狭心症の予防:心臓と血管を守る生活の基本
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
狭心症(きょうしんしょう)は、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈(かんどうみゃく)が細くなったり、けいれんを起こしたりして、心臓の筋肉が一時的に酸素不足になり、胸の痛みや圧迫感が現れる病気です。心筋梗塞(心臓の血管が完全に詰まる病気)とは違いますが、その前触れともいえる大切なサインです。
重要な事実
- 狭心症は、心臓の血管(冠動脈)が狭くなることで起こる「心臓からの警告サイン」です。
- 胸の痛みは数分で治まることが多く、安静にすると楽になるのが特徴です。
- 生活習慣の見直しと適切な治療で、心筋梗塞などの重症化を防ぐことができます。
狭心症は日本でも身近な病気で、中高年になると誰でもかかる可能性があります。高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などのリスクを持つ方では、特に注意が必要です。
中年以降の男性に多くみられますが、閉経後の女性にも増えてきます。運動不足、肥満、ストレスの多い生活を送っている方や、家族に心臓病がある方は、発症しやすくなるため注意しましょう。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感が5分以上続く
- 痛みに加えて冷や汗、吐き気、強い息苦しさ、意識が遠くなる感じがある
- 痛みが消えたり強くなったりを繰り返し、どんどん悪化する
- このような症状がある場合は、すぐに119番に電話してください
- ⚠初めて胸の痛みや圧迫感を感じた
- ⚠安静にしていても症状が続く
- ⚠今までより痛みの回数が増えた、長く続く、強くなった
- ⚠いつもと違う症状で、心臓が悪いかもしれないと不安がある
一般的な症状
- 胸の中央が締め付けられる、押しつぶされるような痛みや圧迫感
- 痛みや重だるさが、左肩や腕、あご、背中に広がることがある
- 階段の上り下りや早歩きなど、体を動かしたときに起こりやすい
- 冷たい空気の中の外出や、強いストレス・感情の高ぶりで出ることがある
- 安静にすると数分で落ち着くことが多い
子供の症状
- 狭心症は子どもにはまれです。
- 先天性の心臓病や川崎病の既往がある子どもでは、胸の痛みや違和感が出ることがあるため、気になる場合は小児科や循環器の専門医を受診しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者では胸の痛みをあまり強く感じず、『なんとなく息苦しい』『疲れやすい』『食欲がない』などの症状として現れることがあります。
- 顔色が悪い、動きがゆっくりになる、めまいやふらつきがあるなど、普段と違う様子があれば注意深く見てください。
原因
主な原因
- 冠動脈の内側にコレステロールなどがたまり、血管が硬く細くなる(動脈硬化)
- 冠動脈がけいれんを起こし、一時的に血管が細くなる
- 心臓の細い血管の働きが悪くなり、十分な血液が流れなくなる
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが高い状態)
- 過度の飲酒
- 運動不足
- 肥満やメタボリックシンドローム
- 強いストレスや寝不足
- 心臓病や脳卒中の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みが初めて出た場合
- これまでより痛みの回数や強さが増している場合
- 安静にしても症状が治まらない場合
- 痛みに息苦しさや冷や汗、吐き気を伴う場合
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血圧、血糖、コレステロールの異常を指摘された場合
- 狭心症と診断されている方が、定期的な経過観察や生活の相談をしたい場合
- 胸の症状が長い間ときどきあり、一度は検査を受けたい場合
診断
狭心症の診断では、まず医師が症状について詳しく経緯を聞き、血圧や脈、心音などの診察を行います。そのうえで、心臓の電気的な働きや血管の状態を調べる検査を組み合わせて、原因を明らかにします。
行われる可能性のある検査
- 心電図:心臓のリズムや血液の流れの異常を調べる検査
- 運動負荷心電図:一定の運動をしながら心電図を記録する検査
- 血液検査:心臓の筋肉がダメージを受けていないか、脂質や血糖の状態を確認する検査
- 心臓超音波検査(エコー):心臓の動きや形を画像で確認する検査
- 冠動脈CT(コンピューター断層撮影):冠動脈に石灰化や狭窄がないかを画像で評価する検査
- 冠動脈造影:血管に細い管(カテーテル)を入れ、造影剤で狭窄の場所や程度を詳しく調べる検査
診察で予想されること
