下肢静脈瘤(静脈瘤)の予防とケア
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
静脈瘤(じょうみゃくりゅう)とは、足の静脈の弁がうまく働かなくなり、血液が逆流して静脈がふくらんで曲がってしまう状態です。皮膚の表面近くで青く腫れた血管として見えます。多くの場合、足に重さやだるさを感じますが、健康に大きな問題にならないことも多いです。
重要な事実
- 静脈瘤は足の静脈の弁の働きが弱り、血液が逆流することで起こります。
- 初期は見た目だけですが、進行するとむくみや痛み、皮膚の変色などが起こることがあります。
- 生活習慣の見直しやケアで、症状を和らげたり進行を遅らせたりできます。
はい、とても一般的です。成人の約10〜15%、特に女性に多く見られるといわれています。加齢や妊娠、立ち仕事などで増えます。
中高年の女性に最も多く、妊娠中や出産後、長時間立っている仕事に就いている人、肥満のある人、家族に静脈瘤の人がいる場合に多く見られます。男性でも起こります。子供ではまれです。
症状
- 足の急激な腫れや強い痛み
- 片足が赤く熱を持って腫れる(血栓性静脈炎の可能性)
- 急な息苦しさや胸の痛み(肺への血栓塞栓症の可能性)
- このような症状がある場合は、すぐに救急(119番)を呼んでください。
- ⚠静脈瘤の部分から出血が止まらない
- ⚠皮膚に治らない傷(潰瘍)ができ、悪化している
- ⚠発熱や激しい痛み、赤みが広がる(感染の可能性)
- ⚠これらは今日中に医療機関へ連絡しましょう。
一般的な症状
- 足の血管がボコボコと浮き出る
- 足のだるさ、重さ、むくみ
- 夕方になると足が痛む/こむら返り(足がつる)
- 足首やふくらはぎのかゆみ・ほてり
子供の症状
- 子供に静脈瘤はほとんど見られません。
- 先天的な血管の異常で現れることがあるため、気になる場合は小児科の受診を検討しましょう。
高齢者の症状
- 皮膚が薄くなり、静脈瘤から出血しやすくなることがあります。
- むくみや色素沈着(皮膚が茶色くなる)、湿疹、潰瘍(皮膚や粘膜がえぐれること)が起こることがあります。
原因
主な原因
- 静脈の壁が弱くなること
- 静脈の中にある弁(逆流を防ぐ)の働きが悪くなること
- 血液が重力で足にたまり、静脈内の圧力が高くなること
リスク要因
- 女性であること(女性ホルモンの影響)
- 妊娠・出産
- 肥満・体重増加
- 長時間立ちっぱなし・座りっぱなし
- 家族に静脈瘤の人がいる
- 便秘や慢性的なせきで腹圧が上がる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 足の急な腫れ、激しい痛み、赤み、熱がある
- 静脈瘤から出血が止まらない
- 呼吸困難や胸痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- 足のだるさや重さが続く
- 見た目が気になっている
- むくみや皮膚の色の変化がある
- 家族に静脈瘤の人がいる
診断
診察では、立った状態で足の血管を視診・触診します。必要に応じて、血管内の血流や逆流の有無を調べる超音波検査(エコー)を行います。これにより、静脈瘤の程度と原因を確認します。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診(見た目と触った感じで確認)
- 超音波検査(エコー)で血流と逆流を評価
- 静脈圧の測定(特例として行われることもあります)
診察で予想されること
診察は外来で行われ、多くはその日のうちに終わります。超音波検査は痛みがなく、普段の服装で受けられることが多いです。結果をもとに、生活の工夫や圧迫療法、治療の選択肢について医師が説明します。
治療
治療の目的は、症状を和らげ、合併症を防ぎ、見た目を改善することです。多くの場合、まずは自己ケアと生活習慣の見直しから始めます。症状が強い場合や合併症がある場合は、医療による治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 足を心臓より高い位置に上げて休む
- 1時間ごとに立ち上がって歩いたり、ふくらはぎを動かす
- 医師や圧迫療法士の指導のもとで弾性ストッキング(圧迫ストッキング)を着用する
- 皮膚を清潔に保ち、保湿クリームなどで乾燥を防ぐ
- 適度な運動と体重管理を行う
医療治療
医療機関で行われる治療には、血管内に薬剤を注射して血管を硬化させる硬化療法、細いカテーテルを入れて特殊な熱やレーザーなどで血管を閉じる血管内治療、静脈を取り除く手術などがあります。どの治療が適しているかは血管の太さや状態、症状によって異なりますので、医師が個別に説明します。
手術が検討される場合
症状が強く、日常生活に支障がある場合や、皮膚潰瘍・出血・血栓症などの合併症がある場合は、手術が検討されることがあります。近年は体への負担が少ない低侵襲の治療が増えています。
この病気と共に生きる
日ごろから足への負担を減らし、血液の流れを促すことが大切です。休みながら少し歩く、足を上げる、長時間同じ姿勢を避けるなど、小さな工夫で症状はかなり楽になります。弾性ストッキングは、医師の処方に従って正しく使いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 適度な運動(ウォーキング、水泳など)を習慣にする
- 体重をコントロールする
- 長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしを避ける
- きつい下着やハイヒールを避ける
- 禁煙を心がける(喫煙は血管に悪影響を与えます)
食事と運動
食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物を意識して摂り、塩分を控えることで、便秘や水分の滞りを防ぎやすくなります。運動は、ふくらはぎの筋肉を動かすことで血液を心臓に戻すポンプの働きを助けるため、ウォーキングやスイミングなどがおすすめです。
精神的健康と心の健康
見た目が変わったり、痛みや違和感が続いたりすると、気分が落ち込んだり不安になることもあります。完治を目指すのではなく、症状と上手に付き合いながら、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
予防
完全に予防できるとは限りませんが、生活習慣を工夫することで、発症や悪化を防ぐことが期待できます。特に、長時間立ちっぱなし・座りっぱなしの人は、休憩中に足を動かしたり、適度に運動したりすることが効果的です。厚生労働省が推奨する日常的に体を動かす時間を増やすこと(+10分の運動)も予防に役立ちます。
ワクチン
静脈瘤を予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
自覚症状がなくても、家族歴や立ち仕事などでリスクが高い人は、健康診断の機会に下肢の血管の状態を医師に相談してもよいでしょう。定期的なセルフチェックも役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 静脈瘤の部分に炎症が起こる血栓性静脈炎
- 皮膚が硬くなり、色素沈着や湿疹が現れる
- 下肢の皮膚潰瘍(治りにくい傷)
- 深部静脈血栓症(足の深い静脈に血の塊ができる病気)
長期的な見通し
静脈瘤は多くの場合、命に関わる病気ではありませんが、進行すると合併症のリスクが高まります。正しいケアと治療で症状は改善し、合併症を防げることがほとんどです。気になる症状は早めに医療機関に相談したうえで、生活習慣を見直しましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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