歯の定期健診(歯科健診)を受けよう
概要
歯科健診は、歯や歯ぐき、口の中全体の健康をチェックする検査です。痛みや不自由を感じていなくても、むし歯(歯が溶ける病気)や歯周病(歯ぐきと、歯を支える骨の病気)の初期のサインは見つかります。歯科医師や歯科衛生士が口の中を観察し、必要に応じてレントゲン写真を撮ったり、歯みがきの方法を教えてくれたりします。
重要な事実
- 歯科健診は「治療」ではなく「確認と予防」の場です。痛みがなくても受けられます。
- むし歯も歯周病も、初期はほとんど自覚症状がありません。だから定期的なチェックが役立ちます。
- 見つかった問題は、早い段階ほど簡単な処置で済むことが多いです。
- 健診の間隔は一般的に半年から1年に1回が目安ですが、口の状態によって歯科医師と相談して決めます。
はい、とても身近なものです。日本では学校の歯科健診、1歳6か月児・3歳児健診、職場の健診、自治体が行う歯科健診など、いろいろな場面で行われています。厚生労働省も、かかりつけの歯科医院での定期的な受診を勧めています。
子どもから高齢者まで、すべての人に関係があります。歯がある人も、入れ歯を使っている人も、口の中の健康を保つための健診は役立ちます。
症状
- 顔や口の周りの腫れが急に広がり、呼吸が苦しい、息がしにくい
- 口の中や顎からの出血が続き、止まらない
- 顎や顔を強くぶつけたけがで、意識がもうろうとする、ぐったりしている
- 高熱と顔の腫れが同時にあり、ぐったりしている
- ⚠歯が抜けた、折れた(抜けた歯は牛乳や生理食塩水につけて、できるだけ早く受診してください)
- ⚠激しい歯痛で眠れない、仕事や食事ができない
- ⚠歯ぐきに膿(うみ)がたまった感じがあり、腫れて痛い
- ⚠抜歯や治療のあと、出血が長く続く
- ⚠入れ歯が痛くて食べられない、口内炎が2週間以上治らない
一般的な症状
- とくに症状がない(健診は症状がなくても受けるもの)
- 歯の表面がざらつく、ものがはさまる
- 歯みがきのときに歯ぐきから少し血が出る
- 冷たいものがしみる、甘いものがしみる
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが赤く腫れる、下がってきた気がする
- 歯が浮いた感じがする、かみ合わせが変わった気がする
子供の症状
- 乳歯や生え変わったばかりの歯のむし歯
- 奥歯のかみ合わせ、歯並びの相談
- フッ素塗布(歯を強くする成分を塗る処置)や歯みがきの指導
- おやつの回数や甘い飲み物の習慣についての相談
- 指しゃぶり、口呼吸などのくせの相談
高齢者の症状
- 歯ぐきが下がり、歯の根元にできたむし歯
- 入れ歯の具合(ゆるい、痛い、うまくかめない)
- 口の渇き、飲み込みにくさ
- 歯を失った後の噛む力の低下と、栄養や体力への影響
- 服薬や持病が口の中に影響していないかの確認
原因
主な原因
- 口の中の細菌と、糖分をとる回数が重なって、歯の表面が溶ける(むし歯)
- 歯と歯ぐきの境目に歯石や汚れがたまり、歯ぐきに炎症が起きる(歯周病)
- 歯みがきの仕方にむらがあり、磨き残しが続く
- かみ合わせや歯ぎしり、食いしばりの負担
- 加齢や服薬による口の渇き(唾液が減ると、汚れが落ちにくくなります)
リスク要因
- 甘い飲み物や間食を、回数を決めずに何度もとる
- 歯みがきが1日1回以下、または磨き残しが多い
- 糖尿病などの持病がある
- 妊娠中(歯ぐきが腫れやすい時期があります)
- 強いストレス、歯ぎしり、食いしばりのくせ
- 過去にむし歯や歯周病の治療を受けたことがある
- しばらく歯科医院に行っていない期間が長い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 歯が抜けた、大きく欠けた
- 強い痛みで眠れない、食事がとれない
- 顔やあごが腫れて、熱がある
- 歯ぐきからの出血が続く
- 口の中の傷やできものが2週間以上治らない
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みはないが、半年から1年以上健診を受けていない
- 歯みがきで血が出る、口臭が気になる
- 歯がしみる、ものがはさまる
- 入れ歯がゆるい、痛い
- 妊娠を考えている、または妊娠中
- 子どもの歯が生え始めた、歯並びが気になる
診断
まず、ふだんの歯みがきや食事、気になっていることを聞かれます(問診)。そのあと、口の中を明るい光と小さな鏡で観察し、歯の一本一本、歯ぐきの状態を確認します。必要に応じてレントゲン写真を撮り、目では見えない部分のむし歯や骨の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- 視診(口の中を直接観察する)
- 探針(細い器具)で歯の表面の状態を確認する
- デンタルX線写真(レントゲン)
- 歯周ポケットの深さを測る検査(歯と歯ぐきの間の溝を測ります)
- かみ合わせ、入れ歯の具合の確認
- 必要に応じて唾液の検査や、より詳しい画像検査
診察で予想されること
