頸動脈超音波検査
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
頸動脈エコー(頸動脈超音波検査)は、首の動脈(頸動脈)の様子を音波で映し出す検査です。動脈の内側にプラーク(脂肪のかたまり)がたまって狭くなっていないかを調べ、脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気)のリスクを評価します。痛みがなく、放射線も使いません。
重要な事実
- 検査時間は約30分と短く、体への負担が少ない
- 放射線を使わないので、妊娠中でも安全に受けられる場合がある
- 頸動脈の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を見つける第一選択の検査
- 結果をもとに、脳卒中予防の治療方針が決められる
はい、よく行われる検査です。特に高血圧や糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の値が高い状態)など脳卒中のリスクが高い方に対して、医師から勧められることが多いです。
主に、脳卒中のリスク因子を持つ中年以降の方に実施されます。喫煙習慣がある方や肥満の方、心臓病の既往がある方も対象になります。まれに、若い方でも血管の病気が疑われる場合に行うことがあります。
症状
- 顔の片側が下がる、または麻痺する
- 両腕を上げたときに片方の腕が下がる
- 言葉がろれつしない、意味不明な言葉を話す
- 突然の激しい頭痛(これまでに経験したことのないもの)
- 意識がもうろうとする、または突然倒れる
- ⚠上記の症状が数分から数時間で消えた場合(一過性脳虚血発作の疑い)
- ⚠急に片方の目が見えにくくなったが、すぐに元に戻った場合
- ⚠原因不明の繰り返すめまいやふらつき
一般的な症状
- 頸動脈エコーは症状を調べる検査ではなく、多くの場合、頸動脈の病気自体に初期症状はありません。しかし、以下のような症状が現れた場合は、脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があるため、頸動脈エコーが行われることがあります。
- 片側の手足や顔が急に動かしにくい、しびれる
- 言葉がうまく出てこない、相手の言葉が理解しにくい
- 片方の目が急に見えにくくなる、視野の一部が欠ける
- めまいやふらつきで歩けなくなる
子供の症状
- 子どもに対する頸動脈エコーは非常にまれです。ただし、川崎病などの血管炎が疑われる場合や、首の血管に先天的な異常がある場合に行われることがあります。症状としては、原因不明の頭痛やけいれん、発達の遅れなどが見られることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者の場合、動脈硬化(血管が硬く狭くなること)が進みやすいため、症状がなくても検査が行われることがあります。症状がある場合は、軽いめまいや片側の手足の脱力など、若い人よりも非典型的な症状で現れることがあります。
原因
主な原因
- 動脈硬化(血管の内側にコレステロールや脂肪がたまってプラークができること)
- 高血圧(血管に負担がかかり、傷ついた部分にプラークができやすくなる)
- 糖尿病(血糖値が高いと血管が傷みやすくなる)
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが多く、血管にたまりやすい)
- 喫煙(血管を収縮させ、動脈硬化を進める)
リスク要因
- 年齢(年をとるほどリスクが上がる)
- 肥満(特に内臓脂肪が多い)
- 運動不足
- 不健康な食事(塩分や脂肪の多い食事)
- ストレス
- 家族に脳卒中や心臓病の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脳卒中のような症状が突然現れた場合(すぐに119番)
- 一過性の症状(数分で消える)でも、初めて経験する場合はためらわずに医療機関を受診する
定期受診を予約すべき場合:
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などのリスク因子がある方は、定期的な健康診断や医師の診察の際に頸動脈エコーを勧められることがあります。症状がなくても、医師と相談して検査を受けるかどうかを決めましょう。
診断
頸動脈エコーは、超音波検査の一種で、首の動脈の太さや血流の状態を調べます。他の画像検査(MRIやCT)と組み合わせて行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 頸動脈エコー(超音波ドプラ法):血流の速さや方向を色で表示する
- 頸動脈エコー(Bモード法):動脈の壁の厚さやプラークの状態を白黒の画像で見る
- 必要に応じて、MRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピュータ断層撮影)でさらに詳しく調べることもある
診察で予想されること
