男性不妊のリスクを減らすために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
男性不妊とは、男性側の原因によって赤ちゃんを授かりにくい状態のことです。精子の数が少ない、動きが悪い、形がふぞろいなど、さまざまな問題が関係します。
重要な事実
- 不妊に悩むカップルのうち、約半数には男性側の要因が関係していると言われています。
- 男性不妊は体の病気ではなく、生活習慣や環境の影響も大きく受けます。
- 早期に検査を受けることで、改善や治療の可能性が広がります。
決して特別なことではありません。日本では、カップルの約7組に1組が不妊の相談を経験するとされています。そのうち男性側に原因がある場合も少なくありません。
子どもを望む男性なら誰にでも起こりうる状態です。年齢が上がるほど精子の質が低下しやすいため、30代後半以降は特に注意が必要です。ただし、若い世代でも生活習慣や体調によって影響を受けることがあります。
症状
- 突然の激しい睾丸の痛み(睾丸捻転の可能性があります。すぐに119番へ)
- 睾丸が突然はれ上がり、触れるだけで強い痛みがある
- 交通事故など外傷での強い痛みや出血
- ⚠熱や悪寒をともなう睾丸・陰のうの痛みやはれ(感染症の可能性)
- ⚠精液に血が混じる
- ⚠持続する睾丸の痛みや不快感
- ⚠排尿時の痛みや頻尿が続く
一般的な症状
- 特に自覚症状がないことも多い(多くは症状ゼロでも精子に問題がある)
- 精液の量が少ない、または透明でさらさらしている
- 性機能の問題(勃起しにくい、射精しにくいなど)
- 睾丸(こうがん)のしこり、はれ、痛み
- 陰のうや下腹部の違和感
子供の症状
- この記事は成人男性向けの内容です。子どもの場合は、睾丸が下りてこない、陰のうの痛みやはれ、変化などが気になるようでしたら、小児科を受診しましょう。
高齢者の症状
- 加齢に伴い精子の数や運動率が低下しやすくなります。生理的な変化なのでふつう治療の必要はありませんが、妊娠を望む場合は早めの検査がすすめられます。
原因
主な原因
- 精子を作る機能の問題(精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)など)
- ホルモンバランスの乱れ
- 感染症(おたふくかぜの後遺症や性感染症など)
- 薬の影響や、がん治療(抗がん剤、放射線治療)の後遺症
- 射精や輸精管(精子の通り道)のトラブル
リスク要因
- 喫煙・過度の飲酒
- 肥満や運動不足、偏った食事
- ストレスが多い生活
- 長時間の座位や入浴、締め付ける下着による高温環境
- 環境中の化学物質や受動喫煙への暴露
- ステロイド薬や一部の漢方薬の長期使用
- 年齢(40歳を過ぎると精子の質が低下しやすい)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の強い睾丸の痛みやはれがある場合
- 精液に血が混じる場合
- 陰のうに急な変化(しこり、はれ)がある場合
- 高熱をともなう場合
定期受診を予約すべき場合:
- 1年間(35歳以上では6か月)妊娠するための努力をして妊娠しない場合
- 精液の量や見た目が気になる場合
- 性機能に問題があり、自己判断で困っている場合
- 過去にがん治療や陰のうの手術を受けたことがある場合
診断
男性不妊の診断は、まず問診と身体診察、そして精液検査が基本です。精液検査は禁欲期間(通常2〜5日)をあけて行われます。その後、必要に応じて血液検査や超音波検査などでさらに詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 精液検査(精子の数・運動率・形を調べる)
- 血液検査(ホルモン値の確認)
- 超音波検査(陰のう内の血管や精巣の状態を確認)
- 遺伝子検査(原因が疑われた場合)
- 尿検査(射精後の尿で精子の逆流を確認する場合など)
診察で予想されること
検査は外来で行われ、痛みをともなうものはほとんどありません。精液検査は専用の個室で採精する方法と、ご自宅で採取して持参する方法があります。結果の説明では、数値の意味をくわしく教えてもらえるので、不明点は遠慮なく質問しましょう。
治療
