Urinary retention
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿閉(にょうへい)とは、尿が膀胱にたまっているのに、うまく出せない状態のことです。正常に排尿できないため、膀胱が痛んだり、腹部が張ったりします。急性(突然起こる)と慢性(長期間続く)があります。
重要な事実
- 尿閉は男女どちらにも起こりますが、特に中高年の男性に多く見られます。
- 急性尿閉は突然起こり、強い痛みを伴うため、すぐに医療機関を受診する必要があります。
- 慢性尿閉は症状がゆっくり現れるため、気づかないうちに腎臓に負担がかかることがあります。
尿閉はそれほど珍しい症状ではありません。特に前立腺肥大(せんりつせんぼうだい:男性の前立腺が大きくなること)がある男性ではよく見られます。また、手術後や神経の病気でも起こることがあります。
尿閉は高齢者、特に男性に多く、前立腺の病気が原因になりやすいです。女性でも骨盤内の手術後や出産後に起こることがあります。子どもから高齢者まで幅広い年代で可能性がありますが、原因は年齢や性別で異なります。
症状
- 急に尿がまったく出なくなり、強い腹痛や腰の痛みがある
- 意識がもうろうとする
- 吐き気や嘔吐がある
- ⚠尿が出にくい状態が数時間続く
- ⚠排尿時に血が混じる
- ⚠発熱がある
一般的な症状
- 尿が出にくい、またはまったく出ない
- 尿を出すときに痛みや違和感がある
- おしっこの回数が増える(頻尿)
- 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
- 尿の勢いが弱い、または尿が途切れる
- 膀胱のあたりが張って痛む
子供の症状
- おなかが痛がる
- おしっこを頻繁にしようとするが少ししか出ない
- おむつがいつもより濡れていない
- 機嫌が悪く、ぐずる
高齢者の症状
- 尿が少しずつしか出ない、または出し終わった感じがしない
- おなかの下の部分が張っている
- 認知症の方では、もぞもぞ落ち着かない様子を見せることがある
原因
主な原因
- 前立腺肥大症(せんりつせんぼうだいしょう):男性の前立腺が大きくなり尿道を圧迫する
- 尿道の狭窄(きょうさく):けがや感染症で尿道が狭くなる
- 神経の病気:糖尿病や脊髄の障害で膀胱の筋肉がうまく働かない
- 薬の副作用:風邪薬や抗アレルギー薬などが原因になることがある
- 手術後:麻酔や手術の影響で一時的に排尿しにくくなる
リスク要因
- 加齢(年をとること)
- 男性であること(特に50歳以上)
- 前立腺の病気の既往
- 糖尿病や神経の病気
- 便秘(排便障害が排尿に影響することがある)
- 長期間の膀胱カテーテルの使用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿がまったく出ず、痛みが強い場合(すぐに救急車119番を呼ぶか、夜間救急を受診)
- 血尿があり、排尿できない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 尿の出が悪い、または頻尿が続く場合
- おなかの下が張る感じが続く場合
- 排尿後の残尿感が気になる場合
診断
医師はまずあなたの症状や病歴を詳しく聞き、腹部の触診や聴診を行います。その後、尿の検査や画像検査で原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査:感染症や血尿の有無を確認
- 残尿測定:排尿後に膀胱にどれだけ尿が残っているか超音波で調べる
- 血液検査:腎臓の機能や前立腺の状態を確認
- 画像検査:超音波やCTで膀胱や前立腺の形を調べる
- ウロダイナミクス検査:膀胱の筋肉や尿道の圧力を測る
診察で予想されること
診断は通常外来で行われます。痛みを伴う検査はほとんどありません。検査結果をもとに、原因に合わせた治療方針を医師が説明します。
治療
治療は原因によって異なります。急性尿閉の場合はまず緊急に尿を出す処置(カテーテル留置)を行い、その後原因を治療します。慢性の場合は生活習慣の改善や薬物療法、手術などが検討されます。
自宅でのセルフケア
- 水分を十分にとる(ただし、就寝前は控えめに)
- カフェインやアルコールを控える
- 便秘を予防する(食物繊維を多くとる)
- 排尿時にリラックスする
- 尿意を感じたら我慢せずにトイレに行く
医療治療
薬物療法では、前立腺を縮らせる薬や膀胱の筋肉を緩める薬などが使われます(具体的な薬名は医師の指示に従ってください)。また、膀胱にたまった尿を出すために一時的にカテーテル(細い管)を入れることもあります。神経の病気が原因の場合は、間欠的自己導尿(自分でカテーテルを使って尿を出す方法)を指導されることがあります。
手術が検討される場合
薬物療法で効果が不十分な場合や、前立腺肥大が重度の場合は、手術が検討されることがあります。手術方法には尿道から行う内視鏡手術やレーザー治療などがあります。医師とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
尿閉の症状があると、日常生活で不安を感じることがあるかもしれません。しかし、適切な治療と生活習慣の工夫で多くの場合は改善します。医師の指示に従い、定期的に通院することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 排尿日誌をつける(いつ、どのくらい出たか記録)
- 骨盤底筋体操(骨盤の底の筋肉を鍛える運動)を取り入れる
- ストレスをためないようにする
- 旅行など外出時は事前にトイレの場所を確認しておく
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、特に便秘になりにくいように食物繊維を積極的にとりましょう。適度な運動(ウォーキングなど)は血行を良くし、前立腺や膀胱の健康にも良いとされています。ただし、激しい運動は逆効果になることがあるので、医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
尿閉は恥ずかしいと感じたり、トイレに行くのが不安になったりして、気分が落ち込むことがあります。そのようなときは、一人で悩まずに医師や看護師に相談してください。必要に応じて、心理的なサポートも受けられます。
予防
尿閉のすべてを予防できるわけではありませんが、生活習慣の改善でリスクを減らせる場合があります。特に、便秘を避け、適度に運動し、アルコールやカフェインを控えることが大切です。男性は定期的に前立腺の検査を受けることも予防につながります。
検診プログラム
男性は50歳を過ぎたら、前立腺の健康チェック(PSA検査や医師の診察)を年に1回受けることが推奨されます。症状がなくても、定期的な検診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 膀胱の筋肉が弱くなり、さらに尿が出にくくなる
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)を繰り返す
- 腎臓に負担がかかり、腎不全に至ることもある
- 急性尿閉の場合、膀胱が破裂するリスク(非常にまれ)
長期的な見通し
ほとんどの場合、尿閉は適切に治療すれば改善します。急性尿閉は緊急処置で速やかに楽になります。慢性尿閉でも、原因を治療し生活習慣を見直すことで症状は大きく改善します。放置すると腎臓に影響が出ることもありますが、早めに受診すれば予後は良好です。
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最終更新: 2026年7月16日
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