある、または妊娠前の血糖コントロールが良くない
- 妊娠中に特定の抗てんかん薬を服用している(医師に相談が必要)
- 家族や親戚に二分脊椎など神経管閉鎖障害をもつ人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(意識障害・けいれん・呼吸困難など)がある場合は、すぐに119番で救急車を呼んでください。
- 尿が出ない、急に足の力が入らない、激しい頭痛が続くなどの場合も、当日中に医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 二分脊椎と診断されている人は、定期的に小児科・脳神経外科・整形外科・泌尿器科などの担当医のフォローアップを受けてください。
- 症状が少しでも変わったときや、新しい症状が出たときは、次の受診を待たずに相談しましょう。
- 思春期や成人期の移行期には、学校や職場での支援についても医療者に相談することをおすすめします。
診断
妊娠中の超音波検査(エコー)や血液検査で見つかる場合があります。出生後は、背中の外見の特徴や神経の症状から疑われ、画像検査を行って診断を確定します。
行われる可能性のある検査
- 妊娠中の超音波検査(エコー)
- 母体血清マーカー検査(血液検査)
- 出生後のMRI(磁気共鳴画像)
- CT(コンピュータ断層撮影)
- 尿流量測定や膀胱機能検査などの排尿・排便の検査
診察で予想されること
診断のためには、産科、小児科、脳神経外科、整形外科など複数の専門家が協力します。赤ちゃんやお母さんに負担の少ない方法を医師が丁寧に説明しますので、不明なことはいつでも質問してください。出生前診断の場合は、今後の妊娠や出産・治療方針について専門医とゆっくり話し合う機会があります。
治療
治療の目標は、神経の働きをできるだけ保ち、合併症を予防して、その人らしい生活を支えることです。重症度に応じて、外科手術・リハビリテーション・薬物療法・定期的な観察などを組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- 皮膚を清潔に保ち、床ずれ(じょくそう)を予防する
- 定期的に体の向きを変え、圧迫が続く場所をつくらない
- 水分をしっかりとり、膀胱や腸の管理を続ける
- 理学療法士などの指導に従って、無理のない範囲で体を動かす
- 定期検診を欠かさず受ける
医療治療
薬は、痛みや膀胱・腸の症状、水頭症による頭痛などを和らげるために使われることがあります。しかし、どんな薬を使うか、どのくらいの量を使うかは、担当医が年齢・症状・全身状態をみて決めます。自分で判断せず、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
出生直後に、背中の袋(髄膜瘤)を閉じて脊髄を保護する手術が行われることがあります。また、水頭症がある場合は、たまった脳脊髄液を腹腔に流す管(シャント)を入れる手術が検討されます。手術が必要かどうかは、症状や画像検査の結果、全身状態をみて専門医チームが判断します。
この病気と共に生きる
生活しやすい環境を整えることで、できることは大きく広がります。足や腰の状態に合わせて、杖や歩行器、車いすを使うこと、自宅の段差をなくす、手すりをつけるなどの工夫が役立ちます。学校や職場では、個別の支援計画や合理的配慮を申し出ることもできます。
生活習慣のアドバイス
- 水泳など、関節や腰に負担のかかりにくい運動を医師と相談して行う
- 体重を適正に保つ(体重増加は膝や腰の負担を増やします)
- 皮膚トラブルを防ぐため、毎日皮膚の状態を確認する
- 生活リズムを整え、十分な睡眠をとる
- 困ったときは我慢せず、早めに医療者や相談員に話す
食事と運動
便通を整えるため、野菜や果物など食物繊維を多く含む食品と、水分を積極的にとりましょう。運動は、理学療法士の指導を受けながら、無理のない範囲で継続することが大切です。肥満は症状を悪化させるため、かかりつけ医のアドバイスを受けながら食事管理を行いましょう。
精神的健康と心の健康
見た目や歩き方、排尿・排便の問題などがきっかけで、自信を失ったり、人と違う自分に悩んだりすることがあります。また、親としても、我が子の将来を心配し、大きなストレスを感じることがあります。そういった気持ちは自然なものであり、一人で抱え込まずに、家族や友人、心理の専門家、患者支援団体に話してみましょう。
予防
完全に予防することはできませんが、妊娠を計画している女性は、妊娠前から妊娠初期(少なくとも妊娠12週まで)に葉酸サプリメントを1日0.4mg摂取することが推奨されています。これは厚生労働省の指針でも示されています。持病がある場合や薬を服用中の方は、妊娠前に医師に相談して、適切な管理を行いましょう。
ワクチン
二分脊椎そのものを予防するワクチンはありません。ただし、妊娠中の風疹などの感染症は胎児に影響を与えることがあるため、妊娠前に必要な予防接種を済ませておくことが大切です。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。
検診プログラム
妊娠中の超音波検査(エコー)や母体血清マーカー検査は、二分脊椎の診断の手がかりとなります。ただし、これらの検査で確実にわかるわけではなく、偽陽性・偽陰性の可能性もあります。検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、産科医とよく相談して決めましょう。
合併症
治療しない場合
- 下肢の麻痺や感覚障害が進行する
- 水頭症による脳の圧迫や神経症状
- 尿路感染症の繰り返しや腎障害
- 皮膚の傷や床ずれから感染症を起こす
- 歩行や生活動作の能力が低下する
長期的な見通し
医学の進歩により、二分脊椎をもつ人たちの見通しは大きく改善しています。適切な医療・リハビリ・支援があれば、多くの人が成人し、学校や仕事、社会活動に参加して、自分らしい生活を送っています。状態に合わせてサポートを受けることが、将来の可能性を広げる鍵になります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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