健診は通常15〜30分ほどです。ほとんど痛みはありません。歯石を取る処置のあとに、少ししみたり歯ぐきから血が出たりすることがありますが、ふつう数日で落ち着きます。気になることは、その場で遠慮なく聞いてください。
治療
健診で見つかった内容によって、進め方が変わります。汚れや歯石を取るクリーニング、歯みがきの指導、むし歯の治療、歯ぐきの治療などです。早期に見つかれば、通院回数も少なく、体への負担も軽く済むことが多いです。問題がない場合は、次回の健診の時期を決めて終わります。
自宅でのセルフケア
- 1日2回以上、ていねいに歯をみがく(特に寝る前)
- フッ素入りの歯みがき粉を使う
- 歯間ブラシやフロスで、歯と歯の間を清潔にする
- 間食の回数を減らし、だらだら食べを避ける
- 甘い飲み物を毎日何度も飲まない
- たばこを吸う人は、禁煙を考えてみる
- かかりつけの歯科医院を決めて、定期的に通う
医療治療
歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニング(歯石や汚れを取る処置)、フッ素を塗る処置、むし歯を削って詰める処置、神経の近くまで進んだむし歯の治療、歯ぐきの炎症を抑える治療などが行われます。必要に応じて薬が使われることもありますが、薬の種類や使い方は、必ず歯科医師・薬剤師の指示に従ってください。自分で判断して市販薬を長く使い続けるのは避け、気になる点は相談しましょう。
手術が検討される場合
親知らずが横向きに生えている場合、歯ぐきの奥深くまで進んだ歯周病、根の治療では対応が難しい場合などに、抜歯や小さな外科処置が必要になることがあります。必要かどうかは、画像検査の結果と、ふだんの生活への影響をふまえて相談して決めます。
この病気と共に生きる
口の健康は、毎日の小さな習慣の積み重ねで変わります。歯みがきを「ながら作業」にせず、鏡を見て1分でもていねいに行うこと。そして、次の健診の予定をカレンダーに入れておくことが、いちばん現実的な続け方です。治療中は、痛みや違和感があれば無理をせず、早めに連絡してください。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の歯みがきを日課にする(時間を決めると続きやすい)
- 歯間ブラシやフロスを、歯みがきのあとに1回
- 定期的な健診の予定を先に決めておく
- よく噛んで食べることを意識する
- 睡眠とストレスケアを大切にする(歯ぎしりや食いしばりはストレスと関係します)
- 喫煙を控える
食事と運動
食事は、回数と内容の両方が大切です。だらだら食べをやめ、食事の時間を決めると、口の中が中性に戻る時間が生まれます。飲み物は水やお茶を選ぶと安心です。よく噛むことは、唾液が出て口の中をきれいにし、食べすぎを防ぐのにも役立ちます。全身の健康のためにも、無理のない範囲の運動と十分な睡眠を心がけましょう。歯ぐきは体の一部です。体調が整うと、口の中の状態も安定しやすくなります。
精神的健康と心の健康
歯の痛みや口臭、見た目のことが気になると、人前で笑うのがつらくなったり、食事を楽しめなくなったりします。歯科医院が怖い、過去に痛い思いをした、という気持ちを抱えている人も少なくありません。そうした気持ちは自然なもので、伝えれば配慮してもらえます。眠れないほどの痛みや不安が続くときは、ひとりで抱えず、医療機関や地域の相談窓口に相談してください。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたいと考えたときは、すぐに119番や、お住まいの地域の救急・相談窓口を頼ってください。
予防
はい、多くは防げます。毎日のていねいな歯みがき、間食の回数を減らすこと、フッ素を活用すること、そして定期的な健診の4つが中心です。すでに治療した歯も、再発を防ぐために健診を続けることが大切です。
検診プログラム
日本では、自治体による乳幼児の歯科健診、学校での歯科健診、職場の健康診断に含まれる歯科健診、後期高齢者を対象にした歯科健診などが行われています。対象や時期はお住まいの地域によって異なるため、自治体の案内を確認してください。それとは別に、かかりつけの歯科医院で定期的に健診を受けることも大切です。
合併症
治療しない場合
- むし歯が進み、歯の神経を取る治療が必要になる、または歯を失う
- 歯周病が進み、歯を支える骨が減って歯がぐらつく
- 噛む力が落ちて、食べられるものが減り、栄養が偏る
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきの腫れや膿が、全身の体調に影響することがある
- 糖尿病などの持病と、口の状態が互いに影響し合うことが知られている
長期的な見通し
口の中の病気は、早期に見つければほとんどが防げる、または治療できます。年齢にかかわらず、今日から始められます。歯を失った場合も、入れ歯やかぶせもので噛む力を取り戻す方法があります。まずは一度、健診の予約を取るところから。それが十分な第一歩になります。
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最終更新: 2026年11月3日
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