下痢の検査と診断
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下痢とは、水分の多い便が1日に3回以上出る状態を指します。急性の下痢は数日でよくなることが多く、慢性の下痢は数週間以上続きます。この記事では、下痢の原因を調べるための検査や、どのようなときに医療機関を受診すべきかについて説明します。
重要な事実
- 下痢の多くはウイルスや細菌の感染によるもので、水分をしっかりとれば自然によくなります。
- 血便や高熱、激しい腹痛がある場合、重度の脱水が疑われる場合はすぐに救急車を呼んでください。
- 下痢が2週間以上続く場合は、慢性下痢として検査が必要です。
- 自己判断の下痢止めは感染症を悪化させることがあります。医師に相談してください。
下痢はとても一般的な症状で、世界中の人が年に何度も経験します。日本でも、感染性胃腸炎による下痢は夏と冬に多く見られます。
子どもから高齢者まで、どの年齢層でも起こります。特に、免疫力が弱い人・妊婦・高齢者・小さな子どもは重症化しやすいため注意が必要です。
症状
- 便に血が混じっている(真っ赤な血や黒い便)
- 激しい腹痛が続く
- 意識がもうろうとする
- 高熱(40度前後)が続く
- ぐったりして反応が弱い(特に子ども・高齢者)
- 水分を取れない、または飲んでも吐いてしまう
- ⚠下痢が2週間以上続く
- ⚠体重が大きく減った
- ⚠頻繁に嘔吐がある
- ⚠強いおなかの痛みを伴う
- ⚠妊娠中である
- ⚠持病(糖尿病、腎臓病、免疫力低下など)がある
- ⚠高齢者や乳幼児で脱水が心配される
一般的な症状
- 水のような便が1日に3回以上出る
- おなかがゴロゴロする・腹痛
- 吐き気や嘔吐
- 食欲がない
子供の症状
- ぐったりして元気がない
- 泣いても涙が出ない
- おしっこの量がいつもより少ない
- 唇や口の中が乾いている
- おむつが3時間以上濡れない
高齢者の症状
- 脱水症状が起きやすい(めまい・立ちくらみ・意識がもうろうとする)
- 尿の量が減る
- 皮膚の張りがなくなる
- 元気がなくなり、ぼんやりしたり、言葉がはっきりしない
原因
主な原因
- ウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
- 細菌感染(サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌など)
- 食中毒(生肉、生魚、加熱不十分な食品)
- 薬の副作用(抗生物質など)
- ストレスや不安
- 過敏性腸症候群などの機能性消化管障害
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 食べ物のアレルギーや不耐症(乳糖不耐症など)
リスク要因
- 生ものや加熱不十分な食品を食べる機会が多い
- 海外旅行中の食事(旅行者下痢症)
- 免疫力が低下している(高齢者、妊娠中、持病がある)
- 衛生環境が不十分な場所での調理
- ストレスが多い生活
- 抗生物質などの薬を使用している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便、黒い便
- 40度近い高熱
- 激しい腹痛や嘔吐
- 水分が取れない、脱水症状
- 意識がもうろうとする
- 乳幼児や高齢者でぐったりしている
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が2週間以上続く
- 排便の習慣が最近変わった
- よく下痢をする、慢性的に繰り返す
- 体重減少、疲労感がある
- 夜間に下痢で目が覚める
診断
問診では、下痢が始まった時期、便の様子、回数、血の有無、発熱の有無、最近食べたもの、海外渡航歴、服用中の薬などを聞かれます。身体診察では、おなかを押したり、脱水の状態を確認します。必要に応じて便検査や血液検査などが行われます。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(便潜血、細菌培養、ウイルス検査)
- 血液検査(炎症の程度、脱水状態の確認)
- 腹部エコー(超音波)検査
- 大腸内視鏡検査(大腸の内部を直接観察)
- 腹部CT検査
診察で予想されること
まず医師の診察があり、必要に応じて検査が行われます。便の検査は数日で結果が出ることが多く、結果によっては追加の検査が行われます。大腸内視鏡検査は前日の食事制限や下剤の準備が必要ですが、痛みを和らげる対応もあります。不安なことは事前に医師や看護師に相談してください。
