下肢静脈瘤と旅行:移動中の足の健康を守るために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下肢静脈瘤とは、足の皮膚の下にある静脈がふくらみ、血管がコブのように浮き出て見える状態です。静脈の中には、血液が逆流しないようにする小さな弁があります。この弁がうまく働かないと、血液が足にたまりやすくなり、血管がふくらみます。多くは命にかかわる病気ではありませんが、放っておくと痛みやむくみ、皮膚の変化などを起こすことがあります。
重要な事実
- 下肢静脈瘤は、足の血管がコブのように浮き出る状態で、多くの場合、命には直接危険がありません。
- 旅行中に長時間同じ姿勢で座ったままだと、足の血流が悪くなり、症状が悪化しやすくなります。
- 移動中は、こまめな水分補給、足の運動、弾性ストッキングの活用などで症状をやわらげられます。
とてもよく見られる状態です。日本でも多くの人が受診する一般的な血管のトラブルで、特に立ち仕事や座り仕事の多い人、妊娠中の女性、高齢者に増える傾向があります。
女性に多く、妊娠中や出産後、長時間立って働く人、座りっぱなしのデスクワークの人、家族に静脈瘤がいる人、加齢に伴ってリスクが高まる人に多く見られます。
症状
- 突然の胸の痛みや圧迫感がある
- 息苦しさや呼吸が苦しくなるときがある
- 血の混じったせきが出る
- 片足全体が急に腫れて、強い痛みがある
- ⚠静脈瘤から出血が止まらない
- ⚠静脈瘤の部分が赤く腫れて熱を持ち、触ると強い痛みがある
- ⚠足の皮膚が黒ずんだり、ただれや潰瘍ができたりしている
- ⚠むくみやだるさが強くなり、歩くのがつらい
一般的な症状
- 足の血管が青く、こぶのように浮き出て見える
- 足がだるい、重い、疲れやすい
- ふくらはぎや足首がむくむ
- 長時間立ったあとに痛みやむずむずした感じがある
- 夜中に足がつる(こむらがえり)ことがある
子供の症状
- 小児の下肢静脈瘤はまれです。血管が目立つ場合でも、痛みを伴わないことが多いですが、自己判断せず、小児科や血管の専門医に相談してください。
高齢者の症状
- 高齢者では、加齢とともに皮膚が薄くなり、血管が目立ちやすくなります。痛みやむくみに加え、皮膚のかゆみや黒ずみが出ることもあるため、早めに相談することがすすめられます。
原因
主な原因
- 静脈の中の弁がうまく働かず、血液が逆流して足にたまること
- 長時間の立ち仕事や座り仕事で、血液が足にたまりやすいこと
- 妊娠や肥満でおなかに圧力がかかり、足の血液の流れが妨げられること
リスク要因
- 女性であること
- 妊娠・出産
- 家族に下肢静脈瘤の人がいる
- 長時間の立ち仕事・座り仕事
- 飛行機や長距離バスなど、旅行中に長時間座ったままになること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 静脈瘤から出血が止まらない場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 静脈瘤の部分が赤く腫れて熱を持ち、強い痛みがある場合は、同じ日または翌日には受診してください。
- 足の皮膚が黒ずみ、ただれや潰瘍がある場合は、早めの受診が必要です。
- 突然の胸の痛み、息苦しさ、血の混じったせき、片脚全体の急な腫れがある場合は、旅行中でもためらわずに119番に電話してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 足の血管が目立つが、痛みは軽い場合
- 足のだるさやむくみが続く場合
- 長距離の旅行や出張を控えていて、予防策を知りたい場合
- 妊娠中で足の血管やむくみが気になる場合
診断
医療機関では、まず足を見せていただき、血管の状態や症状を確認します。必要に応じて、超音波(エコー)検査で血液の流れや逆流の有無、血栓の有無を調べます。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診(見た目と触った感じの確認)
- 超音波(エコー)検査(血管の中の血液の流れを確認する検査)
- 必要に応じて、血液検査や血栓の有無を調べる検査
診察で予想されること