治療は原因によって異なります。生活習慣の改善で精子の質が大きく変わることがあるため、まずは基礎検査と生活習慣の見直しから始めることが一般的です。必要に応じて、薬物療法、手術、または生殖補助医療(体外受精など)を組み合わせて進めます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(葉巻や電子タバコも含め、できるだけやめる)
- 飲酒は適量(日本酒なら1合程度)にとどめ、週に数日は休肝日を作る
- 熱いお風呂や長時間のサウナ、襟元の締め付ける服装・下着を避ける
- 座位が続く仕事の場合は1時間に1回は立ち上がる
- 適度な運動(週に2〜3回、30分程度の早歩きなど)を習慣にする
- 睡眠を十分にとり、ストレスをため込まないこと
医療治療
医療機関では、ホルモンのバランスを整える薬物療法や、感染症に対する抗生剤治療などが行われることがあります。また、精子の通り道の詰まりや精索静脈瘤(精巣の静脈がふくらむ病気)に対しては、手術により自然妊娠や人工授精の成功率を高めることが可能です。治療法は必ず医師と相談し、自分に合ったものを選びましょう。
手術が検討される場合
精索静脈瘤が見つかった場合や、陰のうにしこり(精巣がんなど)が見つかった場合には、手術が必要になることがあります。また、精管閉塞(精子の通り道が詰まる病気)では、顕微鏡を使った再建手術によって自然妊娠が可能になるケースもあります。
この病気と共に生きる
男性不妊の治療中は「自分が原因かもしれない」と落ち込みやすくなりますが、パートナーと二人三脚で乗り越えていくことが大切です。検査や治療は時間がかかることもありますが、焦らずに一歩ずつ進みましょう。
生活習慣のアドバイス
- 避けられない場合は、乾いたタオルを敷いて座るなど工夫を
- スマートフォンやノートパソコンをズボンのポケットに入れない
- 過度な運動は逆効果になることもあるので、ほどほどに
- 禁煙・節酒を心がけ、第三者の前での受動喫煙も避ける
- パートナーと一緒に生活リズムを整える
食事と運動
バランスのよい食事が基本です。亜鉛が多く含まれる食品(カキ、牛肉、卵)、抗酸化作用のある野菜や果物を意識しましょう。一方、過度のダイエットや偏食は精子の質を下げます。運動は適度な有酸素運動(ウォーキングなど)がすすめられますが、自転車を長時間こぎ続けるなど、股間を強く圧迫する運動は避けましょう。
精神的健康と心の健康
不妊治療は心に負担がかかりやすいものです。「自分は男としてダメだ」と感じたり、パートナーに申し訳ないと思ったりするのは自然なことですが、その感情を一人で抱え込まないでください。日本の厚生労働省も、不妊は夫婦の問題として支援の重要性を指摘しています。カウンセリングや支援団体を利用することも選択肢です。
予防
すべての男性不妊を予防することはできませんが、生活習慣や環境要因によるリスクは、毎日の選択で減らせます。禁煙、節酒、適度な運動、ストレス管理が大きな効果を持ちます。また、性感染症を予防することも大切です。
ワクチン
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は精巣炎を起こすことがあり、男性不妊の原因のひとつです。おたふくかぜの予防接種の接種状況を確認し、未接種の場合は医師に相談しましょう。
検診プログラム
一般的ながん検診とは別に、男性不妊の定期的なスクリーニング検査はありません。ただし、妊娠を希望する場合は、1年(35歳以上では6か月)を目安に精液検査を受けることが推奨されています。
合併症
治療しない場合
- 子どもを授かるのが難しくなる
- 原因疾患(精巣がんなど)が進行する可能性
- パートナーとの関係にストレスを生じる
- 自己否定感やうつ状態に陥ることがある
長期的な見通し
男性不妊は決して「不治の病」ではありません。生活習慣の改善だけで精子が大きく改善する人も多く、治療の選択肢も多様です。たとえ自然妊娠が難しくても、体外受精などの生殖補助医療によって親になるチャンスは十分にあります。検査と治療を早く始めるほど、良い結果につながりやすくなります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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