くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
くも膜下出血とは、脳を包む3つの膜のうち、真ん中の「くも膜」と、その内側の「軟膜」のあいだの空間に出血が起こる病気です。多くは脳の血管にできた「こぶ(動脈瘤)」が破れて起こります。
重要な事実
- 脳卒中(脳の血管の病気)の一種で、全脳卒中の約1~2%を占めるといわれています。
- 突然の激しい頭痛が特徴で、「人生で経験したことのない頭痛」と表現されることがあります。
- すぐに救急搬送が必要な緊急事態です。
頻度はそれほど高くありませんが、命に関わる重大な病気です。日本人では年間10万人あたり約20~30人程度の発生とされています。
40歳から60歳くらいの成人に多く、女性のほうがやや多い傾向があります。高血圧や喫煙のある人ではリスクが高くなります。
症状
- 突然の激しい頭痛(今までにない強さ)
- 頭痛とともに意識がもうろうとする
- 頭痛とともに片方の手足が動かせない
- 頭痛とともにけいれんが起きる
- 頭痛とともに激しい吐き気や嘔吐がある
- ⚠頭痛が数日続いている、またはだんだん強くなっている
- ⚠頭痛に加えて、首のこりや発熱がある
- ⚠頭痛が起きたあとに、ぼんやりしたり、物忘れが目立つ
一般的な症状
- 突然の激しい頭痛(これまでに経験したことがないほどの痛み)
- 吐き気や嘔吐
- 首の後ろが硬くなる(首のこり・痛み)
- 意識がもうろうとする、または失神する
- 光がまぶしい、目がかすむ
- けいれん発作
- 片方の手足のまひやしびれ、言葉が出にくい
原因
主な原因
- 脳の動脈にできる動脈瘤(血管の壁の一部が風船のように膨らんだもの)が破れること
- 脳動静脈奇形(血管の構造が生まれつき異常な病気)
- 頭部の外傷
- 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)の影響
- 原因がはっきりしない場合もある
リスク要因
- 過度の飲酒
- 家族に脳動脈瘤やくも膜下出血を起こした人がいる
- 結合組織病(血管が弱くなりやすい遺伝性の病気)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛が起きた場合は、迷わず救急車(119)を呼んでください。
- 頭痛とともに意識が遠くなる、ろれつが回らない、片方の手足が動かない、などの症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 繰り返す頭痛や、気になる頭痛がある場合
- 高血圧と指摘されたことがあるが治療を受けていない場合
- 家族にくも膜下出血を起こした人がいる場合
診断
くも膜下出血は緊急を要する病気です。診察と画像検査の結果を合わせて診断されます。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT検査:出血をすばやく確認できます
- 腰椎穿刺(ようついせんし):背中の針を使って脳脊髄液を調べます
- 脳血管造影(CTまたはMRI):血管の形を詳しく見ます
- 頭部MRI検査:小さな出血や血管の状態を詳しく調べます
- 血液検査:全身状態と出血の程度を確認します
診察で予想されること
救急外来では、まず頭部CT検査を行い、出血があるかどうかを確認します。検査結果が正常でも、症状が強く疑わしい場合は、腰椎穿刺や追加の画像検査が行われることもあります。診断がついたら、すぐに専門の治療が始まります。
治療
くも膜下出血は、一刻を争う緊急事態です。再出血や脳の血管が細くなる「脳血管れん縮」などの合併症を防ぐための治療が、専門の医療機関で集中的に行われます。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従い、安静を保つ
- 再出血の予防のために、血圧を急に上げるような動作を避ける
- タバコは絶対に吸わない
- 頭痛や吐き気などの症状が悪化したら、すぐに報告する
医療治療
出血した血管や動脈瘤に対する治療には、手術と血管内治療があります。手術は頭蓋骨の一部を開いて動脈瘤の根元をクリップで挟む方法で、血管内治療は血管に細い管を入れてコイルで動脈瘤を塞ぐ方法です。どちらの方法が適しているかは、動脈瘤の形や場所、患者さんの状態によって専門医が判断します。また、脳の血管のれん縮を予防するための薬や、脳圧を下げる治療も行われます。
手術が検討される場合
動脈瘤が破裂して出血している場合は、再破裂を防ぐために、できるだけ早く手術か血管内治療が行われます。
この病気と共に生きる
退院後も、リハビリテーションや経過観察が必要です。体力や認知機能(頭の働き)の回復には時間がかかることがあります。医師の指示を守り、無理をせず、ゆっくりと日常生活に戻りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を必ず守る
- 飲酒は医師に相談して、少量にするか控える
- 血圧を毎日測り、高血圧をしっかり治療する
- 疲れやストレスをためず、十分な睡眠と休息を取る
食事と運動
塩分を控えめにしたバランスのよい食事を心がけましょう。血圧を下げるためには、野菜や果物、魚を積極的に取り入れ、加工食品や脂っこい食事を避けることが大切です。運動は、医師と相談しながら、ウォーキングなどの軽い運動から始めるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
くも膜下出血の後は、不安や落ち込み、疲れやすさを感じることはよくあります。感情の変化や記憶力の低下が続くこともあり、とてもつらい時期だと思います。そうした気持ちを一人で抱え込まず、家族や医師、看護師に話すことが大切です。
予防
すべてのくも膜下出血を予防することはできませんが、リスクを大きく減らすことはできます。特に、高血圧の治療、禁煙、適度な飲酒はとても重要です。
ワクチン
くも膜下出血を直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
家族にくも膜下出血や脳動脈瘤の人がいる場合、早期発見のために脳ドックなどの検査を受けることができます。ただし、検査を受けるかどうかは医師とよく相談して決定することがすすめられます。
合併症
治療しない場合
- 再出血(再び出血して症状が悪化する)
- 脳血管れん縮(脳の血管が細くなり、脳梗塞を起こす)
- 水頭症(脳の中に脳脊髄液がたまる)
- けいれん発作
- 意識障害や寝たきり、最悪の場合、命に関わります
長期的な見通し
くも膜下出血は非常に重い病気ですが、現代の医療では命を救える可能性が大きく高まっています。発症後すぐに適切な治療を受けることができれば、多くの人が社会復帰を目指せます。後遺症が残ることもありますが、リハビリテーションや日常生活の工夫で、自分らしい生活を取り戻すことが可能です。希望を持って治療に取り組んでください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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