精巣(睾丸)の健康を守る — リスクを減らすための基礎知識
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「精巣がんのリスクを減らす」とは、精巣(睾丸)にできるがんにかかりにくくするための工夫や、がんができても早期にみつけて治しやすくするための行動を指します。精巣がんは若い男性に多いがんですが、早期発見で治る可能性が高いがんでもあります。自分の体の変化に気づくことが、リスクを減らす第一歩です。
重要な事実
- 精巣がんは男性のがんの中ではまれですが、20〜30代を中心に発生します。
- 早期に発見できれば、治療の成功率がとても高いがんです。
- 睾丸のセルフチェックや気になる症状の早期相談が、リスクを減らすために役立ちます。
精巣がんは、男性の全がんの約1%とされ、日本では年間に約2,000人が診断される比較的まれながんです。しかし、若い男性に起こりやすいがんとして知られています。
生まれつき睾丸が陰嚢に下りてこない「停留精巣」の経験がある方や、父親・兄弟に精巣がんの人がいる方、過去に精巣がんにかかったことがある方は、リスクがやや高くなります。また、白人男性に多いとされていますが、日本人でも発生します。
症状
- 突然、睾丸に激しい痛みが起こった
- 睾丸が急に腫れて、赤くなった
- 吐き気や嘔吐を伴う激烈な睾丸・下腹部の痛み
- 睾丸の位置が上方に引き上げられた感じがする
- ⚠睾丸にしこりを触れる
- ⚠睾丸の腫れや痛みが続く
- ⚠睾丸の重だるさや違和感が1週間以上続く
- ⚠発熱を伴う睾丸の腫れ
一般的な症状
- 睾丸のしこりや腫れ
- 睾丸の重だるさや違和感
- 片方の睾丸だけが大きくなる
- 睾丸の硬さや形の変化
- 陰嚢の中の鈍い痛み
- 胸の張りや乳首の痛み(まれな症状)
子供の症状
- 睾丸のしこりや腫れ
- 陰嚢の左右の大きさが違う
- 痛みがなくても、片方の睾丸が硬く触れる
高齢者の症状
- 睾丸のしこりや腫れ、重だるさ
- 腰やおなかの違和感、痛み
- 体重減少や疲れやすさ(進行した場合)
原因
主な原因
- 精巣がんの正確な原因はまだわかっていません。
- 精巣の中の胚細胞(精子のもとになる細胞)が何らかの原因でがん化することが関係していると考えられています。
- 停留精巣など、生まれつきの状態がリスクを高めることが知られています。
リスク要因
- 停留精巣(睾丸が陰嚢に下りてこない状態)
- 精巣がんの家族歴(父、兄弟)
- 自分自身が過去に精巣がんにかかったこと
- 精巣上皮内新生物(前がん状態)
- HIV感染
- 低体重で生まれたこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 睾丸にしこりを触れたとき
- 睾丸の腫れや痛みが急に現れたとき
- 睾丸の硬さや重さに変化を感じたとき
- 髙熱を伴う睾丸の腫れがあるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 睾丸の違和感や重だるさが続くとき
- 気になる変化があるが、痛みはないとき
- 健康診断で精巣について指摘されたとき
診断
泌尿器科で、視診と触診(見て触って確認する)から始めます。必要に応じて超音波(エコー)検査や血液検査を行い、精巣がんが強く疑われる場合には、手術で精巣を摘出して顕微鏡で調べる病理検査で確定診断します。
行われる可能性のある検査
- 超音波(エコー)検査:睾丸の中のしこりや血流を確認します。
- 血液検査:腫瘍マーカー(AFP、hCGなど)の値を調べます。
- CT検査:リンパ節やほかの臓器への広がり(転移)を確認します。
診察で予想されること
診断は外来での検査が中心で、痛みを伴う検査はほとんどありません。結果が出るまでには数日かかることがあります。医師から結果と治療方針について説明があるので、不安なことは遠慮なく質問しましょう。
治療
治療は、がんの種類や進行度によって異なります。多くの場合、最初にがんのある精巣を摘出する手術を行い、その後の経過観察や追加の治療(抗がん剤治療や放射線治療など)を、再発のリスクに応じて行います。精巣がんは抗がん剤がよく効くため、進行していても治癒が期待できるがんです。
自宅でのセルフケア
- 手術後は、医師の指示に従って創部を清潔に保ち、無理をしない。
- 自己判断で市販薬を使わず、処方された薬や指示に従う。
- 体調に合わせて休息を取り、少しずつ日常活動を再開する。
- お風呂や運動などは、医師の許可がでるまで控える。
医療治療
進行度に応じて、抗がん剤治療(化学療法)や放射線治療が行われることがあります。治療の内容や期間は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて専門医が計画します。副作用や体への影響についても、事前にしっかり説明があります。
手術が検討される場合
精巣がんでは、診断を確定するため、また治療の第一選択として、がんのある精巣を摘出する手術(根治的鼠径部精巣摘除術)が行われます。手術は鼠径部(脚の付け根)に小さな切開をおいて行い、通常は入院が必要です。残った精子をつくる力や男性ホルモンは、多くの場合、もう一方の健康な精巣が補います。
この病気と共に生きる
治療後は、多くの人が通常の生活に戻ることができます。人工精巣(プロテーゼ)を入れる選択肢もありますが、必須ではありません。再発を早期にみつけるために、定期的な通院と画像検査や血液検査を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 喫煙をしている場合は、禁煙を検討しましょう。
- 飲酒は適量にし、飲みすぎを避けましょう。
- 十分な睡眠と、ストレスをためない生活を心がけましょう。
- 気になる症状があれば、次の受診まで記録しておきましょう。
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。運動は、傷が癒えてから医師の許可を得て、ウォーキングなど軽いものから始めるのが安心です。無理のない範囲で体力の回復に努めましょう。
精神的健康と心の健康
診断や治療は、性機能や生殖機能への不安、再発への心配など、心に大きな影響を与えることがあります。感情を抑え込まず、パートナーや家族、医療者に気持ちを伝えましょう。つらさが続く場合は、心の専門家(精神科医や心理士)に相談することもできます。
予防
精巣がんを完全に予防する方法はまだわかっていません。ただし、停留精巣の方は、乳幼児期に手術(睾丸固定術)を行うことで、リスクを減らせる可能性があります。また、自分の体の正常な状態を知り、変化に早く気づくことが早期発見につながります。
ワクチン
現在、精巣がんを予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な健康診断で精巣がんの検診が行われることはありませんが、気になる症状があれば泌尿器科を受診することが早期発見の近道です。自己チェックの習慣も役立ちます。
合併症
治療しない場合
- がんが進行すると、周りのリンパ節や肺、肝臓などに転移する可能性があります。
- 転移が進むと、腹痛、腰痛、せき、血痰などの症状が現れることがあります。
- 睾丸の激しい痛みを伴う精巣捻転(精索捻転)を放置すると、睾丸を失うリスクがあります。
長期的な見通し
精巣がんは、早期に発見できればほとんどの場合治る可能性が高いがんです。進行していても、抗がん剤治療や放射線治療などの進歩により、多くの方が治癒を目指せます。治療後も定期検診を続けることで、再発があっても早期に対処できます。希望を持って治療に取り組むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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