精巣がん(睾丸がん)について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
精巣がんは、男性の精巣(睾丸)にできるがんです。精巣は、精子をつくる大切な器官で、骨盤の下の袋(陰嚢)の中に左右に一つずつあります。精巣がんは細胞が異常に増えることで起こり、主に片方の精巣にできます。早期に見つかれば治療しやすいがんの一つです。
重要な事実
- 最も多いのは20~30歳代で、若い世代に発生するがんです。
- しこりや腫れなどの兆候に気づきやすく、自己触診(自分で触って確認すること)が早期発見に役立ちます。
- 早期に発見できれば、およそ90%以上の方が治ると言われています。
精巣がんは男性のがんの中ではまれな部類ですが、20歳から40歳までの若い男性に最も多く見られます。日本では年間およそ2,000人程度が診断されると推定されています。
主に15歳から45歳の男性に発症します。特に、生まれたときに精巣が陰嚢に下りていない「停留精巣」の経験がある方は、リスクが高くなります。
症状
- 睾丸や下腹部に突然起こる激しい痛み(精巣捻転などが疑われる緊急事態)
- 激しい痛みに加えて、吐き気・嘔吐・めまい・冷汗が出る
- 排尿が急にできなくなる、おしっこに血が混じる
- ⚠睾丸に痛みを伴うしこりができた
- ⚠睾丸が赤く腫れて熱っぽい
- ⚠睾丸の痛みや重だるさが続く(2週間以上)
一般的な症状
- 片方の精巣にしこりや硬い部分を感じる
- 精巣の重だるさや腫れ
- 陰嚢の痛みや違和感(痛みがないことも多い)
- 精巣の大きさが変わる、左右で大きさが異なる
子供の症状
- まれですが、思春期頃から発症することがあります。
- 陰嚢に痛みのないしこりや腫れがある、または片方の精巣が大きくなってきた
- 体の成長に伴い、陰嚢の変化に気づくこともあります
高齢者の症状
- 高齢者ではやや異なるタイプのがんが見られることがあります。
- しこりや腫れに加えて、腰や背中の痛み、体重減少などの症状が現れることもあります。
原因
主な原因
- 精巣がんの原因ははっきりとは分かっていませんが、精子をつくる細胞(生殖細胞)の遺伝子が変化することが関係していると考えられています。
- 外傷や性行為、生活習慣が原因になることはありません。
- 停留精巣(生まれつき精巣が陰嚢に下りていない状態)は、発症リスクを高めることが分かっています。
リスク要因
- 停留精巣(生まれつき精巣が陰嚢に下りていない状態)
- 過去に精巣がんになったことがある
- 家族で父や兄弟に精巣がん歴がある
- 不妊症(精子を作る能力が低い)
- 思春期から45歳までの若い年齢
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 睾丸にしこり・硬い部分を感じた
- 睾丸の痛みや重だるさが2週間以上続く
- 睾丸が急に大きくなった、または硬くなった
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断などで精巣の状態について相談したい
- 自己触診(セルフチェック)の正しいやり方を教わりたい
診断
まず、医師が症状を聞いて陰嚢をやさしく触診し、必要に応じて超音波検査、血液検査を行います。精巣がんの可能性が高い場合は、がんを確定するための手術を行います。
行われる可能性のある検査
- 問診・触診:医師が症状や健康状態を聞き、陰嚢をやさしく触って確認します。
- 超音波検査:陰嚢にゼリーを塗り、プローブを当てて精巣の内部を画像で調べます。痛みはありません。
- 血液検査:がんが作るたんぱく質(腫瘍マーカー)の量を調べます。
- CT検査:必要に応じて、がんが周りのリンパ節や遠くの臓器に広がっていないかを調べます。
診察で予想されること
診察は通常、泌尿器科で行われます。精巣がんの確定診断は、実際にがんになった精巣を摘出し、顕微鏡で組織を見ることで確定します。この手術は診断と治療を兼ねており、多くの場合、入院での手術になります。
治療
治療法は、がんの進行具合(ステージ)と種類、年齢、将来子どもの希望をどうするかなどを考慮して決められます。主治医や医療チームと十分に話し合いながら方針を選ぶことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 手術後は、医師の指示に従い、安静を保ち、陰嚢を体に押し当てるようなサポーター(睾丸を保護する下着)を利用します。
- 痛みや腫れが強いときは、氷のうなどで冷やし、医師・薬剤師に相談のうえ鎮痛薬を正しく使います。
- 傷が治るまでは激しい運動や重い物を持つことは避け、入浴やシャワーも医師の指示に従ってください。
医療治療
治療の中心は、がんになった精巣を取り除く手術です。その後、がんの種類や進行度に合わせて、抗がん薬による薬物療法、放射線療法(放射線治療)、または経過観察を行う場合があります。抗がん薬はがんの増殖を抑える目的で使われ、注射や点滴で投与されます。化学療法や放射線治療は、進行期のがんや再発を防ぐために行われることがあります。具体的な治療計画は、医療チームがあなたの状態に合わせて作成します。
手術が検討される場合
精巣がんでは、まずがんになった精巣を摘出する手術(高位精巣摘除術)が行われます。この手術は診断を確定する役割もあり、多くの場合、治療の第一歩です。摘出後も、残った健側の精巣がホルモンや精子の働きを十分に補えます。
この病気と共に生きる
一つの精巣がなくなっても、日常生活や性機能にはほとんど影響がありません。残った精巣がホルモンや精子の働きを十分に補います。治療後は、定期的に通院して経過を確認しながら、仕事やスポーツ、趣味を楽しむことができます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する:喫煙は全身のがんリスクを高めます。
- お酒は飲みすぎない(節度ある飲酒を心がける)。
- 睡眠や休養を十分にとり、体力を維持する。
- 気になる症状があれば、早めに医師に相談する。
食事と運動
特別な食事制限はありません。栄養バランスのよい食事と、無理のない範囲での運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)を習慣にすると、体力の維持や気分転換になります。激しい運動は医師と相談して始めてください。
精神的健康と心の健康
がんと診断されると、不安や悲しみ、怒りなどの感情が湧くことがあります。これは自然な反応です。多くの人は「もう以前のようには生きられない」と感じることもありますが、時間とともに受け入れられるようになります。気分の落ち込みが続く場合や眠れない場合は、遠慮なく医療チームに相談してください。
予防
精巣がんを完全に予防する方法はまだ分かっていません。最も大切なのは、毎月1回、お風呂上がりなどに精巣をセルフチェックする習慣をつけることです。見た目や触った感じの変化に早く気付くことで、早期発見につながります。
検診プログラム
日本では、一般の男性を対象にした精巣がんの集団検診は行われていません。しかし、リスクの高い方は医師と相談し、定期的に超音波検査などを受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 放置すると、がんが精巣から周りのリンパ節や肺、肝臓、骨などに広がる可能性があります。
- がんが進行すると、腰痛、息切れ、食欲不振などの全身症状が現れることがあります。
- 早期発見できなければ治療が難しくなるため、症状に気付いたら早めの受診が重要です。
長期的な見通し
精巣がんは、最も治療成績が良いがんの一つです。早期段階で発見された場合の治癒率は95%以上で、進行していても化学療法などで多くの方が完治を目指せます。治療後も、一つの精巣でホルモンや精子の働きは十分に保たれるため、安心して生活の質を保てます。決して諦めずに、医師と一緒に治療方針を選んでください。
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- 国立がん研究センター がん情報サービス ↗ · 日本全国
- 厚生労働省 がん対策 ↗ · 日本全国
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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