肺VQスキャン
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
VQスキャン(肺換気・血流スキャン)は、肺の空気の流れ(換気)と血液の流れ(血流)を調べる検査です。ごく少量の放射性物質を使って、肺の様子を画像にします。痛みはなく、安全な検査です。
重要な事実
- VQスキャンは、肺の中の空気の通り道と血管の状態を、別々に評価します。
- この検査は、肺に血の塊(血栓)が詰まる「肺塞栓症」を見つけるのに役立ちます。
- 放射線の量はとても少なく、健康への影響はほとんどありません。
VQスキャンは、肺の病気が疑われるときに行われる、よくある検査の一つです。とくに肺塞栓症の診断に広く使われています。
突然の息切れや胸の痛みがある方、手術後や長期の安静で寝たきりになった方、がんの治療中の方など、肺塞栓症のリスクがある方に行われることが多いです。子どもでも行うことがありますが、検査の必要性を医師が慎重に判断します。
症状
- 突然の激しい胸の痛み
- 息ができなくなるほどの呼吸困難
- 意識を失った
- 大量の血をせき込む
- ⚠安静にしていても続く息切れや胸の痛み
- ⚠足の片側が急に腫れて痛む(深部静脈血栓症の可能性)
- ⚠原因不明のふらつきや動悸
一般的な症状
- 突然起こる息苦しさ(呼吸困難)
- 胸の痛み(特に息を吸うときに強くなる)
- 血の混じったせき(喀血)
- 動悸やふらつき
子供の症状
- 子どもでも同じように突然の呼吸困難や胸の痛みがあらわれることがあります。ただし、症状をうまく言葉で伝えられないこともあるので、機嫌が悪い、ぐったりする、顔色が青白いなどの変化に注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、典型的な症状(息切れや胸の痛み)がはっきり出ないこともあります。代わりに、意識がもうろうとする、転びやすくなる、理由のない疲れや息切れなど、普段と違う様子が見られたら注意が必要です。
原因
主な原因
- VQスキャンは主に「肺塞栓症」という病気を調べるために行います。これは、足や骨盤の静脈にできた血の塊(血栓)がはがれて、肺の血管に詰まる病気です。
リスク要因
- 長時間の飛行機や車での移動(特に5時間以上の着席)
- 大きな手術やけがの後
- がんの治療中
- 妊娠中や産後
- ピルやホルモン療法
- 過去に血栓ができたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の「緊急時」の症状がある場合
- 突然の息切れや胸の痛みが続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- 持続する軽い息切れや胸の違和感がある場合
- 肺塞栓症のリスクがある状態(手術後、長距離移動後など)で、心配な場合
診断
VQスキャンは、肺塞栓症が疑われるときに行われる検査のひとつです。特に、造影CTが使えない方(腎臓が弱い方や造影剤アレルギーがある方)に代わりに使われることが多いです。
行われる可能性のある検査
- VQスキャン(肺換気・血流スキャン)
- 血液検査(Dダイマー検査:血栓の有無を調べる)
- 胸部CT(造影CTで肺動脈を詳しく見る)
- 心臓の超音波検査(心臓への負担を調べる)
診察で予想されること
検査は2部構成です。最初に、放射性のない気体をマスクから吸い込みながら肺の換気の画像を撮ります。次に、腕の静脈から少量の放射性物質を注射して、肺の血流の画像を撮ります。どちらも痛みはほとんどなく、約30分~1時間で終わります。当日は特に制限はなく、検査後すぐに普段の生活に戻れます。
治療
VQスキャンで何か異常が見つかった場合、その原因(多くの場合は肺塞栓症)に対する治療を始めます。治療の中心は、血液をサラサラにして血栓を溶かしたり、これ以上大きくならないようにすることです。医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 指示された薬は決められたとおりに飲む
- 水分をしっかりとる(脱水は血栓のリスクを高めます)
- 長時間同じ姿勢を避け、こまめに体を動かす
- 禁煙する
- 体重を適正に保つ
医療治療
治療には、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)が使われます。薬の種類や期間は、血栓の程度や個人の状態によって医師が決めます。重症の場合は、血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を点滴で使うこともあります。治療中は定期的に血液検査で薬の効き具合を確認します。
手術が検討される場合
非常にまれですが、大きな血栓で薬が効かない場合や、血圧が保てないほど重い場合には、カテーテルや手術で血栓を取り除くことがあります。
この病気と共に生きる
肺塞栓症の治療後は、再発を防ぐために日常生活で注意することがあります。特に、血液をサラサラにする薬を飲んでいる間は、けがや出血に気をつけてください。
生活習慣のアドバイス
- 医師の許可が出るまでは激しい運動や旅行は控える
- 長距離移動のときは圧迫ストッキングを着用する
- こまめに足を動かす、かかとの上げ下げをする
- 飲酒は控えめにする(出血リスクが高まることがある)
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、特にビタミンK(納豆、緑黄色野菜など)を多く含む食品は、薬の効き目に影響するため、食べる量を急に変えないようにしましょう。医師から許可が出たら、ウォーキングなどの軽い運動から始めてください。
精神的健康と心の健康
肺塞栓症は命に関わる病気でもあるため、検査や治療後に不安や恐怖を感じることは自然なことです。気分の落ち込みや眠れない日が続くようでしたら、一人で抱え込まずに医師や看護師に相談してください。
予防
肺塞栓症は、予防できることがたくさんあります。とくに手術後や長距離移動のときは、意識的に予防策をとることが大切です。ただし、すべてのケースを完全に防げるわけではありません。
ワクチン
なし
検診プログラム
特に定期的なスクリーニング検査は推奨されていませんが、血栓ができやすい体質の方や、過去に肺塞栓症を起こしたことのある方は、医師と相談の上、予防的に血液検査や画像検査を行うことがあります。
合併症
治療しない場合
- 肺の血管が詰まったままになると、心臓に負担がかかり「肺高血圧症」になるリスクがあります。
- 重症の場合は、血圧が下がってショック状態になり、命に関わることがあります。
- 再発を繰り返すと、慢性的な息切れや疲れやすさが残ることがあります。
長期的な見通し
肺塞栓症は、早期に発見して適切な治療を始めれば、ほとんどの方が回復します。VQスキャンは診断の助けになる検査であり、治療後も経過を見ながら安心して生活できるようサポートします。あきらめずに治療を続けましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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