胃潰瘍(いかいよう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
胃潰瘍とは、胃の内側の粘膜(ねんまく)が傷ついてできた「ただれ」や「穴」のことです。胃の壁が胃酸などで傷つき、痛みや出血などの症状を引き起こします。
重要な事実
- 胃潰瘍は感染症や薬が原因で起こることが多く、原因に合わせた治療が大切です。
- 多くの場合、薬で治りますが、放っておくと出血や穴があくことがあります。
- ピロリ菌という細菌が原因の場合は、除菌(じょきん)治療で治る可能性があります。
胃潰瘍はよくある病気です。日本人の10人に1人くらいが一生のうちに一度は経験するといわれています。
大人に多く、特に60歳以上の方や、痛み止めをよく使う方に多いです。ただし、若い人や子どもでもかかることがあります。
症状
- コーヒーのような黒い液体や血を吐く
- 便が黒く、ねっとりしている(消化管出血の可能性)
- 突然のがまんできない腹部の激痛
- 冷や汗、めまい、意識がもうろうとする
- ⚠血を吐いたが、量が少なく落ち着いている
- ⚠黒い便があるが、ふだんと変わらない
- ⚠強い痛みが続く
- ⚠水分や食べ物がとれない
一般的な症状
- みぞおち(おへその上)のあたりが焼けるように痛む
- 食事のあいだや夜に痛むことがある
- 胃がもたれる、膨満感(ぼうまんかん)がある
- 吐き気や胸やけ
- 食欲が落ちる
子供の症状
- 腹部(おなか)の痛みを訴える
- 吐き気や嘔吐(おうと)
- 食欲がない、体重が増えない
高齢者の症状
- 症状があまり出ず、気づかないことがある
- 黒い便(タール便)や貧血で見つかることもある
- 体重減少や慢性的な疲れ
原因
主な原因
- ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という細菌の感染
- 痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)の頻繁な使用
- 胃酸や消化液が胃の粘膜を傷つけること
リスク要因
- アルコールの飲みすぎ
- ストレスや睡眠不足
- 血縁者(家族)に胃潰瘍や胃がんの人がいる
- 胃の手術をしたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 吐血や黒い便がある
- 激しい腹痛がある
- めまいや冷や汗が続く
定期受診を予約すべき場合:
- みぞおちの痛みや胃もたれが1週間以上続く
- 食欲不振や体重減少がある
- 胸やけがよくある
診断
医師が問診や検査を行い、胃潰瘍かどうかを調べます。胃カメラ(内視鏡)がもっとも確実な検査です。
行われる可能性のある検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ): 口や鼻から細い管を入れ、胃の内部を直接見ます
- ピロリ菌検査: 呼気・便・血液・内視鏡で調べます
- バリウム検査(胃のX線検査): 飲んだバリウムで胃の形を映します
診察で予想されること
胃カメラは眠っている間に受けられることが多く、痛みはほとんどありません。検査前に説明があるので、不安なことは遠慮なく質問してください。
治療
治療は原因を除去し、胃の粘膜を修復することです。ピロリ菌が原因なら除菌(じょきん)を行い、薬が原因の場合は薬を変更・中止して、胃の粘膜を保護する治療をします。
自宅でのセルフケア
- 食事はゆっくり、よく噛んで、食べすぎを避ける
- 刺激の強い食品(香辛料、コーヒー、アルコールなど)を控える
- 禁煙する
- ストレスをためないようにする
医療治療
胃酸の分泌を抑える薬、胃の粘膜を保護する薬、ピロリ菌を除菌するための抗生物質を含む治療などがあります。医師の指示に従って、処方された薬を飲み続けることが大切です。
手術が検討される場合
穿孔(胃に穴があく)や出血が止まらないなど、重症な場合には手術を行うことがあります。近年は手術が必要になることはほとんどありません。
この病気と共に生きる
薬を正しく飲み、再発の可能性があるため、症状がなくても指示された通りの治療を継続してください。定期的に医師の診察を受けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 痛み止めが必要なときは、薬剤師や医師に相談して、胃にやさしい方法を選ぶ
- 起床時や食後の歯磨き、規則正しい生活でピロリ菌の再感染を防ぐ
- 家族や友人に気持ちを伝えて、一人で抱え込まない
食事と運動
食事はバランスよく、1日3食規則正しくとることが基本です。辛いものや脂肪の多いものは症状を悪化させることがあるので、自分の体を観察しながら食べましょう。軽い運動はストレス解消に役立ちますが、激しい運動は症状があるときは控えてもよいでしょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや出血は不安を引き起こすことがあります。気分が落ち込んだり、不眠が続く場合は、がまんせずに医療機関に相談してください。
予防
胃潰瘍は、原因となるピロリ菌の感染や薬の使い方に注意することで、ある程度予防できます。ただし、完全に防ぐことはできないため、早期の受診が重要です。
検診プログラム
胃潰瘍を対象にした一般的な検診はありませんが、胃カメラ検診やピロリ菌検査を受けることで、早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 胃からの出血(吐血や黒い便)
- 胃に穴があく(穿孔)
- 胃の出口が狭くなる(狭窄)による食べ物のつかえ
- まれに、胃がんのリスクが高くなることがある
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、多くの胃潰瘍は数週間で治ります。ピロリ菌が原因の場合は除菌により再発も大きく減らすことができます。あわてず、医師と一緒に治療を進めていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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