動脈スクリーニング検査の準備
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動脈のスクリーニング検査は、動脈の詰まりや狭さく(血管が細くなること)を早期に見つけるための検査です。動脈は心臓から全身に血液を送る血管で、これが硬くなったり詰まったりする病気を動脈硬化といいます。この検査を受けることで、脳卒中や心臓発作などの重大な病気を防ぐための対策が早く始められます。
重要な事実
- 動脈スクリーニングは、症状が出る前に動脈の健康状態を調べます。
- 多くの場合、特別な準備は必要ありませんが、検査前に喫煙やカフェインを控えることがあります。
- 結果に基づいて、生活習慣の改善や治療が提案されます。
動脈硬化は日本人に非常に多い病気で、40歳以上の約3人に1人が何らかの動脈の異常を持っていると言われています。高血圧や糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が多い状態)があるとリスクが高まります。
この検査は特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙習慣がある人、または家族に動脈硬化の病気(心筋梗塞や脳卒中など)の人がいる場合に推奨されます。また、50歳以上の方や運動不足の方も対象になることがあります。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや圧迫感(心臓発作の可能性)
- 顔の片側が下がる、片方の腕や足が動かせない、言葉が不明瞭になる(脳卒中の可能性)
- 急に呼吸が苦しくなる、激しい頭痛、意識を失う
- ⚠新しい症状として、歩くとすぐにふくらはぎや太ももが痛むが休むと治る(間欠性跛行の悪化)
- ⚠脚や足の色が急に青白くなる、冷たくなる、痛みが強くなる(急性動脈閉塞の可能性)
一般的な症状
- 動脈が狭くなっても初期にはほとんど症状がありません。
- 進行すると、歩いたときに足が痛む(間欠性跛行)、胸の痛み(狭心症)、めまい、一時的な片側の手足のしびれなどが出ることがあります。
子供の症状
- 子どもの動脈硬化はまれですが、肥満や家族性高コレステロール血症がある場合、動脈が硬くなる兆候が見られることがあります。
- 子どもには特別な症状はほとんどなく、スクリーニング検査が必要と判断されることは稀です。
高齢者の症状
- 高齢者では、動脈硬化が進んでいることが多く、安静時の脚の痛み、傷の治りが悪い、冷え、脱力感などが見られることがあります。
- また、認知機能の低下やふらつきも動脈の血流不良に関係することがあります。
原因
主な原因
- 動脈硬化は、血管の内側にコレステロールや脂肪がたまり、プラーク(かたまり)ができることで起こります。
- 長期間の高血圧や高血糖(糖尿病)が血管の壁を傷つけ、動脈硬化を進めます。
- 喫煙や過度の飲酒も血管を傷める大きな原因です。
リスク要因
- 脂質異常症(LDLコレステロールが高い、HDLコレステロールが低い)
- 肥満(特に腹部肥満)
- 運動不足
- 不健康な食事(高脂肪・高塩分・高糖質)
- 加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)
- 家族歴(親や兄弟に動脈硬化の病気がある)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや圧迫感が突然現れた場合
- 片側の手足が動かせなくなったり、しびれが出たりした場合
- 言葉が話しにくくなったり、相手の言葉が理解できなくなった場合
定期受診を予約すべき場合:
- 定期的な健康診断で血圧やコレステロールが高いと言われた場合
- 40歳を過ぎて、これまで動脈の検査を受けたことがない場合
- 家族に心臓病や脳卒中になった人がいる場合
診断
動脈スクリーニング検査は、主に超音波(エコー)や足関節上腕血圧比(ABI)という簡単な検査で行われます。医師があなたのリスクを評価した上で、適切な検査を選びます。
行われる可能性のある検査
- 頸動脈エコー検査:首の動脈を超音波で調べ、プラークの有無や血管の厚さを測定します。
- 足関節上腕血圧比(ABI)検査:足首と腕の血圧を比べて、脚の動脈の狭さくがないか調べます。
- 冠動脈CT検査:心臓の動脈をCTで撮影し、カルシウムの沈着(動脈硬化のサイン)を調べます。
- 脈波伝播速度(PWV)検査:血管の硬さを測定する検査です。
診察で予想されること
