梅毒(ばいどく)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によっておこる感染症です。主に性行為によってうつります。感染しても初期は症状が軽い、あるいは気づかないことがありますが、そのまま放置すると、長い年月をかけて心臓や血管、神経などに深刻な影響をおよぼすことがあります。ただし、早期に見つけて治療すれば、しっかりと治せる病気でもあります。
重要な事実
- 梅毒は適切な治療を受ければ、多くの場合治る病気です。
- 症状が消えても、体内に細菌が残っていることがあります。
- 妊娠中に感染すると、赤ちゃんに影響することがあります。
日本では、近年報告される梅毒の患者数が増えています。全国の医療機関からの報告をもとに厚生労働省が感染動向を発表しています。
性行為をするすべての人がかかる可能性があります。男性同士の性的接触が多いとされていますが、女性や異性間の性的接触でも感染は増えています。特定の人がかかる病気ではなく、特別な病気と思わないことが大切です。
症状
- 急に視力が落ちた、物が二重に見える
- 強い頭痛、意識がもうろうとする、けいれんがおきる
- からだの半分が動かない、しびれが続く
- 突然、胸の激しい痛みや息苦しさがある
- ⚠性器や口に痛みのない潰瘍やしこりができた
- ⚠手のひらや足の裏を含む発疹が広がっている
- ⚠パートナーが梅毒と診断された
- ⚠妊娠中で、性感染症を心配している
一般的な症状
- 性器や口の中、肛門のまわりに、痛みのない潰瘍(皮膚や粘膜がただれた状態)ができる
- 手のひらや足の裏を含む、全身に赤い発疹が出る
- 発熱、だるさ、リンパ節の腫れがみられる
- のどが痛む、頭髪の一部が抜けるなどの症状がでることもある
- しばらくして症状が消え、無症状の期間が続くことがある
子供の症状
- お母さんから赤ちゃんへ感染する(先天梅毒)ことがあり、乳幼児では発疹や鼻づまり、黄疸などの症状がみられることがあります。
- 子どもに性器や口のまわりのただれや発疹がある場合は、性的虐待の可能性もあるため、早めに医師へ相談することが大切です。
高齢者の症状
- 高齢者では症状がはっきりしないことがあり、疲れやすさや体重減少など、ほかの病気と似た症状が続くことがあります。
- 心臓や血管、神経の病気として発見されることもあります。
原因
主な原因
- 梅毒トレポネーマという細菌への感染が原因です。
- 感染者の皮膚や粘膜に直接触れることで感染します。多くは性行為(膣、口、肛門などを含む)でうつります。
- 感染した妊婦から胎盤を通じて赤ちゃんにうつることがあります。
リスク要因
- コンドームを正しく使わない性行為
- 複数の性行為の相手がいる
- 男性と性行為をする男性
- 性風俗店を利用したことがある
- パートナーが性感染症にかかっている可能性がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 性器や口などの症状が気になるとき
- 感染の可能性がある性行為をしたあと
- パートナーが梅毒と診断されたとき
- 妊娠中に感染の心配があるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や性感染症検診の機会に、一度は梅毒の検査を受けることも選択肢です。
- 新しいパートナーができた場合は、性感染症の検査を一緒に受けてみましょう。
診断
医師による問診と診察、そして血液検査で診断します。必要に応じて、潰瘍や発疹の部分から検体をとって調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:抗体の有無や活動性を調べます。
- 診察:皮膚や粘膜の症状、リンパ節の腫れを確認します。
- 病変からの検体検査:潰瘍や発疹がある場合に、細菌の存在を調べます。
診察で予想されること
血液検査の結果は、通常1〜2週間でわかります。結果が出るまでの間、性行為は控えるか、コンドームを使うなどの対応が必要です。検査を受けるときは、これまでの性行為の状況など、医師に話しやすい範囲で伝えましょう。
治療
治療は抗菌薬(抗生物質)が中心です。感染してからの期間や症状に合わせて、注射や内服薬が選ばれます。症状が軽くても、治療を途中でやめると再発することがあるため、医師の指示に従って最後まで治療することがとても大切です。
自宅でのセルフケア
- 医師が決めた治療をすべて終える
- 治療が終わるまでは、性行為を控える
- パートナーにも検査や治療をすすめ、話し合う
- 十分な休養をとり、栄養バランスのよい食事を心がける
医療治療
抗菌薬による治療が主な方法です。病期が進むと治療期間が長くなったり、入院が必要になることもあります。妊娠中の方は、赤ちゃんへの影響を防ぐため、産科の医師と連携しながら治療をすすめます。薬の種類や使い方は、医師が感染の状態やアレルギーなどをふまえて決めます。
手術が検討される場合
進行して心臓や血管、神経などに障害がおきている場合、その障害に対して手術などが必要になることもあります。梅毒そのものは抗菌薬で治療します。
この病気と共に生きる
治療中は、感染をひろげないために、性行為を控える必要があります。治療が終わったあとも、安心するために再度の血液検査を受けることがあります。経過観察は医師の指示に従ってください。
生活習慣のアドバイス
- ストレスをためないよう、自分なりのリラックス方法をみつける
- パートナーとの関係では、お互いの健康のため、感染症について話し合う
- 定期的に性感染症の検査を受けることも予防につながる
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、免疫を保つために、バランスのよい食事と軽い運動を無理のない範囲で続けましょう。喫煙は血管への負担になるため、禁煙がすすめられます。
精神的健康と心の健康
梅毒の診断は、ショックや不安を感じることがあるでしょう。病気と向き合うことは簡単ではないかもしれません。強い不安や落ち込みが続く場合は、ひとりで抱え込まず、医療機関や相談機関に相談してください。カウンセリングなどの支援をうけることもできます。
予防
性行為の際にコンドームを正しく使用することで、感染リスクを大きく減らせます。ただし、コンドームで覆われない部分でも感染することがあるため、完全に防ぐことはできません。感染の心配がある場合は、早めに検査を受けましょう。
ワクチン
梅毒を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
血液検査で簡単に調べられます。健康診断に含まれていないこともあるため、気になる場合や新しいパートナーができた場合は、性感染症の検査を選択しましょう。妊婦健診でも梅毒の検査が行われます。
合併症
治療しない場合
- 感染を放置すると、数年後〜数十年後に心臓や大血管の障害(大動脈瘤など)を起こすことがあります。
- 脳や脊髄におよぶと、認知症のような症状や歩行障害、視力障害などが現れることがあります。
- 妊娠中の感染は、流産や死産、新生児の先天梅毒の原因になります。
- 感染したままだと、HIVなどのほかの性感染症にかかりやすくなります。
長期的な見通し
梅毒は、早期発見・早期治療がとても大切です。早期の段階で治療すれば、後遺症を残さず治ることがほとんどです。たとえ病期が進んでいても、治療によって症状を改善し、進行を止められる可能性があります。諦めずに、医療機関の力をかりてください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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