Superficial thrombophlebitis
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
表在性血栓性静脈炎(ひょうざいせい けっせんせい じょうみゃくえん)とは、皮膚のすぐ下にある静脈(血管の一種)に炎症と血液の塊(血栓)ができる病気です。多くの場合、足の静脈に起こりますが、腕などにも起こることがあります。
重要な事実
- 静脈の炎症と小さな血栓が特徴で、多くの場合、自然に治るか簡単な治療で改善します。
- 深部静脈血栓症(深いところの静脈にできる血栓)とは異なり、一般的には重篤ではありませんが、まれに進行することがあります。
- 治療は主に症状を和らげるための自己ケアと、必要に応じて医師によるケアが含まれます。
比較的よく見られる病気です。特に、静脈瘤がある方や、長時間座ったり立ったりする仕事をされている方に多くみられます。
静脈瘤のある方、妊娠中の方、長時間の旅行やデスクワークで動かない状態が続く方、または静脈に注射や点滴をされた方に起こりやすいです。年齢や性別を問わず発症する可能性があります。
症状
- 急に強い痛みや腫れが脚全体に広がる
- 息苦しさや胸の痛み、突然の強い咳、血を吐くなど、肺に血栓が飛ぶ(肺塞栓症)の兆候がある場合は、すぐに119番通報してください。
- ⚠症状が悪化したり、痛みが強くなって歩けなくなる
- ⚠発熱や悪寒(おかん)がある
- ⚠赤みや腫れが急に広がる
- ⚠自己ケアをしても数日で改善しない
一般的な症状
- 患部の皮膚が赤くなる、または暗紫色になる
- 血管に沿って硬く、触ると温かく感じる
- 痛みや圧痛(押すと痛む)
- 軽い腫れやかゆみ
子供の症状
- 子どもでは、腕や脚に点滴や注射をした後に起こることがあります。症状は大人と似ていますが、赤ちゃんや小さな子どもの場合は、泣いたり、触られるのを嫌がることで表現されることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、症状が軽く現れることがありますが、皮膚の変化や痛みを感じにくい場合もあります。腫れや熱感に注意が必要です。
原因
主な原因
- 静脈の壁に傷がつくこと(たとえば、注射や点滴、けがなど)
- 血液の流れが滞ること(長時間座りっぱなし、寝たきり、静脈瘤など)
- 血液が固まりやすくなる状態(脱水、がん、ホルモン療法、遺伝的な要因など)
リスク要因
- 静脈瘤がある
- 妊娠中または産後
- 長時間の旅行(特に飛行機)やデスクワーク
- がんや血液凝固の異常がある
- 過去に血栓症になったことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状が突然悪化した場合
- 脚全体が腫れて痛む場合
- 呼吸困難や胸の痛みがある場合(すぐに119番)
定期受診を予約すべき場合:
- 自己ケアを試しても痛みや腫れが数日以内に改善しない場合
- 赤みやしこりが大きくなったり、新しい場所に出てきた場合
- 原因不明の症状が続く場合
診断
医師が症状を聞き、患部の触診や視診を行います。多くの場合、これだけで診断がつきます。
行われる可能性のある検査
- 超音波検査(エコー):皮膚の表面から静脈の中の血流や血栓の状態を調べます。痛みはありません。
- 血液検査:炎症の程度や、血栓ができやすい体質かどうかを調べることがあります。
- 必要に応じて、血栓が深部静脈まで広がっていないか確認するために、追加で超音波検査を行うこともあります。
診察で予想されること
診察は短時間で済みます。超音波検査は冷たいジェルをお腹や足に塗って、プローブを当てるだけです。結果はその場で説明されることが多いです。
治療
治療の目標は、症状を和らげ、血栓が深部静脈に広がるのを防ぐことです。多くの場合は自宅でのケアで改善しますが、痛みが強いときやリスクが高い場合には医師の治療が必要です。
自宅でのセルフケア
- 温かいタオルや湯たんぽを患部にあてる(温湿布):1日3~4回、15~20分ずつ。
- 患部をできるだけ高く上げる(横になるときにクッションを足の下に置くなど)。
- 弾性ストッキング(着圧ソックス)を医師や薬剤師の指導のもとで使用する。
- 市販の鎮痛薬(痛み止め)は、医師や薬剤師に相談してから使用する。
- 動ける範囲で軽く歩くなど、血流を良くする。ただし、激しい運動は避ける。
医療治療
医師は、炎症を抑えるための外用薬(塗り薬)や、痛みや腫れを改善する内服薬を処方することがあります。また、血栓が大きい場合や深部静脈に広がるリスクが高い場合には、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を用いることがあります。これらの薬は医師の指示のもとで使用します。
手術が検討される場合
一般的に手術が必要になることはほとんどありません。ただし、血栓が非常に大きくて痛みが強い場合や、繰り返し感染を起こす場合には、医師が浅い静脈を切除する手術(静脈摘出術)を検討することがあります。
この病気と共に生きる
日常生活では、痛みが引くまで無理をせず、脚を休めるようにしましょう。症状が改善しても、再発予防のために足の血流を良くする習慣を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 長時間同じ姿勢を避け、1時間に一度は立ち上がって動く。
- 弾性ストッキングを医師のアドバイスに従って着用する。
- 足を組まずに座る。
- 禁煙する(喫煙は血栓のリスクを高めます)。
- 適度な体重を維持する。
食事と運動
血栓の予防には、水分をしっかりとり、バランスの良い食事を心がけましょう。特に、血行を良くするために適度な運動(ウォーキングなど)を週に数回行うことをおすすめします。激しい運動は痛みを悪化させることがあるので、調子を見ながら行ってください。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと不安になったり、繰り返し起こることで気分が落ち込むことがあります。そんなときは、一人で悩まずに医師や看護師、またはカウンセラーに相談してください。
予防
完全に予防するのは難しいですが、リスクを減らすことはできます。特に、長時間の旅行やデスクワークの際には、こまめに体を動かし、水分をしっかりとることが重要です。静脈瘤がある方は、弾性ストッキングの着用や医師の指導を受けることでリスクを下げられます。
合併症
治療しない場合
- 血栓が深部静脈に広がる(深部静脈血栓症)
- 血栓が肺に飛ぶ(肺塞栓症)— これはまれですが緊急を要します。
- 静脈の炎症が長引いて慢性化する
- 皮膚に潰瘍(ただれ)ができる(非常にまれ)
長期的な見通し
ほとんどの表在性血栓性静脈炎は、適切なケアで数週間以内に良くなります。深部静脈血栓症や肺塞栓症などの深刻な合併症が起こることはまれです。治療を受ければ予後は良好で、多くの方は後遺症なく回復します。再発を防ぐために生活習慣の改善を心がけましょう。
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最終更新: 2026年7月16日
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