受診のときは、ふくらはぎまで見せやすい服装で行くと安心です。検査は痛みを伴わないことがほとんどで、日帰りで診断や説明が受けられます。旅行の予定があれば、その時期も伝えましょう。
治療
治療は、症状の程度や生活の状況によって選びます。まずは「足に血液をためない」ための生活習慣を整えることが基本です。そのうえで、気になる症状が続く場合は、医療機関で専門的な治療について相談します。
自宅でのセルフケア
- 長距離の移動中は、1時間に一度は立ち歩くか、足を動かす
- 座っているときは足を組みすぎず、ふくらはぎを軽く動かして血流を促す
- 医師や薬剤師に相談して、弾性ストッキングを正しく使う
- 水分をこまめにとり、アルコールをとりすぎない
- 就寝時は足を少し高くして休む
医療治療
医療機関では、圧迫療法(弾性ストッキング)のほか、細い管を使った血管内治療、レーザーや高周波による治療、硬化療法、手術などが症状に応じて検討されます。どの治療法が合うかは、血管の太さや場所、症状、年齢、生活状況によって異なるため、医師の説明を受け、納得したうえで選ぶことが大切です。
手術が検討される場合
日常生活に支障があるほど痛みが強い場合、皮膚の黒ずみや潰瘍ができている場合、また見た目によるつらさが大きい場合には、医師と相談のうえ、手術や血管内治療が検討されます。
この病気と共に生きる
下肢静脈瘤を抱えていても、旅行や日常生活は十分楽しめます。大切なのは「同じ姿勢を続けない」ことと「こまめに足を動かす」ことです。旅行中も、座りっぱなしにならないように工夫しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 歩くことやふくらはぎを動かすことを日課にする
- 立ち仕事や座り仕事の合間に、つま先立ちやかかとの上げ下げをする
- 足を締めつけない、ゆったりした服や靴を選ぶ
- 弾性ストッキングを医師や薬剤師のアドバイスで使う
- 禁煙する(喫煙は血管に負担をかけます)
食事と運動
ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、歩くことで血液を心臓へ押し戻すポンプの働きを助けます。ウォーキングや水中歩行など、無理のない運動を習慣にしましょう。食事は塩分をとりすぎず、野菜や果物、良質なたんぱく質をバランスよくとることが大切です。食物繊維を十分にとって便秘を防ぐことも、おなかを圧迫しないために役立ちます。
精神的健康と心の健康
見た目が気になって人前で足を出しにくい、痛みやだるさが続いて気分が沈む、といったつらさを感じることは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や看護師、薬剤師、家族に気持ちを話してみてください。旅行の不安も、事前に対策を知ることで軽くなります。
予防
完全に防ぐことは難しい場合もありますが、日ごろの生活習慣の見直しで症状の悪化や再発を減らすことができます。特に移動中の予防が大切で、厚生労働省も「こまめな水分補給」「長時間同じ姿勢を避ける」「ゆったりした服装を心がける」ことをすすめています。
ワクチン
下肢静脈瘤そのものを直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
特別な健康診断検査はありませんが、妊娠中や家族歴がある人は、気になる症状がなくても一度医療機関で相談すると安心です。旅行前に自分のリスクを知りたい場合も、受診のよいきっかけになります。
合併症
治療しない場合
- 足の血流が滞り、血栓(血のかたまり)ができることがある
- できた血栓が肺に飛ぶと、胸の痛みや息苦しさを引き起こすことがある(まれですが緊急対応が必要です)
- 皮膚のかゆみ、黒ずみ、湿疹が出ることがある
- 皮膚がただれて潰瘍になることがある
- 静脈瘤が破れて出血することがある(まれです)
長期的な見通し
下肢静脈瘤は、適切な対策を続ければ、多くの場合うまくコントロールできます。旅行中も足を動かす習慣を取り入れることで、怖がりすぎずにすごせます。気になる症状の変化があれば、早めに医療機関に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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