生命維持治療(延命治療)と向き合うために
概要
生命維持治療とは、重い病気やけがで、呼吸や心臓の働き、栄養や水分を自分だけでは保てないときに、医療の力で体の働きを支える治療のことです。息を助ける器械、心臓の働きを助ける処置、腎臓の働きを補う治療、栄養や水分を補う方法などが含まれます。治療の目的は、回復を助けることもあれば、苦しさを和らげながらその人らしく過ごせるようにすることもあります。
重要な事実
- 生命維持治療は、呼吸・循環・栄養・水分などを医療の力で支える治療です。
- 始めるかどうか、続けるかどうかは、病状と本人の希望を中心に話し合います。
- 元気なうちから家族やかかりつけ医と話しておくことが、いざという時の備えになります。
重い病気やけがの治療中に、多くの人が関わる可能性があるテーマです。特に高齢者では、身近に考える機会が多くなります。
症状
- 呼びかけに反応がない、呼吸がない、脈が触れない
- 顔色が青白い、唇が紫色になっている
- 突然の激しい息苦しさ、意識障害、大量の出血
- ⚠息苦しさが急に悪化している
- ⚠意識がもうろうとする、会話がかみ合わない
- ⚠水も飲めない、尿がほとんど出ない
- ⚠高熱とぐったりした様子がある
一般的な症状
- 生命維持治療そのものに「症状」はありません。対象となるのは、重い病気やけがで体の働きが危険なほど低下した状態です。
- 息苦しさが強い、意識がもうろうとする、尿がほとんど出ない、血圧が下がるなどの変化がみられることがあります。
- 回復の見込みや本人の希望に応じて、どのような治療を行うかを医療チームと話し合います。
子供の症状
- 子どもでは、重い感染症、大きなけが、生まれつきの病気などで集中治療が必要になることがあります。
- 子どもの意思は年齢に応じて聞かれ、保護者も話し合いに参加します。
高齢者の症状
- 高齢者では、肺炎、心不全、脳卒中、認知症の進行などで、生命維持治療について考える場面があります。
- 体力が低下している状態では、治療の負担が大きくなることがあります。
原因
主な原因
- 重い肺炎や敗血症などの感染症
- 心筋梗塞、心不全、不整脈など心臓の病気
- 脳卒中、頭部外傷など脳の病気
- 大きなけが、やけど、手術後の重い合併症
- 進行したがんや神経の病気で体の働きが低下すること
リスク要因
- 高齢、体力の低下、認知症
- 心臓・肺・腎臓・肝臓の持病
- 糖尿病などの慢性疾患
- 免疫の低下
- 入院や集中治療が必要な重い病気
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しい、息が切れる
- 意識がもうろうとする、反応が鈍い
- 水分がとれない、尿が出ない
- 急にぐったりした、顔色が悪い
定期受診を予約すべき場合:
- 元気なうちに、将来の医療や介護について家族と話したい
- 持病があり、もしもの時の治療方針を相談したい
- 入院中に生命維持治療の説明を受け、疑問や不安がある
診断
生命維持治療は病気そのものの診断名ではありません。医師は、今の病状、回復の見込み、体の働き、本人の価値観や希望をもとに、治療の必要性を判断します。
行われる可能性のある検査
- 血圧、脈、呼吸、体温、意識の確認
- 血液検査、画像検査(レントゲン、CTなど)
- 心電図、超音波検査
- 腎臓・肝臓・肺などの働きの評価
- 認知機能や意思決定能力の確認
- 事前指示書や家族からの聞き取り
診察で予想されること
説明は一度で終わらず、病状が変われば話し合いも変わります。必要に応じて、複数の医師、看護師、ソーシャルワーカー、緩和ケアの専門家が関わります。
治療
生命維持治療は、呼吸や心臓の働き、栄養や水分を機械や医療の力で支える治療です。目的は、回復を助ける場合も、苦しさを和らげながら尊厳を保つ場合もあります。始めるかどうか、続けるかどうかは、病状と本人の希望を中心に話し合います。
自宅でのセルフケア
- 元気なうちに、自分が大切にしたいことや治療の希望を書き留める
- 家族や信頼できる人と話し合っておく
- かかりつけ医に相談し、事前指示書の扱いを確認する
- 持病を管理し、予防接種や健診を受ける
- 入院時に備え、薬やアレルギー、持病の情報をまとめておく
医療治療
医師は、酸素を送る、器械で呼吸を助ける、心臓の働きを支える、腎臓の働きを補う、栄養や水分を補う、痛みや苦しさを和らげるなど、その人に必要な方法を組み合わせます。治療の利益と負担を説明し、本人・家族と相談して決めます。薬が必要な場合も、病状に合わせて医療者が判断します。
手術が検討される場合
生命維持治療そのものが手術というわけではありません。ただし、原因となっている病気によっては、手術や処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
生命維持治療を受けている間は、医療チームが体の状態を細かく見守ります。家族は、本人の希望を伝え、面会や声かけなどできる範囲で関わることが大切です。治療の目的や今後の見通しは、遠慮せずに何度でも確認しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 元気なうちから、将来の医療や介護について家族と話し合う
- 家族で役割を分け、無理なく支え合う
- かかりつけ医、地域包括支援センター、訪問看護などとつながる
- 介護保険や福祉サービスについて相談する
- 睡眠と休息をとり、家族も自分をいたわる
食事と運動
回復を目指す段階では、体調に合わせた栄養とリハビリが大切です。生命維持治療中は、栄養や水分の取り方は医療チームが管理します。無理に食べさせたり飲ませたりせず、医療者に相談してください。
精神的健康と心の健康
本人も家族も、不安、迷い、罪悪感、悲しみを感じるのは自然です。話すことで気持ちが整理されることがあります。つらい気持ちが強いときや、日常生活が難しいときは、医療者や地域の相談窓口に相談してください。緊急の場合は119番をためらわずに利用してください。
予防
すべての生命維持治療が必要な事態を防ぐことはできません。しかし、持病の管理、感染症の予防、健診、そして元気なうちの話し合いによって、備えることはできます。
ワクチン
年齢や持病に応じたワクチンについて、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
高血圧、糖尿病、心臓病などの健診を受け、早期に見つけて管理することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 呼吸や心臓の働きが保てず、命に関わることがあります
- 脳や腎臓などの臓器に障害が残ることがあります
- 長期の入院や介護が必要になることがあります
長期的な見通し
生命維持治療は、回復の手助けになることも、苦しさを和らげることもあります。回復の見込みは人によって異なりますが、医療チームと話し合いながら、その人らしい過ごし方を考えることができます。希望や状況は変わってよいので、繰り返し相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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