動脈のスクリーニング検査:心筋梗塞や脳卒中を防ぐために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動脈のスクリーニング検査とは、心臓から全身に血液を送る『動脈』が、動脈硬化などで狭くなったり詰まったりしていないかを、自覚症状が出る前に調べる検査です。早期に異常を見つけることで、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を防ぐことを目的としています。
重要な事実
- 動脈の病気は、初期にはほとんど症状がありません。
- スクリーニング検査は、超音波やCTなど体に負担の少ない検査が中心です。
- 異常が見つかっても、多くの場合は生活改善や薬で対応できます。
動脈硬化は加齢とともに誰にでも起こる変化ですが、その進行の速さには個人差があります。喫煙や生活習慣病がある人は、より注意が必要です。
特に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙習慣がある方、近親者に心筋梗塞や脳卒中を起こした方がいる場合には、スクリーニングがすすめられることがあります。
症状
- 突然の激しい胸痛や背中の痛みがある場合 – すぐに119番へ電話してください。
- 片側の手足に力が入らない、しびれる場合 – すぐに119番へ電話してください。
- 突然、ろれつが回らない、言葉がでない場合 – すぐに119番へ電話してください。
- 突然、視力の低下や物が二重に見える場合 – すぐに119番へ電話してください。
- ⚠胸を締め付けられるような痛みや圧迫感を短時間繰り返す場合 – 当日中に医療機関へ電話しましょう。
- ⚠歩くと足が痛くて、休みながらしか歩けない状態が続く場合 – 早めに循環器内科を受診しましょう。
- ⚠めまいや立ちくらみが続き、生活に支障がある場合 – 当日中に医療機関へ相談しましょう。
一般的な症状
- 動脈の病気は、初期にはほとんど症状がありません。
- 脚の動脈が狭くなると、歩くとふくらはぎが痛み、休むと楽になることがあります。
- 首の動脈が狭くなると、めまいや一時的な視界の異常があらわれることがあります。
原因
主な原因
- 動脈硬化(血管の内壁にコレステロールなどがたまり、血管がかたくなったり狭くなったりする状態)が最も大きな原因です。
- 血管壁の炎症や、生まれつき血管の壁が弱い病気も、動脈の異常につながることがあります。
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが多い)
- 肥満・メタボリックシンドローム
- 運動不足
- 家族歴(近親者に心筋梗塞・脳卒中・大動脈瘤の人がいる)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状に当てはまる場合は、迷わず119番へ電話してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血圧・血糖・コレステロールの数値を指摘された方
- 喫煙歴や家族歴があり、まだ一度も動脈の検査を受けたことがない方
- 足の痛みやしびれ、冷感が気になる方
診断
医師が問診で体調や生活習慣、家族歴を確認し、聴診器で血管の音を聞いたり、血圧を測定したりします。その結果に応じて、以下のような検査を組み合わせて行います。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(両腕・足首の血圧を比較する検査)
- 血液検査(血糖値・脂質・腎機能など)
- 超音波(エコー)検査(首・おなか・足の動脈を画像で確認)
- CT検査(動脈の石灰化や動脈瘤の有無を詳しく調べる)
診察で予想されること
検査は外来で受けられるものがほとんどで、入院は基本的に必要ありません。検査着に着替えることもありますが、時間は30分から1時間程度です。結果説明は当日か、後日改めて行われるかは医療機関によって異なります。
治療
スクリーニングで異常が見つかっても、重症度は人それぞれです。医師が検査結果と生活習慣を総合して、生活改善・薬・手術などの選択肢を説明します。まずは医師の話をよく聞き、自分の状態を正しく理解することが出発点です。
自宅でのセルフケア
- 禁煙は最も効果の高い対策の一つです。禁煙外来の利用も検討しましょう。
- 処方された薬は、医師の指示どおりに飲み続けましょう。
- 毎日の体重・血圧を記録し、変化を医療者と共有しましょう。
- 無理のない範囲で、ウォーキングなどの有酸素運動を行いましょう。
医療治療
治療薬は、血圧を下げる薬、血糖を下げる薬、コレステロールを下げる薬、血液を固まりにくくする薬など、目的に応じて医師が選びます。薬の種類や量は患者さんの状態に合わせて調整されるため、自己判断でやめたり、市販薬と併用したりする前に、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
首の動脈(頸動脈)や脚の動脈が強く狭くなっている場合や、腹部の大動脈瘤が大きくなっている場合には、血管を広げるカテーテル治療や、血管の詰まった部分を取り除く手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
動脈の病気は、一度診断されても、毎日の生活を工夫することで進行をゆるやかにできます。血圧や体重を測り、服薬を続けること。それがひいては、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を防ぐことにつながります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に血圧と体重を測る
- 禁煙を続ける、飲酒はほどほどにする
- 睡眠時間を十分に確保する
- 趣味や人との交流を通して、ストレスをためない
食事と運動
食生活では、塩分を控えめにし、野菜・果物・魚を積極的にとりましょう。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』では、食塩は1日6g未満が目標とされています。運動は、医師の許可があれば、1日30分程度の速歩などの有酸素運動を週の半分以上の日に行うことがすすめられます。最初は10分から始め、少しずつ続けていきましょう。
精神的健康と心の健康
病気のことを考えると不安になるのは自然なことです。一人で抱え込むと、気分の落ち込みが強くなることがあります。家族や友人、かかりつけ医、看護師などに気持ちを話しましょう。それでもつらい場合は、心療内科やカウンセリングの利用もひとつの方法です。
予防
動脈硬化の進行は、禁煙・適切な血圧・血糖・コレステロール管理・バランスのよい食事・運動によって、遅らせたり、防いだりできることが分かっています。健康診断を定期的に受けて、自分の数値を知ることから始めましょう。
検診プログラム
動脈のスクリーニング検査は、危険因子が多い人では定期的に受けることがすすめられます。どのくらいの頻度で受けるとよいかは、年齢や生活習慣、家族歴に応じて異なるため、循環器内科で相談してください。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(心臓の血管が完全に詰まること)
- 脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりすること)
- 大動脈瘤破裂(おなかの中の大動脈が破れて大量出血を起こすこと)
- 末梢動脈疾患の進行による足の潰瘍や壊疽(組織が壊死すること)
長期的な見通し
早期に見つかれば、治療を続けることで大きく進行を抑えられ、健康な毎日を維持できる可能性が高いです。あきらめずに、医師とともに治療を続けていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。