Venous leg ulcers
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、脚の静脈の弁がうまく働かなくなることで、血液が足にたまり、皮膚の表面に傷ができてしまう状態です。この傷は「下肢静脈性潰瘍(かしじょうみゃくせいかいよう)」と呼ばれ、皮膚が破れてしまい、治りにくくなります。
重要な事実
- 下肢静脈性潰瘍は、脚の静脈の血流が悪くなることで起こります。
- 傷ができた場所は、多くの場合、足首の内側です。
- 適切な治療とケアで、多くの場合、良くなります。
- 治療には、圧迫療法(あっくくりょうほう)や生活習慣の改善が重要です。
下肢静脈性潰瘍は、特に高齢者に多くみられる病気で、日本国内でも約30万人以上が悩んでいると言われています。
主に60歳以上の方に多くみられますが、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)や深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)のある方、長時間立ち仕事や座り仕事をされる方、肥満の方にも起こりやすくなります。
症状
- 脚全体が急に腫れて痛み、皮膚が青白くなる(深部静脈血栓症の可能性)
- 傷から急に大量の出血がある
- 高熱が出て、傷の周りが赤く腫れ、強い痛みがある(感染症の可能性)
- ⚠傷の周りが急に赤くなり、腫れてきた
- ⚠傷から膿や悪臭がある
- ⚠痛みが強くなり、日常生活に支障が出る
- ⚠むくみが急に悪化した
一般的な症状
- 脚のむくみ(特に夕方にひどくなる)
- 皮膚の色が茶色っぽくなる(ヘモジデリン沈着)
- 皮膚がかゆくなったり、ひび割れたりする
- 傷(潰瘍)ができて、なかなか治らない
- 傷から透明な液体や膿(うみ)が出る
- 傷の周りが赤く腫れる
原因
主な原因
- 脚の静脈にある「弁」が壊れて、血液が逆流してしまう
- 血液が足にたまり、静脈の圧力が高くなる(静脈高血圧)
- 長期間、脚の血流が悪い状態が続く
リスク要因
- 静脈瘤や深部静脈血栓症の既往
- 長時間の立ち仕事や座り仕事
- 肥満(体重が重いと脚への負担が増える)
- 妊娠(特に複数回)
- 脚のけがや手術のあと
- 家族に静脈瘤や潰瘍がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
- 傷が急に悪化した場合
- 痛みが強く、歩けない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 脚に治りにくい傷ができた
- 脚のむくみや皮膚の色の変化が気になる
- 静脈瘤があり、皮膚の状態が変わった
- 傷のケアについて知りたい
診断
医師が脚の状態を診察し、問診(いつから、どのように始まったかなど)を行います。また、静脈の血流を確認するために超音波検査(エコー)を行うことが一般的です。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診(見て触って状態を確認)
- 超音波検査(静脈の逆流や血栓の有無を調べる)
- 血液検査(感染症や他の病気がないか調べる)
- 場合によっては、造影検査やCT検査
診察で予想されること
診察は10〜20分程度で終わることが多く、痛みを伴う検査はほとんどありません。超音波検査はゼリーを塗った器具を脚に当てるだけで、痛くはありません。診断後は、すぐに治療のアドバイスが受けられます。
治療
治療の基本は、圧迫療法(あっくくりょうほう)という、脚を弾性ストッキングや包帯で圧迫して血流を改善する方法です。同時に、傷のケア(洗浄・被覆)や、むくみをとるための生活指導が行われます。薬物療法では、血流を改善する薬や感染症を抑える薬が使われることがありますが、医師の指示に従って使用してください。
自宅でのセルフケア
- 脚を高くして休む(座っているときや寝るときは、心臓より高い位置に脚を置く)
- 弾性ストッキング(圧迫ストッキング)を医師の指導のもとで正しく着用する
- 傷を清潔に保ち、処方された薬や被覆材で適切にケアする
- 長時間立ちっぱなしや座りっぱなしを避け、こまめに動く
- 禁煙する(喫煙は血流を悪くする)
- 体重管理をする
- 適度な運動(ウォーキングなど)を習慣にする
- 皮膚の乾燥を防ぐため、保湿ケアを行う
医療治療
医療機関では、傷の状態に合わせた洗浄や被覆材の交換が行われます。感染があれば抗菌薬(抗生物質)が処方されることがありますが、必ず医師の処方に従ってください。また、静脈の逆流を改善するための手術や、皮膚移植などの外科的治療が検討されることもあります。最近では、血管内治療(カテーテルを使った治療)も行われています。
手術が検討される場合
保存的治療(圧迫療法や薬物療法)で効果が不十分な場合や、潰瘍が大きくて治りにくい場合、根本的な血流改善を目的に手術が検討されます。代表的な手術には、静脈の逆流部分を取り除くストリッピング手術や、レーザーや高周波を使った血管内治療があります。手術が必要かどうかは、血管外科の医師が判断します。
この病気と共に生きる
下肢静脈性潰瘍があると、傷のケアや弾性ストッキングの着用が毎日の習慣になります。外出時もストッキングを着用し、こまめに脚を高くして休むことが大切です。痛みがある場合は無理をせず、仕事や家事の合間に休憩を取りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日、決まった時間に脚を高くして休む(30分以上が理想)
- 適度なウォーキング(ふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たす)
- 長時間同じ姿勢を避ける(1時間に1度は立ち上がって歩く)
- 弾性ストッキングを正しく装着し、洗って清潔に保つ
- 禁煙する
- 健康的な体重を維持する
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に塩分を控えることでむくみを軽減できます。たんぱく質やビタミンC、亜鉛(あえん)が豊富な食品(魚、肉、大豆製品、緑黄色野菜など)は傷の治りを助けます。運動は、ふくらはぎの筋肉を使うウォーキングや、足首の曲げ伸ばしがおすすめです。水中ウォーキングも脚への負担が少なく良いでしょう。
精神的健康と心の健康
慢性の傷は痛みや見た目の問題から、気分が落ち込んだり、外出を控えるようになったりすることがあります。そうした気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や看護師、家族に相談しましょう。必要に応じて、心理的なサポートを受けることも大切です。もし自殺や深刻な絶望感を感じた場合は、すぐに119番に電話するか、精神科の救急連絡先を利用してください。
予防
完全に予防することは難しいですが、リスクを減らすことは可能です。静脈瘤がある方やリスクの高い方は、弾性ストッキングの着用、脚を高くして休む習慣、こまめな運動、体重管理、禁煙などが予防に役立ちます。また、脚に傷ができたら早めにケアを始めることで重症化を防げます。
検診プログラム
静脈瘤や下肢静脈性潰瘍を早期に見つける特別な検診はありませんが、年に1回の健康診断で脚の状態をチェックしてもらうことをおすすめします。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 感染症(蜂窩織炎(ほうかしきえん)や骨髄炎など)
- 傷が大きく深くなり、治りにくくなる
- 脚の変形や関節の動きが制限される
- 湿疹や皮膚炎(うっ滞性皮膚炎)
- まれに、皮膚がん(扁平上皮がん)に進行することがある
長期的な見通し
適切な治療と自己管理を行えば、多くの方が症状の改善を実感できます。ただし、一度治っても再発することがあるため、長期的なケアが大切です。最新の治療法も進んでおり、医療の力で症状をコントロールしながら、快適な生活を続けられる可能性が高いです。あきらめずに、医師と一緒に治療を続けていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月16日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。