検査は通常、診察室か超音波検査室で行います。ベッドに仰向けになり、首の後ろに軽く枕を置いて、少しあごを上げた姿勢になります。検査技師が首にゼリーを塗り、プローブ(小さな機械)を当てて画像を撮ります。冷たく感じることはありますが、痛みはありません。検査時間は約30分で、終わったらすぐに普段の生活に戻れます。
治療
頸動脈エコーで狭窄やプラークが見つかった場合の治療は、脳卒中を予防することが目的です。治療法は、狭窄の程度や症状の有無、全身の健康状態によって大きく異なります。軽度の場合は生活習慣の改善と薬物療法、重度の場合は手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 減塩(1日6g未満を目標)とバランスの良い食事(野菜・魚・大豆製品を多くとる)
- 適度な運動(週に150分以上の中強度の有酸素運動、ウォーキングなど)
- 禁煙(タバコは動脈硬化を促進する最大のリスク因子の一つ)
- 節酒(日本酒なら1合程度まで、休肝日を設ける)
- ストレス管理(十分な睡眠、リラックスする時間を持つ)
医療治療
医師は、血圧を下げる薬、悪玉コレステロールを減らす薬(スタチン系薬など)、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬など)を処方することがあります。これらの薬は医師の指示に従って正しく服用することが大切です。薬の名前や量は自分で判断せず、必ず医師の指示を守ってください。
手術が検討される場合
頸動脈の狭窄が70%以上で症状がある場合、または50%以上で症状がなくてもプラークが不安定と判断された場合、手術が検討されます。代表的な手術は頸動脈内膜剥離術(CEA)で、首を切開してプラークを取り除きます。近年はカテーテルを使った頸動脈ステント留置術(CAS)という低侵襲な方法もあります。手術の適応は専門医が総合的に判断するので、詳しくはかかりつけ医や脳神経外科医と相談してください。
この病気と共に生きる
頸動脈エコーで異常が見つかっても、多くの場合は日常生活に大きな制限はありません。ただし、脳卒中のリスクを減らすために、生活習慣の改善と処方された薬の継続が重要です。検査の結果や治療の経過に応じて、定期的に医師の診察を受けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日30分程度のウォーキングや軽いジョギングを習慣にする
- ストレスをため込まない(趣味や家族との時間を大切に)
- アルコールは適量(日本酒なら1日1合程度)で、週に2日は休肝日を設ける
- 良質な睡眠を心がける(7時間前後)
- 血圧や体重を定期的に測定し、記録を付ける
食事と運動
食事は、野菜、果物、魚、全粒穀物を多くとり、脂肪の多い肉や加工食品、塩分を控えめにします。和食(魚、大豆製品、海藻など)は一般的に動脈硬化予防に良いとされています。運動は、医師の許可を得てから、無理のない範囲で始めましょう。散歩や水中歩行など、関節に負担の少ない運動から始めるのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
脳卒中のリスクを指摘されると、不安や心配を感じるのは自然なことです。しかし、早期に発見できれば適切な対策がとれるため、前向きに考えることが大切です。もし強い不安や落ち込みが続くようであれば、医師やカウンセラーに相談してください。一人で抱え込まないようにしましょう。
予防
頸動脈の動脈硬化(狭窄の原因)は、完全に予防するのは難しいですが、健康的な生活習慣を続けることで進行を遅らせたり、リスクを大きく減らすことができます。特に、若い頃からの生活習慣が重要です。
検診プログラム
頸動脈エコーのような画像検査は、一般的な健診では行われませんが、脳卒中のリスクが高い方(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙者など)は、医師に相談して定期的に検査を受けることを検討すると良いでしょう。症状がなくても、年に一度程度の検査が推奨される場合もあります。
合併症
治療しない場合
- 脳梗塞(脳の血管が詰まって細胞が死ぬ病気):片麻痺や言語障害、視覚障害などが残ることがある
- 一過性脳虚血発作(TIA):脳梗塞の前兆で、症状は一時的だが、放置すると脳梗塞のリスクが高まる
- 認知機能の低下:狭窄が長期間続くと脳への血流が減り、認知症のリスクが高まる
長期的な見通し
頸動脈エコーで発見された狭窄やプラークは、適切な治療と生活習慣の改善によって、脳卒中のリスクを大幅に減らすことができます。早期発見・早期治療が重要で、多くの方は症状なく過ごしながら、リスクをコントロールできます。脳卒中は予防できる病気です。医師と協力して、無理のない範囲で対策を続けていきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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