膵臓をまもるために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膵臓(すいぞう)は、胃のうしろにある小さめの臓器で、食べ物を消化するための消化液と、血糖(けっとう)を調節するインスリンなどのホルモンを作る大切なはたらきをしています。膵臓が弱ると、食べたものを十分に消化・吸収できなくなったり、血糖の調節に問題が出たりすることがあります。
重要な事実
- 膵臓には「食べ物を消化する」と「血糖を調節する」という2つの大きな役割があります。
- アルコール、喫煙、肥満などの生活習慣は膵臓の病気のリスクを高めます。
- 膵臓の病気は初期には症状がないことが多く、健康診断や定期的なチェックが大切です。
膵臓の病気は、がんと比べるとそれほど多くありませんが、急性膵炎や慢性膵炎は日本でも一定数の方が経験します。ただし、生活習慣の改善で予防できる部分も多くあります。
膵臓の病気は男性にやや多く見られますが、女性にも起こります。特に、お酒を多く飲む方、たばこを吸う方、糖尿病や肥満がある方、家族に膵臓の病気の人がいる方は注意が必要です。
症状
- 突然、激しい上腹部や背中の痛みが起こる
- 痛みで体を動かせない、じっとしても治まらない
- 高熱があり、意識がもうろうとする
- 血を吐く、あるいは黒色の便が出る
- ⚠数日続く腹痛や吐き気がある
- ⚠皮膚や白目が黄色っぽくなる(黄疸)
- ⚠発熱をともなう腹痛がある
- ⚠急に体重が減った
一般的な症状
- みぞおちから上腹部にかけての痛み
- 背中や腰に広がるような痛み
- 吐き気・おう吐
- 食欲の低下
- 体重が減る
- 体がだるい、疲れやすい
原因
主な原因
- 急性膵炎は、胆石、アルコールの多飲、脂っこい食事をきっかけに起こることがあります。
- 慢性膵炎は、長年にわたるアルコールの飲みすぎが最も一般的な原因です。
- 膵臓がんは原因がはっきりしないことが多いですが、喫煙、飲酒、肥満、糖尿病、慢性膵炎などが関連するとされています。
- 薬の副作用や感染症で膵臓に炎症が起こることもあります。
リスク要因
- 大量飲酒または長期間の飲酒
- 肥満・偏った食事
- 高脂血症(血液中の脂質が多い)
- 家族に膵臓の病気の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上腹部や背中の痛みが続く
- 黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色い)が出た
- 原因不明の体重減少がある
- 吐き気やおう吐が長引く
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血糖値や中性脂肪が高いと指摘された
- 上腹部の不快感や食欲不振が繰り返す
- 家族に膵臓がんの人がいるため一度検査したい
診断
膵臓の検査は、血液検査で膵臓から出る酵素や血糖を調べるほか、超音波(ちょうおんぱ)、CT、MRIなどの画像検査で膵臓の形や腫れ・しこりを確認します。必要に応じて内視鏡を使った詳しい検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(アミラーゼ・リパーゼという膵酵素、血糖値などの確認)
- 腹部超音波(おなかの上から行う画像検査)
- CT検査(コンピュータ断層撮影)
- MRI検査(磁気を使った画像検査)
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)など、特殊な内視鏡検査
診察で予想されること
検査は外来で行うことが多いですが、膵炎で急に具合が悪い場合は入院して行うこともあります。画像検査は痛みを感じないものがほとんどです。造影剤を使うCTやERCPでは、まれに副作用が出ることがあるため、医師から説明を受けましょう。結果は数日から数週間で分かることが多く、その後治療方針を相談します。
治療
膵臓の病気の治療は原因や重症度によって異なります。急性膵炎では、膵臓を休めるために一時的に食事を控えて、水分や栄養を点滴で補います。慢性膵炎や膵臓がんでは、症状を和らげることと、進行を抑えることを目的に、食事療法・薬物療法・手術などが組み合わされます。
自宅でのセルフケア
- お酒は控える(膵炎では完全に避けることが原則)
- たばこをやめる
- 脂っこい食事を避ける
- 少量を何回かに分けて食べる
- 十分な水分をとる
- 体重を適正に保つ
- ストレスをためないようにする
医療治療
治療には、痛みを和らげる薬、消化を助ける酵素薬、血糖を調整する薬、炎症を抑える薬などが使われることがあります。どんな薬を使うかは症状や状態に応じて医師が決めます。自分で市販薬を判断せず、必ず医療機関で処方された薬を説明に従って服用しましょう。
手術が検討される場合
胆石が原因の場合は内視鏡で結石を取り除く処置を、膵臓に腫瘍がある場合は、その場所や進行度に応じて手術を行うことがあります。手術は、重症な場合やがんのときなどに検討されます。
この病気と共に生きる
膵臓の病気と診断されたあとは、毎日の食事がとても大切です。消化しやすいものを少量ずつ食べ、アルコールを完全に避けることが基本です。通院回数や検査を続けながら、自分の体の変化に気を配りましょう。
生活習慣のアドバイス
- アルコールを飲まない(禁酒)
- 禁煙する
- バランスのよい食事を規則正しくとる
- 適度な運動を続ける
- 血糖値を定期的にチェックする
食事と運動
食事は、野菜をたっぷり、良質なタンパク質(魚・豆腐・鶏肉など)を中心に、脂肪の多い肉や揚げ物、甘い飲み物を控えましょう。運動は、ウォーキングや軽い体操など無理のない範囲で毎日続けることが勧められます。糖尿病や肥満がある場合は、医師や管理栄養士の指導を受けてください。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや病気の心配は、不安や気分の落ち込みにつながることがあります。「一人で抱え込まない」ことが大切です。家族や友人に話す、医師に相談する、精神科や心療内科を利用するという方法もあります。
予防
すべての膵臓の病気を完全に予防することはできませんが、生活習慣を見直すことでリスクを大きく減らせます。特に禁酒・節酒、禁煙、バランスのよい食事、肥満の改善は効果的です。
ワクチン
膵臓の病気に特化したワクチンはありません。ただし、おたふくかぜなどの感染症が原因で膵炎になることがあるため、一般的な予防接種をきちんと受けておくことは間接的に役立つかもしれません。詳しくはかかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
膵臓がんを早期に見つけるための特別な検診は、一般的にはまだ広く行われていません。しかし、健康診断での血液検査や腹部超音波などの結果を確認し、気になることがあれば医師に相談することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 急性膵炎が重症化すると、膵臓の組織が壊死(えし)したり、おなかの中に膿がたまったりすることがあります。
- 慢性膵炎が長く続くと、すい臓のはたらきが低下し、消化不良や糖尿病を引き起こすことがあります。
- 膵臓がんは進行が速く、気づいたときには周りの臓器に広がっていることがあります。
長期的な見通し
急性膵炎は、早期に治療を始めれば多くの人は改善します。慢性膵炎でも、禁酒と適切な治療を行うことで、痛みの進行を抑え、日常生活を長く続けることができます。膵臓がんでも、早期発見と適切な治療により、よい経過をたどる方もいます。希望を持って、医師と一緒に治療に取り組むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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