静脈のトラブル:いつ医療機関を受診すべき?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
静脈は血液を心臓に戻す血管です。静脈の病気には、足の血管がこぶのようにふくらむ「下肢静脈瘤」や、血のかたまりができる「深部静脈血栓症」などがあります。この記事では、静脈のトラブルの症状や、受診が必要なサインについて説明します。
重要な事実
- 静脈の内部には弁があり、血液が逆流しないようにしています。
- 弁がうまく働かないと、血液が足にたまり、むくみや痛みの原因になります。
- 深部静脈血栓症は、足の深い静脈に血のかたまりができる病気で、早めの対応が大切です。
下肢静脈瘤は日本人にも多く、特に50代以降で増えるとされています。深部静脈血栓症は年間10万人に数人程度とされ、それほど珍しくありません。
長時間立ち続ける仕事をしている人、妊娠中の女性、肥満の方、高齢者に多く見られます。
症状
- 突然、片方の足が大きく腫れて痛む(深部静脈血栓症の可能性)
- 急に胸の痛みや呼吸困難がある(血栓が肺に飛んだ可能性)
- 咳とともに血が出る
- 静脈のこぶから出血が止まらない
- ⚠足の腫れと熱感が強く、発熱を伴う
- ⚠足の痛み・腫れがひどく、歩くのがつらい
- ⚠傷や潰瘍が広がっている、悪臭がある
一般的な症状
- 足の血管が浮き出て見える
- 足のむくみ、だるさ、重さ
- 足の痛みやつっぱり感
- むずむずする感覚やかゆみ
子供の症状
- 子どもの足の静脈が腫れている、または触ると痛い場合
- 原因不明の片足のむくみがある場合
- 動かすのを嫌がる、痛がる場合
高齢者の症状
- 皮膚が茶色く変色する
- 治りにくい足の潰瘍(かいよう)
- ふくらはぎの痛みや硬さが続く
原因
主な原因
- 静脈の弁が弱くなる、または壊れることで、血液が逆流してたまる
- 長時間の立ち仕事や座位が続き、血液の流れが悪くなる
- 血液がかたまりやすい体質や、けが・手術・がんなどによる血栓
リスク要因
- 長時間の座位・立位
- 過去に血栓症がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の片足の腫れ、痛み、熱感がある
- 胸痛、呼吸困難、血痰などが生じた
- 静脈の出血が止まらない
定期受診を予約すべき場合:
- 足の血管が目立つ、痛みやだるさがある
- むくみや皮膚の変化が続いている
- 生活に支障があるほど重い症状
診断
医師は視診、触診を行い、問診で症状や生活習慣を確認します。そのうえで、超音波検査などで血液の流れや血栓の有無を調べます。
行われる可能性のある検査
- 静脈超音波(エコー)検査:静脈の弁の働きや血栓を調べます
- 血液検査:D-ダイマー(血栓ができた時に上昇する物質)を確認します
- 場合によってはCT検査や静脈造影検査を行うこともあります
診察で予想されること
痛みを伴う検査はほとんどありません。超音波検査は10分から30分程度で、すぐに結果がわかることが多いです。当日はゆったりした服装で来院しましょう。
治療
治療は症状の程度や原因によって異なります。軽症では弾力ストッキングや生活習慣の改善、重症では手術や血管内治療を行うことがあります。
自宅でのセルフケア
- 足を心臓より高く上げて休む
- 弾力ストッキングを日中はく(医療用を処方してもらう)
- こまめに立ち上がって歩く、足首を動かす
- 体重を適正に保つ
医療治療
病院では、弾力ストッキングの処方や、血管内治療(レーザーや高周波で血管を閉じる治療)、硬化療法(薬剤を注射して血管をふさぐ方法)、外科手術などが行われます。血栓ができている場合は、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を使いますが、具体的な薬の名前や用量は医師が決めます。自己判断で薬を中断しないでください。
手術が検討される場合
静脈瘤が大きく、痛みや皮膚潰瘍などの合併症がある場合、あるいは血管内治療が難しい場合には、外科手術(静脈の切除や結紮)が検討されます。
この病気と共に生きる
足のむくみや痛みが続く場合は、日中も足を動かし、休むときは足を高くすると楽です。弾力ストッキングは毎日着用することが効果に大きく影響します。
生活習慣のアドバイス
- 1時間に1回は立ち上がって足を動かす
- 足の筋力を保つため、ウォーキングや水泳などの無理のない運動を続ける
- 長距離の飛行機やバスでは、こまめに水分をとり、ふくらはぎの運動をする
食事と運動
特別な食事療法はありませんが、塩分のとりすぎはむくみにつながるため、薄味の食事を心がけましょう。食物繊維をしっかりとり、便秘を防ぐことも、足に負担をかけないために大切です。
精神的健康と心の健康
見た目の変化や脚の痛みが続くと、気分が落ち込みやすくなったり、外出をためらったりすることがあります。そうした悩みは一人で抱えず、医師や看護師、薬剤師に相談してください。もし強い不安や抑うつがある場合は、精神科や心療内科の受診も選択肢です。つらいときは、まずは信頼できる人や地域の相談窓口に話しましょう。
予防
静脈の病気は、生活習慣の改善である程度予防できます。長時間の同じ姿勢を避け、足を動かすことが大切です。厚生労働省も、静脈血栓塞栓症の予防として、こまめな運動や水分補給を推奨しています。
検診プログラム
健康診断の項目にはありませんが、気になる症状があれば医療機関で相談しましょう。特に家族歴がある場合や長時間の立ち仕事をする人は、定期的に静脈のチェックを受けると安心です。
合併症
治療しない場合
- 深部静脈血栓症が進行すると、肺動脈塞栓症(肺の血管がつまり、命にかかわる状態)を起こす恐れがあります
- 慢性の静脈不全が続くと、皮膚の色素沈着や潰瘍(かいよう)ができる
- 静脈瘤から出血し、大量出血につながることがある
長期的な見通し
多くの静脈のトラブルは、適切な治療で症状を和らげ、合併症を防ぐことができます。早めに受診し、医師と一緒に治療方法を選びましょう。治療後も生活習慣に気をつけることで、再発を防げます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。