入れ歯(義歯)と上手につきあうために
概要
入れ歯(義歯)は、病気やけが、加齢などで失った歯の代わりに口の中に入れて使う、取り外しのできる人工の歯です。失った歯の本数や、残っている歯の状態に合わせて、いくつかの種類があります。入れ歯は見た目を整えるだけでなく、食べる・話す・笑うといった毎日の暮らしを支える大切な役割があります。
重要な事実
- 入れ歯は取り外して掃除できる人工の歯で、一部の歯を補う「部分入れ歯」と、全部の歯を補う「全部入れ歯」があります。
- 作って終わりではなく、口の中の変化に合わせて定期的な調整を受けることが大切です。
- 合わない入れ歯を我慢して使うと、口の中を傷つけたり、食べる量が減ったりすることがあります。
とてもよくあることです。年を重ねるにつれて歯を失う人は増え、入れ歯を使っている人も少なくありません。恥ずかしいことではありません。
主に中高年から高齢の方ですが、若い人でも、むし歯や歯周病、けが、生まれつき歯が足りないなどで入れ歯が必要になることがあります。
症状
- 入れ歯やその一部を飲み込んでしまい、息が苦しい・声が出ない・顔色が悪い(気道がつまった可能性)
- 口の中から血が止まらず、大量に出血している
- 顔や首が急に腫れて、飲み込みにくい、息苦しい、発熱がある(口の中の感染が広がった可能性)
- ⚠入れ歯が割れた・欠けて、尖った部分で口の中を傷つけている
- ⚠痛みが強く、食事がとれない
- ⚠入れ歯が合わず、口の中の傷や口内炎が治らない
- ⚠入れ歯が外れず、自分では取り出せない
一般的な症状
- 入れ歯がグラグラして外れやすい
- かむと痛い、歯ぐきが赤くなる・傷つく
- 食べ物がかみにくい、よくかめない
- 話しにくい、発音しにくい
- 入れ歯の下に食べ物がはさまる
- 口臭が気になる
- 見た目が気になって笑いにくい
- 入れ歯を入れると吐き気がする(おえっとなる)
子供の症状
- 子どもではまれですが、生まれつき歯が足りない場合や、けが・むし歯で歯を失った場合に、子ども用の入れ歯を作ることがあります。成長に合わせて作り替えが必要になります。
高齢者の症状
- 歯ぐきやあごの骨は年とともにやせていくため、長く使った入れ歯が合わなくなりやすいです。手が動かしにくくなって掃除が難しくなったり、歯科医院へ通いにくくなったりすることもあります。
原因
主な原因
- むし歯(歯が溶ける病気)で歯を失う
- 歯周病(歯ぐきと、歯を支える骨の病気)が進んで歯が抜ける
- けがや事故で歯を失う
- 加齢に伴う口の中の変化
- 生まれつき歯の数が少ない
リスク要因
- 歯みがきの習慣が十分でない
- 定期的な歯科検診を受けていない
- たばこを吸う
- 糖尿病などの全身の病気がある
- 歯ぎしり・くいしばりの習慣がある
- 栄養が偏っている、やせている
- 入れ歯の手入れや調整を長い間していない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 入れ歯が割れた、こわれた
- 口の中の傷や痛みが強く、食べられない
- 入れ歯が外れない
- 口の中の腫れや出血が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 新しい入れ歯に慣れず、違和感や痛みが続くとき
- かみにくい、話しにくいと感じるとき
- 入れ歯がゆるくなってきた、食べ物がはさまるとき
- 入れ歯の掃除のしかたを知りたいとき
- しばらく歯科医院に行っていないとき
診断
歯科医が口の中を診て、残っている歯や歯ぐき、あごの状態を確認します。そして型をとり、かみ合わせやあごの動きを見ながら、あなたに合った入れ歯を作っていきます。必要に応じてレントゲン写真を撮ることもあります。
行われる可能性のある検査
- 口の中の診察
- 歯型の型取り
- かみ合わせの確認
- あごの関節や動きの確認
- レントゲン検査(歯やあごの骨の状態を見る)
- 入れ歯ができたあとの試し入れ(装着テスト)
診察で予想されること
何回か通院して、型取り、試し入れ、調整を行います。最初は話しにくかったり、よだれが多くなったりしますが、少しずつ慣れていきます。
治療
入れ歯の治療は、失った歯の代わりを作って終わりではなく、口の中に合うように調整を重ねていくことが中心です。残っている歯の治療や、入れ歯の種類の選択も含めて、歯科医と相談しながら進めます。