外来で行える検査も多く、心電図や血液検査はその日のうちに結果が分かることがほとんどです。症状によっては、24時間心電図(ホルター心電図)や負荷検査のために、数時間から1日程度かかることもあります。冠動脈造影などの詳しい検査は、個室や短い入院で行う場合もありますが、検査前に医師からしっかり説明があります。
治療
狭心症の治療の基本は、動脈硬化を進めないことです。生活習慣の見直し、薬による治療、そして必要に応じたカテーテル治療や手術を組み合わせて、症状を抑え、心筋梗塞や心不全といった重症化を防ぐことを目指します。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(煙草は血管を縮め、心臓に負担をかけます)
- 塩分を控え、血圧を高いままにしない
- 医師に相談したうえで、負担のかけすぎない運動を生活に取り入れる
- 毎日の睡眠をしっかり確保し、疲れをためない
- ストレスをため込まず、リラックスする時間をつくる
- アルコールは量を決めて控えめにする
- 体重を適正な範囲に保つ
医療治療
薬による治療では、血管を広げて血流を増やす薬、心臓の動きをなめらかにして負担を減らす薬、血液が固まりにくくする薬、血圧やコレステロールを下げる薬などが、症状や原因に合わせて医師から処方されます。自分で判断して薬を止めたり量を変えたりせず、必ず医師の指示に従いましょう。
手術が検討される場合
薬や生活改善だけでは十分に症状が改善しない場合や、血管の狭くなり方が強い場合は、狭くなった血管をカテーテルという細い管で広げるカテーテル治療や、別の血管をつないで血液の通り道を作るバイパス手術(冠動脈バイパス術)が検討されます。どの治療が適しているかは、狭窄の場所や全身の状態を総合的に判断して決まります。
この病気と共に生きる
狭心症は、うまく付き合いながら長く暮らしていく病気です。自分の体が出す「サイン」をよく観察し、症状が出やすい場面を把握しておきましょう。無理をせず、症状との付き合い方を身につければ、普段の生活を続けられます。
生活習慣のアドバイス
- かかりつけ医を受診し、血圧や心臓の状態を定期的にチェックする
- 毎日同じ時間に血圧を測り、記録をつける
- 急な温度変化を避け、寒い朝や風呂の出入りに注意する
- 運動は医師の許可をもらってから、無理のない範囲で続ける
- 胸の症状を引き起こす動作や場面を記録し、避ける工夫をする
食事と運動
食事は、主食・主菜・副菜のそろったバランスのよい食事を心がけ、塩分は控えめにしましょう。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』も参考にしながら、野菜、果物、魚、大豆製品を積極的にとり、脂肪が多い肉や加工食品は控えめにします。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動がすすめられますが、どの程度の強さや時間が安全かは医師に確認してください。
精神的健康と心の健康
狭心症という診断を受けると、『心臓が悪い』という不安や、発作への恐怖を感じるのは自然なことです。しかし、正しい知識を持ち、治療を続けることで、多くの人が安心して生活を送っています。つらい気持ちがあれば、ひとりで抱えず、家族や医師、看護師に話しましょう。
予防
狭心症は、動脈硬化のリスクを減らすことで、かなりの部分を予防できます。血圧、血糖、コレステロールをコントロールし、禁煙・適度な運動・バランスのよい食事を続けることが、心臓と血管を守る基本です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの予防接種は、感染症による心臓への負担を防ぐのに役立ちます。特に心臓の病気を持っている方は、感染症をきっかけに症状が悪化することがあるため、受けられる予防接種について医師と相談しましょう。
検診プログラム
健康診断では、血圧、血糖、脂質(コレステロール)の項目を必ず確認しましょう。自覚症状がないまま動脈硬化は進むことがあるため、異常を指摘されたら放置せず、早めに医療機関を受診することが予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞:冠動脈が完全に詰まり、心臓の筋肉が壊死する命にかかわる状態
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、息切れやむくみが続く状態
- 不整脈:心臓のリズムが乱れ、心室細動など突然死につながる危険な脈も起こりうる
長期的な見通し
狭心症は、早期に発見してきちんと治療すれば、多くの方が生活の質を保ちながら長く過ごすことができます。症状が落ち着いても動脈硬化の進行を止めるわけではないため、生活習慣の改善と定期的な通院を続けることが大切です。心臓と向き合いながら、無理のないペースで毎日を楽しんでください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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