治療
下痢の治療の基本は、水分と電解質(塩分とカリウム)の補給です。原因(感染症か、慢性の病気か)に応じて、食事療法、薬物療法、生活改善などを行います。自己判断で下痢止めを使うと感染症が長引くことがあるため、医師の指示に従いましょう。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる(スポーツドリンク、経口補水液、お茶、スープなど)
- おなかを冷やさないようにする
- 消化のよい食べ物を少しずつ食べる(おかゆ、うどん、バナナなど)
- 脂肪分や刺激物、カフェイン、アルコールは避ける
- 手洗いを徹底し、トイレの後や食事の前は必ず石けんで洗う
医療治療
治療は原因によって異なります。感染性の下痢には、必要に応じて抗菌薬(細菌をやっつける薬)が使われることがありますが、ウイルス性の下痢には効果がなく、水分補給と安静が中心となります。慢性的な下痢の場合は、原因となる病気(炎症性腸疾患や過敏性腸症候群など)に応じて、炎症を抑える薬や症状を和らげる薬などが処方されることがあります。下痢止めは医師の判断で適切な場合にのみ使用されます。どの治療も、必ず医師の処方と指示に従ってください。
手術が検討される場合
まれに、虫垂炎や腸閉塞、炎症性腸疾患の合併症などが原因で手術が必要になることがあります。通常の下痢では手術はほぼありません。
この病気と共に生きる
下痢のときは、無理をせず安静にして、体を冷やさないようにしましょう。トイレに行く回数が多いとお尻が痛くなるため、シャワーで優しく洗うか、濡れたティッシュで拭くとよいでしょう。下痢が長引く場合は、お尻を清潔に保ち、保湿クリームで保護すると痛みが軽減します。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをためない(趣味や軽い運動、深呼吸など)
- 手洗いうがいを習慣にする
- 排便のリズムを整える(毎日同じ時間にトイレに行くなど)
- アルコールやタバコは控える
食事と運動
下痢の回復期には、消化のよい食事を少しずつ食べましょう。おかゆ、白身魚、豆腐、りんごのすりおろしなどが向いています。一度にたくさん食べず、数回に分けて食べると負担が少ないです。下痢が治まったら、ゆっくりと散歩などの軽い運動から始めるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な下痢が続くと、外出が不安になったり、社会生活に支障が出たりして、ストレスやうつ状態になることがあります。また、ストレスが下痢の症状を悪化させることもあります。つらいときは医療機関に相談し、必要に応じてカウンセリングや認知行動療法などの支援も検討しましょう。
予防
下痢の多くは、手洗いや食品の十分な加熱などで予防できます。食中毒を防ぐために、生の肉や魚を扱った後は手を洗い、まな板や包丁は使い分けましょう。旅行中は生水や氷に注意し、加熱された食品を選ぶようにしましょう。
ワクチン
ロタウイルスによる下痢を予防するワクチンがあります。定期接種の対象となっている地域もあるため、かかりつけの小児科医または自治体に相談してください。
検診プログラム
特定の症状がなくても、便潜血検査や大腸内視鏡検査が大腸がん検診として行われます。40歳以上で検診を受けることが勧められています。下痢が続く場合も、検診の一環として便の検査を受けることがあります。
合併症
治療しない場合
- 脱水症(特に乳幼児・高齢者・妊婦)
- 電解質異常(血液中の塩分・カリウムのバランスが崩れる)
- 栄養不良(下痢が続くと栄養が吸収されにくい)
- 腎不全(重度の脱水による)
- 溶血性尿毒症症候群(特定の細菌感染による重い合併症)
- 慢性化(過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の悪化)
長期的な見通し
下痢のほとんどは1週間以内に自然に回復します。原因が感染症の場合も、適切な水分補給と安静で、多くの方は数日でよくなります。慢性的な下痢でも、原因を特定して適切な治療を続ければ、日常生活を送れることがほとんどです。気になる症状があるときは、早めに医療機関に相談しましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。