自宅でのセルフケア
- 毎日、外して洗う。入れ歯用のブラシと流水で食べかすを落とす
- 入れ歯洗浄剤を使うときは、説明書のとおりに使う
- 寝るときに外すかどうかは、歯科医の指示に従う
- 落として割らないように、水を張った洗面器の上で洗う
- 熱いお湯につけない(変形の原因になります)
- 合わないと感じても、自分で削ったり曲げたりせず、歯科医に相談する
- 口の中に残っている歯や歯ぐきも、やさしくみがく
医療治療
歯科医が入れ歯を作製し、痛みのある部分を調整します。残っている歯のむし歯や歯周病の治療、入れ歯を支える歯の保護、必要に応じて入れ歯の作り直しを行うこともあります。治療の方針や費用、保険が使えるかどうかは、かかりつけの歯科医院で説明を受けましょう。
手術が検討される場合
入れ歯だけでは十分にかめない場合や、残っている歯の状態によっては、歯を抜く処置や、あごの骨に人工の歯の根を入れる手術(インプラント)などが選択肢になることがあります。手術が向いているかどうかは、全身の健康状態も含めて歯科医とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
入れ歯は、少しずつ慣れていくものです。最初は短い時間から使い、話す練習や、やわらかいものからかむ練習をしてみましょう。痛みや違和感があれば早めに歯科医に伝えることが、快適に使い続けるコツです。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の歯みがきと入れ歯の掃除を習慣にする
- 定期的に歯科医院でチェックを受ける
- たばこを吸う人は禁煙を考える
- バランスのよい食事で、歯ぐきやあごの健康を保つ
- 口の乾燥が気になるときは、水分をとったり、かかりつけの歯科医に相談する
食事と運動
かみにくいときは、小さく切る、やわらかく煮るなどの調理の工夫で食べやすくなります。たんぱく質や野菜もとれるように、無理のない範囲で工夫しましょう。食事の量が減って体重が落ちてきたら、早めに相談してください。口の周りの筋肉を動かす簡単な体操(口を大きく開ける、舌を動かすなど)も、食べる・話す機能を保つのに役立つことがあります。
精神的健康と心の健康
入れ歯になると、見た目や話し方、食事を人と一緒に楽しめるかなど、気持ちの面で不安を感じる人が少なくありません。恥ずかしいと感じるのは自然なことです。話しにくさや不安が続くときは、一人で抱えず、歯科医やかかりつけ医、家族に話してみてください。気持ちがつらい状態が続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談してください。
予防
入れ歯が必要になる大きな原因は、むし歯と歯周病です。毎日の歯みがきと定期的な歯科検診で、歯を失うリスクを減らせます。すでに入れ歯を使っている場合は、定期的な調整と手入れで、快適に使い続けられるよう心がけましょう。
ワクチン
入れ歯はワクチンで予防できるものではありません。
検診プログラム
かかりつけの歯科医院で、定期的に歯と歯ぐきのチェックを受けることが大切です。入れ歯を使っている人も、口の中全体の定期的なチェックを受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みを我慢して使うことで、歯ぐきや口の中が傷つき、口内炎をくり返す
- よくかめないことで食べられるものが偏り、栄養不足や体重減少につながる
- 残っている歯に負担がかかり、さらに歯を失うことがある
- 話しにくさから、人との会話を避けるようになることがある
- 合わない入れ歯を放置すると、あごの関節の痛みや頭痛などが出ることがある
長期的な見通し
入れ歯は、適切に作って調整を続ければ、食事も会話も楽しめるものです。合わないと感じたら早めに歯科医に相談することが、快適な毎日につながります。心配なことは、かかりつけの歯科医に気軽に聞いてみてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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