破傷風について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
破傷風(はしょうふう)は、傷口から破傷風菌が入り、菌がつくる毒素が神経を傷つけることで起こる病気です。毒素で筋肉が強くこわばり、特にあごの筋肉が硬くなることから「ロックジョー」とも呼ばれます。予防接種で防げる病気ですが、かかると重い症状が出る場合があります。
重要な事実
- 破傷風菌は土やほこり、動物のふんに多く存在します。
- 人から人へはうつりません。
- 深い傷や汚れた傷から感染しやすく、全身の筋肉のけいれんを起こします。
- 日本では定期の予防接種で予防でき、10年ごとの追加接種も勧められています。
日本では予防接種が広く行われているため、破傷風を発症する人は非常にまれです。しかし、予防接種を完了していない人や、追加接種から長く時間がたった高齢者では、今もときどき報告されています。
予防接種を受けていない人や、追加接種を受けずに長期間が過ぎた人(特に65歳以上の高齢者)に多く見られます。また、土や動物のふんに触れる機会が多い仕事に就いている人、深い刺し傷を負った人も注意が必要です。
症状
- あごが強くこわばり、口をまったく開けられない場合は、すぐに119番(救急)に電話してください。
- 背中が弓のように反るような強い全身のけいれんがある場合は、すぐに119番(救急)に電話してください。
- 息が苦しい、呼吸ができない場合は、すぐに119番(救急)に電話してください。
- けいれんが止まらず、意識がおかしい場合は、すぐに119番(救急)に電話してください。
- ⚠筋肉のこわばりやけいれんが始まったら、緊急の受診が必要です。
- ⚠深い傷で土やさびが入り、破傷風の追加接種から5年以上たっている場合は、その日のうちに医療機関へ行ってください。
- ⚠予防接種の記録が分からず、心当たりのある深い傷を負った場合も、その日のうちに受診してください。
一般的な症状
- あごがこわばり、口が開きにくい
- 首や背中、お腹の筋肉が硬く緊張する
- 筋肉がピクピクとする(けいれん)
- 飲み込みにくい、むせる
- 発熱やひどい汗が出る
- 脈が速くなる
子供の症状
- 体全体が強くけいれんすることや、ミルクや母乳を飲むときにむせたり、吐き出したりすることがあります。
- あごがこわばって泣き方の変化に気づくこともあります。
高齢者の症状
- 高齢者は「転びやすくなった」「からだが動かしにくい」「声が出しにくい」などの症状で現れることがあります。
- 持病や体力の低下があると重症化しやすいため、少しでも筋肉のこわばりがあれば早めに受診してください。
原因
主な原因
- 破傷風菌は土、ほこり、動物のふんの中にいます。
- 菌が皮膚の傷口、切り傷、刺し傷、やけど、動物の咬み傷などから体に入り込みます。
- 傷口の酸素が少ない環境で菌が増え、毒素をつくります。
- 毒素が神経に作用し、筋肉に必要な信号が乱れて、強いこわばりやけいれんが起こります。
リスク要因
- 破傷風の予防接種を受けていない、または追加接種から10年以上たっている
- 深い刺し傷、土や動物のふんが付いた傷
- やけどや凍傷、細胞が死んでしまった傷
- 注射薬を使ったことがある(注射針から菌が入るリスク)
- 免疫の力が弱っている(高齢、持病がある、など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 筋肉のこわばりやけいれん、飲み込みにくさがあれば、すぐに医療機関へ行ってください。
- 深い傷で土や動物のふんが入り、破傷風の追加接種から5年以上たっている場合は、その日のうちに受診してください。
- 予防接種の記録が不明で、深い傷を負った場合も早めに受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 破傷風の予防接種の履歴が分からない、古い場合は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
- 50歳以上で追加接種を長く受けていない場合や、定期的に土や動物に触れる仕事をしている場合も相談しましょう。
- 海外旅行や手術・ケガの前に、接種歴を確認しておきましょう。
診断
破傷風の診断は、主に医師の診察と問診で行われます。最近の怪我や予防接種の記録、筋肉のこわばりやけいれんの様子を確認して判断します。破傷風にだけ反応する特別な血液検査はなく、ほかの病気を除くための検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 問診:けがの状況、予防接種歴、症状の経過
