副鼻腔(ふくびくう)の手術の概要
概要
副鼻腔(ふくびくう)は、鼻の奥にある骨に囲まれた空洞です。ここに炎症が長く続くと、粘膜が厚くなったり、鼻茸(はなたけ=鼻の中にできる柔らかいできもの)ができたりして、空気の通り道がふさがります。副鼻腔の手術は、この通り道を広げ、たまった鼻水や膿(うみ)を出しやすくして、鼻の息苦しさやにおいの悩みを和らげるための治療です。現在は、鼻の穴から細いカメラ(内視鏡)を入れて行う方法が一般的で、顔の表面を切る必要はありません。
重要な事実
- 手術は「まず薬やセルフケアで様子を見て、それでも良くならないとき」に検討される治療です。だれもが受ける必要があるものではありません。
- 多くの場合、鼻の穴から内視鏡を入れて行うため、顔に傷は残りません。入院は数日程度、あるいは日帰りで行う施設もあります。
- 手術はゴールではなくスタートです。術後の通院、鼻の洗浄、加湿などのお手入れが、快適さを長く保つ鍵になります。
はい、よく行われる手術です。日本では慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん、いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう))の治療として広く行われています。鼻茸を伴うタイプでは、手術を検討する方も少なくありません。
長引く鼻づまり、粘りのある鼻水、においが分かりにくいといった症状がある方に起こります。子どもから高齢の方まで幅広く、アレルギー性鼻炎のある方、かぜを繰り返す方、喫煙やほこりの多い環境にいる方では炎症が続きやすいとされています。
症状
- 目が腫れて開かない、視力が急に落ちた、ものが二重に見える(目の奥への炎症が疑われます)
- 高熱と顔の腫れ・激しい痛みが同時にある
- 激しい頭痛、首が硬くて曲げにくい、意識がぼんやりする、けいれん(まれですが重い合併症のサインです)
- 大量の鼻血が止まらない、あるいは手術後に出血が続いてぐったりしている
- ⚠手術のあと、痛み止めを使っても耐えられないほどの痛みがある
- ⚠手術のあとに38度以上の発熱が続く
- ⚠顔や目の周りが片側だけ腫れてきた
- ⚠鼻血が20分以上続く、または何度も繰り返す
一般的な症状
- 長く続く鼻づまり(両側のことも片側のこともあります)
- 粘り気のある鼻水や、のどの奥に垂れる鼻水(後鼻漏(こうびろう))
- においが分かりにくい、感じにくい
- 顔や目の奥、おでこに重い感じや痛みがある
- 口で呼吸するようになり、のどが渇く・乾く
- いびき、夜に何度も目が覚める、眠りが浅い
- においのしない鼻水が続く、鼻の中が常に詰まった感じ
子供の症状
- 鼻づまりのため口呼吸になり、いびきをかく
- 集中しにくい、ぼんやりする、学校で疲れやすい
- 中耳炎(ちゅうじえん)を繰り返す、耳がこもる感じ
- 鼻をかんでも出しきれず、のどに流れて咳(せき)が出る
- 食欲が落ちる、においを嫌がる(嗅覚(きゅうかく)が落ちる)
高齢者の症状
- 症状が何年も続いていて、もう慣れてしまったと感じている
- においの低下に気づきにくく、食事が楽しくないと感じる
- のどの違和感や痰(たん)が続き、咳ぜんそくと思われている
- 他の持病の治療中で、鼻の症状が後回しになりやすい
原因
主な原因
- 細菌やウイルスの感染が長引き、粘膜の炎症が続くこと
- アレルギー性鼻炎などで粘膜が常に腫れていること
- 鼻茸(はなたけ)ができ、空気の通り道をふさいでしまうこと
- 鼻中隔(びちゅうかく=鼻の左右を分ける壁)が曲がっていて、通り道が狭いこと
- かぜを繰り返すうちに、粘膜の働きが弱ってしまうこと
リスク要因
- 喫煙、またはたばこの煙を吸う環境にいること
- ほこり、粉じん、乾燥した空気、気温差の大きい環境
- アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくがあること
- かぜやインフルエンザなど呼吸器の感染を繰り返すこと
- 鎮痛薬などで鼻の症状が悪化しやすい体質があること(気になる場合は医師に伝えてください)
- 鼻の形(鼻中隔の曲がり)や生まれつきの構造の特徴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目の周りの腫れ、視力の変化、ものが二重に見える
- 高熱と顔の腫れ・激しい痛みが同時にある
