膝の部分人工関節置換術(部分膝置換術)
概要
膝の部分人工関節置換術は、膝の関節のうち、傷んでいる一部分だけを人工の部品に置き換える手術です。膝全体を置き換えるのではなく、健康な部分や靭帯(じんたい:骨と骨をつなぐ強いひも状の組織)をできるだけ残す方法です。
重要な事実
- 膝の内側または外側など、限られた場所の軟骨(なんこつ:関節の表面を覆うクッション)が傷んでいる場合に検討されます。
- 全身麻酔または下半身の麻酔で行い、入院して手術を受けることが一般的です。
- 手術後はリハビリテーションが大切で、筋力や歩き方を回復していきます。
膝の人工関節手術のなかでは、膝全体を置き換える手術より少ないですが、条件が合う人には行われる一般的な治療の一つです。
主に、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう:膝の軟骨がすり減る病気)や昔のけがで、膝の一部分だけが傷んでいる中高年の方に検討されます。若い方や子どもにはあまり行われません。
症状
- 突然の強い胸の痛み、息苦しさ、意識がもうろうとする(手術後では血栓の可能性があり緊急対応が必要)
- 膝の周囲が急に大きく腫れて激痛があり、動かせない
- 高熱と膝の赤み・腫れ・熱感が急に強くなった
- ⚠手術後の傷口から膿のようなものが出る、赤みや腫れが広がる
- ⚠手術後に38℃以上の発熱が続く
- ⚠ふくらはぎの腫れ・痛み・赤み(血栓のサインのことがある)
- ⚠手術した膝に体重をかけられないほどの痛みが急に強くなる
一般的な症状
- 膝の痛み(歩くとき、階段の上り下りで強くなることが多い)
- 膝の腫れや熱感
- 膝がこわばる、曲げ伸ばししにくい
- 動かすとゴリゴリする感じや音
- 膝が不安定で力が入りにくい
- 歩く距離が短くなる、びっこを引く
子供の症状
- 子どもの膝の痛みは、成長痛やけが、感染症など別の原因が多いため、自己判断せず小児科や整形外科に相談してください。
- この手術は子どもには通常行われません。
高齢者の症状
- 膝の痛みで外出や家事がつらくなる
- 立ち上がりや階段に時間がかかる
- 膝が曲がりにくい、O脚など形の変化が出る
- 転びやすくなる、歩行に不安がある
原因
主な原因
- 変形性膝関節症で、膝の内側または外側の一部分だけ軟骨がすり減っている
- 昔の半月板(はんげつばん:膝のクッション)や靭帯のけがが原因で、一部分の関節が傷んでいる
- 関節の形のゆがみにより、膝の片側に負担が集中している
リスク要因
- 年齢を重ねること
- 体重が重いこと
- 過去の膝のけがや手術
- 膝に負担のかかる仕事やスポーツ
- 家族に膝の関節症の人がいること
- O脚・X脚などの脚の形
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 膝が急に大きく腫れて激しく痛む
- 発熱と膝の赤み・熱感がある
- けがのあと体重をかけられない
- 手術後の傷口の異常やふくらはぎの腫れ・痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 膝の痛みが数週間以上続く
- 階段や立ち上がりがつらい
- 膝のこわばりや腫れを繰り返す
- 痛みで散歩や家事が思うようにできない
- 手術を受けるか迷っている
診断
医師が問診と診察を行い、膝のどの部分が傷んでいるか、靭帯や関節の安定性はどうかを確認します。画像検査で、膝全体ではなく一部分だけの障害かどうかを評価します。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨の形や関節の隙間を確認)
- MRI検査(軟骨、半月板、靭帯などのやわらかい組織を確認)
- 血液検査(感染や炎症の有無を確認する場合)
- 必要に応じて関節の動きや歩行の評価
診察で予想されること
診察では膝を動かしたり、押したりして痛みの場所を確認します。画像の結果を見ながら、手術以外の治療も含めて話し合います。手術が適しているかは、痛みの程度、日常生活への影響、膝の状態を総合して決めます。
治療
治療は、まず運動療法や体重管理、日常生活の工夫などの手術以外の方法から始めることが一般的です。それでも日常生活に大きな支障が続く場合に、部分的な人工関節置換術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 体重を適正に保ち、膝への負担を減らす
- 理学療法士の指導で太ももやお尻の筋力を鍛える
- ウォーキングや水中運動など、膝にやさしい運動を無理のない範囲で続ける
- 痛みが強いときは活動を調整し、温める・冷やすなどを試す
- 必要に応じて杖や手すりを使い、転倒を防ぐ
- 靴底のクッション性がよい靴を選ぶ
医療治療
手術以外には、リハビリテーション、痛みに応じた薬(医師や薬剤師の指示に従ってください)、関節内への注射、装具や杖の使用などがあります。どの治療が合うかは人によって異なるため、医師と相談して決めます。
手術が検討される場合
手術は、手術以外の治療を続けても膝の痛みや動きの制限が日常生活を大きく妨げる場合に検討されます。膝の一部分だけが傷んでいて、靭帯が比較的保たれている人がよい適応とされます。手術には感染、血栓、人工関節のゆるみなどのリスクもあるため、利点とリスクを医師と話し合います。最終的には整形外科医が画像と診察をもとに判断します。
この病気と共に生きる
手術後は、医師や理学療法士の指示に沿ってリハビリを続けることが大切です。傷のケア、通院、運動の段階的な再開を確認しながら、無理なく日常に戻っていきます。
生活習慣のアドバイス
- 正しい姿勢と歩き方を意識する
- 重い物を一度に持たない、膝に負担のかかる動作を減らす
- 家の中の段差や滑りやすい場所を確認し、手すりを活用する
- 長時間同じ姿勢を避け、こまめに動く
- 喫煙は回復や骨の健康に良くないため、禁煙を相談する
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、たんぱく質やカルシウムを含む食品を適度に摂りましょう。運動は、理学療法士と相談しながら、太ももの筋力や歩行能力を保つものを継続します。痛みや腫れが増すときは無理をせず休み、医療者に相談してください。
精神的健康と心の健康
手術前後の痛みや生活の変化で、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、医師や看護師、家族、地域の相談窓口に話してください。緊急に自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ためらわず救急要請(119)や地域の緊急相談へ連絡してください。
予防
膝の関節症を完全に防ぐことは難しいですが、体重管理、筋力づくり、けがの予防、膝に負担のかかる動作を減らすことで、進行のリスクを下げられる場合があります。手術が必要になるかどうかは、膝の状態によって異なります。
ワクチン
この手術に直接関係する特別なワクチンはありません。手術前後の一般的な予防接種や感染予防については、医師に相談してください。
検診プログラム
膝の病気のための決まったスクリーニング検査はありません。膝の痛みや腫れ、歩きにくさが続く場合は、早めに整形外科を受診して評価を受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 膝の痛みが続き、歩行や階段の上り下りがつらくなる
- 膝の変形が進み、O脚などが強くなることがある
- 筋力が落ち、転倒しやすくなる
- 外出や運動が減り、体重増加や生活の質の低下につながることがある
- 手術を検討する時期が遅れると、回復に時間がかかる場合がある
長期的な見通し
部分的な人工膝関節置換術は、条件が合う人には膝の痛みを和らげ、歩きやすさを改善することが期待できます。手術後はリハビリが大切で、多くの人が少しずつ日常に戻っていきます。経過には個人差があり、定期的な診察を続けることが大切です。
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最終更新: 2026年11月3日
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