- 診察:筋肉のこわばり、けいれん、のどの状態
- 血液検査や炎症を調べる検査(ほかの病気を除外するため)
- 必要に応じて、呼吸や心臓の状態を確認する検査
診察で予想されること
医師は、あなたが受けた予防接種の時期を確認します。もし最近の足りない部分があれば、「追加のワクチン接種が必要」という話があります。破傷風が疑われる場合は、入院で詳しく治療することをすすめられるでしょう。
治療
破傷風は重症化しやすいため、診断されたら入院が必要です。治療は、傷口の洗浄・外科的な処置、毒素を中和する薬、けいれんを抑える薬、呼吸を助ける人工呼吸器による集中治療などを組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 軽い傷であれば、まず石けんと水で傷口をよく洗い、清潔な絆創膏などで覆いましょう。
- 傷の深さや汚れの程度が心配な場合は、自分で判断せずに医療機関へ連絡してください。
- 治療中は、光や音が刺激になってけいれんを誘発することがあるので、静かな環境でゆっくり休んでください。
医療治療
医療機関では、破傷風毒素の働きを抑える抗毒素、筋肉のけいれんを鎮める薬、症状に応じて人工呼吸器を使った集中治療などが行われます。また、これまでの予防接種が不十分な場合には、免疫をつくるためのワクチン(トキソイド)を追加で接種します。回復までは数週間から数か月かかることもあります。
手術が検討される場合
傷口にひどい汚れや壊れた組織がある場合は、感染源を取り除くために、外科的に傷を切開して洗浄し、壊死した組織を切除する治療が行われることがあります。
この病気と共に生きる
退院後は、体の機能が完全に戻るまで、無理をせずに過ごしましょう。けいれんが強かった人は、筋力低下や疲れが残ることがあります。医師や理学療法士の指導のもと、少しずつ体を動かして回復を目指します。
生活習慣のアドバイス
- 十分な休養と睡眠をとる
- 強い光や大きな音を避ける(けいれんの誘発を防ぐため)
- ストレスをためこまないよう、自分のペースで過ごす
- 定期的に医療機関で経過を見てもらう
食事と運動
栄養バランスのよい食事と、十分な水分をとることを心がけましょう。飲み込みに問題が残っている間は、医師や管理栄養士の助言に従い、やわらかい食事やとろみのある飲み物を選びます。運動は、医師の許可を得てから、負荷をかけすぎずに始めることが大切です。
精神的健康と心の健康
重い病気の後には、不安や落ち込みを感じることがあります。その気持ちを家族や医療スタッフに話すことで、気持ちが楽になることがあります。必要に応じて、心の専門家(カウンセラーなど)のサポートを受けることもできます。
予防
破傷風は予防接種でほぼ防げる病気です。日本の定期予防接種では、乳幼児期に4種混合ワクチン(DPT-IPV)などの接種が行われます。その後、11~12歳で追加接種があり、成人では10年ごとの追加接種が推奨されています。
ワクチン
日本の厚生労働省の予防接種スケジュールでは、乳児期に3回+追加で1回の基礎接種が行われます。11~12歳で「二種混合ワクチン」を追加接種し、それ以降は10年に1回の破傷風トキソイド接種が勧められています。接種の間隔があいてしまった場合は、医師に相談して再接種を受けることができます。
検診プログラム
破傷風のための健康診断はありません。日頃から、自分や家族の予防接種記録を確認し、接種から10年以上過ぎている場合は追加接種を受けることが最も大切です。
合併症
治療しない場合
- あごや喉の筋肉のけいれんが進み、食事や水分が取れなくなる
- 呼吸をするための筋肉がけいれんし、窒息する危険がある
- 強いけいれんによって骨が折れたり、筋肉が損傷したりする
- 誤って肺に食べ物や唾液が入る「誤嚥性肺炎」を起こす
- 重症の場合は、生命に危険が及ぶことがある(死亡率は約1~2割とされています)
長期的な見通し
破傷風は重症になることもありますが、早く治療を始めれば、回復できる見込みの高い病気です。日本では集中治療やワクチン接種の普及により、多くの人が社会復帰しています。予防接種をきちんと受けておくことで、破傷風そのものを防ぐことができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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