乾癬のある方の旅行健康ガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬(かんせん)は、皮膚の細胞が通常より速く増えすぎることで、赤い盛り上がりと銀白色のフケのような角質ができる皮膚の病気です。感染する病気ではありません。免疫(体を守る仕組み)が関係し、症状は出たり消えたりを繰り返します。旅行など環境が変わると悪化することがあるため、日頃からのケアと準備が大切です。
重要な事実
- 乾癬は人にうつりません。
- 完全に治すのは難しいですが、症状をうまくコントロールすることはできます。
- 旅行先でも、保湿・日焼け対策・ストレスを減らすことで悪化を防げます。
日本では約1000人に1人と言われ、全国に数十万人の患者さんがいます。決して珍しい病気ではありません。
どの年齢でも発症する可能性がありますが、大人に多く、特に30~50代で初めて発症することが多いとされています。男性・女性どちらにもみられます。
症状
- 皮膚の広い範囲(全身の約80%以上)が赤く腫れて、熱や冷感を伴う
- 皮膚に水疱(みずぶくれ)がたくさんできて、発熱や強いだるさがある
- 呼吸が苦しい、意識がもうろうとする
- ⚠皮膚の赤みが急速に広がり、強い痛みがある
- ⚠関節の腫れや痛みがひどくなり、動かせない
- ⚠皮膚のひび割れから感染を起こし、痛みや膿(うみ)が出る
一般的な症状
- 皮膚に赤い盛り上がり(紅斑)ができる
- 銀白色のフケのような白い角質が重なってはがれる
- かゆみや痛みを伴うことがある
- 爪が変形したり、小さなくぼみができる
- 関節が腫れたり痛む(乾癬性関節炎)
子供の症状
- 子どもの乾癬では、赤みとフケのような皮膚が小さくポツポツと現れることが多い
- かゆみが強く出る子どももいる
- 風邪や感染症をきっかけに悪化することがある
高齢者の症状
- 高齢者では皮膚が薄く、内出血しやすいことがある
- ひざやひじ、腰など関節の痛みを伴う場合がある
- ほかの病気で使っている薬との飲み合わせに注意が必要なことがある
原因
主な原因
- 免疫(体を守る仕組み)の異常が関わっている
- 遺伝的な要素がある
- ストレス、風邪などの感染症、皮膚のけが、薬、飲酒、喫煙などがきっかけになる
リスク要因
- 家族に乾癬の人がいる
- 強いストレスを抱えている
- 喫煙や飲酒の習慣がある
- 肥満や糖尿病などの生活習慣病を持つ
- 季節の変わり目や寒冷地で悪化しやすい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に全身の皮膚が赤くなる
- 発熱とともに皮膚に水疱ができる
- 関節の痛みや腫れが強く、日常生活が難しい
定期受診を予約すべき場合:
- 皮膚の赤みやフケが続く、または増える
- 市販の保湿剤やかゆみ止めで改善しない
- 爪の変形や関節の痛みがある
- 旅行前に持っていく薬や対応について相談したい
診断
皮膚科の医師が、皮膚の見た目や症状から診断します。必要に応じて、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べることもあります(皮膚生検)。関節に症状がある場合は、レントゲンや血液検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 視診(皮膚の状態を確認する)
- 皮膚生検(皮膚の一部を取って調べる)
- 血液検査(炎症の程度や他の病気を調べる)
- 関節の画像検査(関節症状がある場合)
診察で予想されること
診察では、症状が始まった時期やきっかけ、これまでの治療、家族歴などを聞かれます。診断がついたら、症状のタイプや生活習慣に合わせた治療計画が立てられます。治療は長く続くことも多いので、疑問や不安は遠慮なく質問しましょう。
治療
乾癬の治療は、皮膚の症状を軽くして、良い状態を長く保つことを目指します。症状の重さや範囲、生活状況に合わせて、塗り薬、光線療法、内服薬、注射薬などの治療を組み合わせます。旅行前には、治療方法や持参薬について医師と相談しておくと安心です。
自宅でのセルフケア
- 皮膚を保湿して、乾燥や刺激から守る(特に旅行先の乾燥や冷房に注意)
- 爪は短く切り、皮膚をかきむしらないようにする
- ストレスをためず、十分な睡眠をとる
- 日焼けをしすぎない(適度な日光はよいとされるが、日焼けは悪化の原因にもなる)
- 旅行中は皮膚をこすらず、ゆったりした服を選ぶ
医療治療
治療には、ステロイドなどの塗り薬、ビタミンD3外用薬、光線療法、内服薬、生物学的製剤という注射薬などがあります。どの治療も医師の処方と指導のもとで行われます。自己判断で薬を止めたり量を変えたりしないでください。旅行中も処方された薬を指示通りに使うことが大切です。
手術が検討される場合
乾癬そのものに対して手術が行われることは通常ありません。関節の変形が進んだ場合などに、整形外科的な手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
乾癬は慢性の病気で、良い時期と悪い時期を繰り返します。日々のスキンケアと規則正しい生活が基本です。特に旅行中は、環境が変わるため、スキンケアの道具や薬を忘れずに持参しましょう。主治医に、旅行先でも受診できる医療機関を尋ねておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 旅行前に、処方された薬と保湿剤を十分な量(予備も含めて)持っていく
- 飛行機の機内は乾燥しやすいので、保湿剤を手荷物に入れる
- 季節や気候に合わせて服装を選び、紫外線対策をする
- 温泉やプールを利用する場合は、事前に医師に相談する(肌への刺激に注意)
- 旅行中は疲れやストレスをためないよう、無理のない計画を立てる
食事と運動
特定の食べ物で乾癬がよくなったり悪くなったりすることは個人差があります。バランスのよい食事を心がけ、過度な飲酒は避けましょう。運動は血行をよくし、ストレス解消にも役立ちますが、皮膚をこすったり傷つけたりしないように気をつけてください。旅行先での新しい食べ物や飲み物にも注意し、体調を整えましょう。
精神的健康と心の健康
乾癬の見た目に悩んだり、人にどう思われるか心配になったりすることは自然なことです。旅行先でも人目が気になるかもしれませんが、無理に隠そうとせず、自分らしい時間を楽しむことが大切です。つらい気持ちが続くときは、一人で悩まず、医療機関や相談窓口に連絡しましょう。命を大切にすることが何よりも重要です。
予防
乾癬そのものを予防する方法はまだわかっていません。しかし、悪化のきっかけとなるストレス、皮膚のけが、感染症、喫煙、過度の飲酒などを避けることで、症状の悪化を防ぐことができます。旅行中は特に、体調管理とスキンケアをこまめに行いましょう。
ワクチン
旅行先によっては感染症の予防接種がすすめられることがあります。乾癬の治療によってはワクチン接種に注意が必要な場合もあるため、必ず事前に主治医に相談してください。
検診プログラム
乾癬の合併症として、関節炎や生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)を発症することがあります。旅行に限らず、定期的な健康診断や皮膚科の定期受診で、体全体の健康チェックをしておくことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 症状が広がり、日常生活に支障をきたす
- 関節が破壊されて動きが悪くなる(乾癬性関節炎)
- 感染症や薬の副作用により皮膚の状態が悪化する
- 心疾患やうつ病などの合併症のリスクが高まることがある
長期的な見通し
乾癬は完治が難しい病気ですが、適切な治療を続けることで、多くの人が症状をうまくコントロールし、旅行や仕事、趣味を楽しんでいます。治療法は年々進歩しています。あきらめずに、自分に合った治療や生活の工夫を見つけていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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