妊娠中の静脈瘤(じょうみゃくりゅう)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠すると、血液の量が増え、女性ホルモンの影響で静脈の壁がゆるみやすくなります。また、大きくなった子宮がおなかの中の静脈を圧迫するため、足や外陰部の静脈に血液がたまりやすくなります。すると静脈がふくらんで、皮膚の表面に浮き出てくることがあります。これが「静脈瘤」です。
重要な事実
- 静脈瘤は、妊娠中に非常によく見られる体の変化のひとつです。
- 多くは出産後に自然に良くなるため、あわてる必要はありません。
- 足を高く上げたり、無理のない運動をしたりすることで、症状をやわらげられます。
とてもよくある症状です。妊娠中の女性の約30パーセントに静脈瘤が見られるという報告もあります。妊娠回数が多くなるほど、出現しやすくなるといわれています。
妊娠中の女性なら、どなたでもなり得ます。特に、妊娠後期、立ち仕事が多い方、体重が増えすぎた方、家族に静脈瘤の人がいる方、何度か出産を経験した方に多く見られます。
症状
- 片方の足が急に大きく腫れて、強い痛みがある
- 息苦しい、胸の痛みがある
- 血のまじったせきが出る
- 意識がもうろうとする
- ⚠静脈瘤が急に硬く腫れて、さわると強い痛みがある
- ⚠赤くなったり、熱をもったりしている
- ⚠静脈瘤の部分から出血が止まらない
一般的な症状
- 足の血管がボコボコと浮き出て見える
- 足が重く感じる、だるい
- 足やむくみがひどくなる
- 夕方になると足が痛む、つりやすい
- 外陰部やおしりにしこりのような感触がある
原因
主な原因
- 妊娠による血液量の増加で静脈に負担がかかる
- 黄体ホルモンの影響で静脈の壁がゆるむ
- 大きくなった子宮が足からの血液を心臓に戻す静脈を圧迫する
- 遺伝的に静脈の弁が弱い
リスク要因
- 妊娠前から静脈瘤があった
- 家族に静脈瘤の人がいる
- 立ち仕事や座りっぱなしの仕事
- 多胎妊娠(双子など)
- 体重増加が大きい
- 便秘やせきなどでおなかの中の圧力が高くなることが多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 片足が急に腫れて痛い
- 静脈瘤の部分から出血がある
- 息苦しさや胸の痛みをともなう
定期受診を予約すべき場合:
- 足の血管がとても目立つようになった
- 足の重さや痛みで日常生活に支障がある
- 見た目が気になって不安がある
診断
医師がおなかや足を見て、さわって確認します。必要があれば、超音波(エコー)検査で静脈の中の血流や血液の塊がないかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診(見る・さわる診察)
- 超音波(エコー)検査
- 血液検査(必要に応じて)
診察で予想されること
どちらも痛みのない安全な検査です。妊婦さんでも安心して受けられます。検査は短時間で終わり、特別な準備はほとんどいりません。
治療
妊娠中の静脈瘤は、多くの場合、出産後に自然に落ち着くため、その間は症状をやわらげるための生活の工夫が中心になります。医師や助産師に相談しながら、自分に合った方法を選びましょう。
自宅でのセルフケア
- 足を心臓より高い位置に上げて休む
- 長時間立ちっぱなしや座りっぱなしを避ける
- こまめに歩くなど、ふくらはぎの筋肉を動かす
- 締め付けの少ない下着や靴を選ぶ
- 医師や薬剤師に相談のうえ、弾性ストッキング(弾力のある医療用のくつした)を活用する
医療治療
医師の指導のもとで弾性ストッキングを使用することが一般的です。症状が強い場合や妊娠中に合併症のリスクがある場合は、医師が妊娠中に使える薬を検討することもありますが、自己判断では使用せず、必ず医師の指示に従ってください。妊娠中の手術や注射による治療は、基本的には行わず、出産後にあらためて検討されます。
手術が検討される場合
妊娠中の手術はほとんど行いません。出産後もしばらく経っても症状が強く残る場合は、血管外科や形成外科で、静脈をとる手術やレーザー治療などを検討することがあります。
この病気と共に生きる
妊娠中は無理をしないことが第一です。足に負担がかかりやすい立ち仕事などは、こまめに休憩をとり、足を上げる時間をつくりましょう。少しの工夫で症状はずいぶん楽になります。
生活習慣のアドバイス
- 1時間に1回は足を動かす
- 足を組んで座らない
- 寝るときは足元を少し高くする
- 体重の増えすぎに注意する
- 便秘を予防するため、食物繊維をとり、水分をしっかり飲む
食事と運動
塩分をとりすぎるとむくみがひどくなります。バランスのよい食事を心がけ、水分も適切にとりましょう。運動は、医師と相談しながら、無理のないウォーキングやマタニティヨガなどを行うと、血流がよくなります。
精神的健康と心の健康
見た目の変化や痛みで、気分が落ち込むこともあるかもしれません。妊娠中の体の変化は自然なことであり、あなただけに起きていることではありません。つらい気持ちを一人で抱え込まずに、パートナーや家族、医師や助産師に話してください。もし、自分や赤ちゃんのことを考えるとつらくてたまらない時は、ためらわずに信頼できる人や医療機関に助けを求めましょう。
予防
妊娠中の静脈瘤を完全に予防することは難しいですが、足に負担をかけない生活を送ることで、症状がひどくなるのを防ぐことはできます。適切な体重管理、こまめな運動、長時間の同じ姿勢を避けることが大切です。
ワクチン
妊娠中の静脈瘤を予防できる特別なワクチンはありません。
検診プログラム
妊婦健診では特に静脈瘤の検査は行われませんが、気になる症状があれば自己判断せず、健診のときに医師に伝えましょう。
合併症
治療しない場合
- 血栓性静脈炎(静脈に血の塊ができ、炎症を起こすこと)
- 深部静脈血栓症(深いところの静脈に血の塊ができること)
- 皮膚の色素沈着(色が黒ずむこと)や湿疹
- まれに血の塊が肺に詰まる肺塞栓症(はいそくせんしょう)
長期的な見通し
ほとんどの静脈瘤は、出産後数か月で症状がやわらぎ、目立たなくなります。たとえ残った場合でも、現代の医療にはさまざまな治療法があります。妊娠中も安心して過ごせるよう、気になることは早めに医師に相談しましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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