膣がん
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膣がんは、子宮と外陰部の間にある管状の器官である膣の壁から発生するまれながんです。初期には症状がほとんどないこともあり、定期的な検査が大切です。がんは進行が早い場合とゆっくりの場合があり、早期発見・早期治療が重要です。
重要な事実
- 膣がんは女性のがんの中でとてもまれで、全がんの約0.1~0.2%程度です。
- 原因の多くはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染と関連しています。
- 早期の膣がんは、手術や放射線治療などで治る可能性が高い病気です。
膣がんは非常にまれながんです。日本では、年間に数百人程度と推定されています。多くは60歳以上の女性で見られますが、若い女性でも発症することがあります。
主に閉経後(更年期を過ぎた女性)、特に60歳以上の女性に多い病気です。そのほか、過去に子宮頸がんの治療を受けた方や、免疫力が低下している方にも起こりやすくなります。まれに、若い女性や子どもにも見られます。
症状
- 大量の出血が止まらない
- 強い腹痛や骨盤痛で動けない
- 意識がもうろうとする
- ⚠突然の強い性器出血
- ⚠発熱を伴う腹痛や腰痛
- ⚠排尿ができないなどの急な症状
一般的な症状
- 膣からの異常な出血(性交後の出血、閉経後の出血、月経以外の出血)
- いつもと違うおりもの(悪臭を伴う、血混じりなど)
- 膣の痛みやかゆみ
- 腰痛や下腹部の痛み
- 排尿時の痛みや血尿
子供の症状
- 子どもの膣がんは極めてまれです。しかし、おむつや下着に血が付く、おりものの異常、外陰部の痛みなどを訴える場合は、早めに小児科や婦人科で相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢女性では、閉経後の不正出血が最初のサインであることが多いです。また、膣の圧迫感やしこり、腰や骨盤の痛み、排便・排尿時の違和感などが現れることもあります。これらの症状はがん以外が原因のこともありますが、放置せずに受診してください。
原因
主な原因
- 多くはHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が関わっています。特に高リスク型のHPVが持続感染すると、正常な細胞ががんへ変化することがあります。
- 一部の膣がんは、HPV感染と無関係に発生するものもあります。慢性の炎症や刺激、子宮頸がんの既往、放射線治療の既往などが関わることもあるとされています。
リスク要因
- HPV感染(特に16型、18型など高リスク型)
- タバコを吸う(免疫力を低下させる)
- 免疫力の低下(HIV感染や免疫抑制薬の使用など)
- 過去に子宮頸がんや外陰がんの治療を受けた
- 妊娠中の薬剤(ジエチルスチルベストロール)への曝露歴(1950~70年代に海外で使用。現在は日本では使用されていません)
- 高齢(60歳以上)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 性交時や閉経後に出血がある
- いつもと違うおりものや強い臭いが続く
- 膣の痛み、かゆみ、しこりを感じる
定期受診を予約すべき場合:
- 症状がなくても、健康診断や婦人科検診を定期的に受ける
- 子宮頸がん検診を受け、HPV検査や細胞診で異常を指摘されたら、必ず精密検査を受ける
診断
医師はまず、問診と内診(触診)、鏡を使って膣の中を直接観察します。必要に応じて、細胞を採取する検査(細胞診)や組織を採取する検査(生検)を行い、顕微鏡で詳しく調べます。進行度を確認するために、MRIやCTなどの画像検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 内診(触診)と膣鏡(クスコ)診察
- 細胞診(パップスメア検査、膣スメア)
- 生検(組織を一部採取して顕微鏡で調べる検査)
- MRI、CT、PET-CTなどの画像検査
- 必要に応じて膀胱鏡検査や直腸鏡検査
診察で予想されること
婦人科検診は、診察台に上がり、軽い痛みや不快感を伴うことがありますが、通常は数分で終わります。不安な方は、医師や看護師にその旨を伝えると、説明を受けながら進めることができます。検査結果が出るまでには数日かかることもあります。
治療
治療は、がんの進行度(ステージ)・年齢・全身状態・妊娠希望の有無などを考慮して、標準的な治療法から医師と相談して決めていきます。主に手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤や分子標的薬など)を組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 担当医師から説明された治療計画をよく理解し、質問があれば遠慮なく聞く
- 治療中の生活を整える(通院のサポート、眠れる環境を整える)
- 感染予防のため、体を清潔に保ち、十分な休養をとる
医療治療
治療法には、がんを切除する手術、放射線を当ててがんを縮小させる放射線治療、抗がん剤や分子標的薬などの薬物療法があります。薬物療法の具体的な薬剤名や量は、医師が病状に応じて選択します。必要に応じて、複数のがん治療を組み合わせることもあります。
手術が検討される場合
早期の膣がんで、がんが膣の表面だけに留まっている場合は、手術で病変部分を切除することが選択されることがあります。進行度によっては、子宮や近くのリンパ節を含めて摘出する広範囲の手術が検討される場合もあります。
この病気と共に生きる
治療中や治療後は、体の状態に合わせて無理のないペースで生活しましょう。定期的に医師の診察を受け、体調の変化(出血、痛み、発熱など)があればすぐに相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をする(喫煙は免疫力を下げ、HPV感染を長引かせることがあります)
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- ストレスをため込まず、周囲に助けを求める
- 主治医に確認してから入浴や水泳などのお風呂の方法を相談する
食事と運動
バランスのよい食事をとり、野菜や果物を十分に食べましょう。治療後の体調に合わせて、ウォーキングなどの軽い運動を行うことも体力維持に役立ちます。まずは医師や管理栄養士に相談するのが安心です。
精神的健康と心の健康
がんと診断されると、不安や落ち込み、恐怖を感じることは自然なことです。特にまれな病気のため、孤独感を抱える方もいます。気持ちを話せる相手を持つこと、必要に応じて心のケア(心理的支援)を求めることが大切です。
予防
膣がんの全てを予防することはできませんが、HPV感染を予防するワクチン接種と、定期的な婦人科検診によってリスクを減らすことができます。タバコを吸わないことも予防につながります。
ワクチン
HPVワクチンは、子宮頸がんと同様に膣がんの原因となる高リスク型HPVの感染を防ぐ可能性があります。日本の厚生労働省も定期接種として推奨しています。ワクチンについての詳細は、かかりつけ医または自治体の予防接種窓口にご相談ください。
検診プログラム
現在、膣がんだけを対象にした検診はありませんが、子宮頸がん検診で併せて膣の細胞診が行われることがあります。HPV検査で陽性の場合や、婦人科検診で異常を指摘された場合は、精密検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- がんが進行して、子宮、膀胱、直腸など周囲の臓器へ広がる
- リンパ節への転移
- 肺や肝臓など遠くの臓器への転移
- 出血や痛みの増加、排尿・排便障害
長期的な見通し
早期に発見して治療すれば、膣がんは治る可能性が高い病気です。進行した場合でも、近年は治療技術の進歩により、多くの方が治療を受けながら自分らしい生活を続けています。診断後も希望を持ち、医師としっかり話し合うことが大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。