検査当日は、ゆったりした服装で来院してください。食事制限は検査によって異なりますが、多くの場合、朝食は軽めに済ませ、カフェインやタバコは控えるように指示されることがあります。検査中は痛みはなく、ベッドに寝たままで行われます。所要時間は30分~1時間程度です。
治療
動脈硬化が確認された場合、治療の第一歩は生活習慣の改善です。医師の指導のもと、必要に応じて薬による治療が行われます。治療の目標は、動脈硬化の進行を遅らせ、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を防ぐことです。
自宅でのセルフケア
- 禁煙をする(タバコは動脈硬化を強く悪化させます)
- 減塩を心がけ、野菜や果物、魚を多くとる食事に変える
- 週に150分以上の有酸素運動(早歩き、水泳など)を習慣にする
- 体重を適正範囲に保つ(BMI 22を目標に)
- ストレスをためすぎないようにする
医療治療
動脈硬化に対しては、血圧を下げる薬、コレステロールを調整する薬、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)などが使われることがあります。また、糖尿病がある人は血糖コントロールも重要です。これらの薬は医師があなたの状態に合わせて処方しますので、自己判断で中止したり変更したりしないでください。
手術が検討される場合
動脈が非常に狭くなったり詰まったりして、薬や生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合、カテーテル治療(風船で広げる、またはステントという管を入れる)やバイパス手術(別の血管で迂回路を作る)が検討されることがあります。これは担当医とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
動脈硬化と診断されても、日常生活を大きく変える必要はありません。規則正しい生活と、医師から指示された薬をきちんと飲むことが大切です。定期的に検査や診察を受けて、状態をチェックしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の食事で、野菜を多く、脂肪分の少ない肉や魚を選ぶ
- 塩分は1日6g未満を目標にする
- ウォーキングや軽いジョギングを定期的に行う
- 十分な睡眠をとり、ストレスを溜めない工夫をする
食事と運動
食事は、和食を基本に、魚、大豆製品、海藻、野菜を積極的にとりましょう。脂っこいものや甘いものは控えめに。運動は、無理のない範囲で毎日30分程度の有酸素運動を続けることが推奨されます。運動を始める前に、医師に相談すると安全です。
精神的健康と心の健康
動脈硬化の診断は不安になるかもしれませんが、早期に見つかれば対処法があります。気持ちが落ち込んだり、強い不安を感じたりする場合は、医師や家族に話すことが大切です。必要に応じて、心理的なサポートを受けることもできます。
予防
動脈硬化は、完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、健康的な生活習慣を続けることで進行を大幅に遅らせ、合併症のリスクを減らすことができます。早期発見・早期対応が何よりも大切です。
ワクチン
特にない。ただし、インフルエンザや肺炎のワクチンは、動脈硬化に間接的な悪影響を防ぐために推奨されることがあります(感染症は動脈硬化を悪化させる可能性があるため)。
検診プログラム
定期的な動脈スクリーニング検査は、リスクが高い人にとって非常に有効です。日本の厚生労働省も、特定健康診査(メタボ健診)の中で動脈硬化のリスク評価を推奨しています。40歳以上の方は、年に1回を目安に検査を受けることを検討しましょう。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(心臓の動脈が詰まる)
- 脳梗塞(脳の動脈が詰まる)
- 下肢閉塞性動脈疾患(足の動脈が詰まり、歩行困難や壊疽(えそ:組織が死ぬこと)を起こす)
- 大動脈瘤(大動脈が膨らんで破裂する危険がある)
長期的な見通し
動脈硬化はゆっくり進む病気ですが、早期に発見して適切な治療と生活習慣の改善を行うことで、合併症のリスクを大きく減らせます。多くの人が治療を続けながら普段と変わらない生活を送っています。希望を持って、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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