- 鼻血がなかなか止まらない、または手術後に出血が続く
- 手術後に発熱が続く、痛みがどんどん強くなる
定期受診を予約すべき場合:
- 鼻づまりや鼻水が3か月以上続いている
- においが分かりにくくなった、食事が味気なく感じる
- 市販の薬やかかりつけの治療で良くならず、生活に支障が出ている
- いびきや夜の目覚めが続き、日中の眠気が強い
- 副鼻腔炎を年に何度も繰り返している
- 手術をすすめられたが、迷っている・不安がある(セカンドオピニオンも含めて相談してよい内容です)
診断
まず問診で、症状がいつから、どのくらい続いているか、生活にどう影響しているかを確認します。次に鼻の中を直接見て、粘膜の腫れや鼻茸の有無を確かめます。必要に応じて画像検査を行い、炎症の広がりや通り道の狭さを把握したうえで、手術が適切かどうかを判断します。
行われる可能性のある検査
- 鼻鏡(びきょう)や内視鏡による鼻の中の観察
- CT検査(骨に囲まれた空洞の状態を立体的に見る検査)
- レントゲン検査(施設によってはCTの代わりに)
- においの検査(嗅覚検査)
- アレルギーの検査(血液検査や皮膚の検査)
- 鼻水や膿の培養検査(どの菌が関係しているかを調べる)
- 場合によっては呼吸機能検査や、睡眠の状態を調べる検査
診察で予想されること
検査はほとんどが外来ででき、痛みも軽いものが多いです。内視鏡は細い管を鼻の穴から入れますが、痛みが強い場合は麻酔のスプレーを使うことがあります。CTは横になるだけで、数分で終わります。結果を聞くときに、手術の必要性や他の選択肢について質問する時間を取ってもらうと安心です。
治療
治療は段階的に進めます。まずは炎症を抑える薬物治療と、鼻の中をきれいに保つセルフケアを組み合わせます。それでも鼻づまりやにおいの悩みが続き、生活の質が下がっている場合に、手術が選択肢になります。手術は「治す」だけでなく「通りの良い状態を長く保つ」ためのもので、術後もしばらく通院が必要です。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に沿って鼻の中を洗う(鼻うがい)。水道水をそのまま使わず、指定された方法で行いましょう。
- 部屋を加湿し、乾燥を避ける。就寝時は頭を少し高くすると楽になることがあります。
- 水分をこまめに取り、鼻水を柔らかく保つ。
- 禁煙する。受動喫煙も避ける。
- 鼻を強くかまない。片方ずつ、やさしくかむ。
- かぜをひいたら早めに休み、長引かせない。
医療治療
炎症をしずめる飲み薬や鼻に噴霧する薬、細菌が関わっている場合の抗菌薬などを、症状に合わせて組み合わせます。どの薬をどのくらい使うかは、症状や持病に合わせて医師が決めます。自己判断で中断したり、他の人に処方された薬を使ったりせず、気になる点は薬剤師や医師に相談してください。
手術が検討される場合
手術は、十分な薬物治療を続けても鼻づまりやにおいの低下が改善せず、睡眠や仕事・学校生活に支障がある場合に検討されます。現在は鼻の穴から内視鏡を入れて行う手術(内視鏡下副鼻腔手術)が一般的で、炎症のある粘膜や鼻茸を取り除き、空洞の入り口を広げます。正常な粘膜はできるだけ残す工夫がされています。麻酔は多くの場合全身麻酔で、入院は数日程度、施設によっては日帰りや短期滞在のこともあります。手術の範囲や方法は、CTの結果や症状によって一人ひとり異なります。
この病気と共に生きる
手術のあとは、鼻の中がかさぶたや分泌物でしばらく詰まった感じが続きます。1〜2週間ほどは出血や違和感があり、通院で鼻の中の掃除を受けます。鼻づまりは少しずつ良くなることが多く、においの回復には数か月かかることもあります。焦らず、医師が示す通院予定を守ることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 術後しばらくは激しい運動、重い物を持ち上げる、飲酒、長時間の入浴を控える(出血予防のため、具体的な期間は医師に確認)
- 鼻をかむときは片方ずつ、やさしく
- 加湿と換気を心がけ、ほこりや煙を避ける
- 処方された点鼻薬や洗浄は、指示された期間きちんと続ける
- 睡眠を十分にとり、かぜをひいたら早めに休む
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスの良い食事と十分な水分が、粘膜の調子を保つ助けになります。術後の運動は、医師の許可が出てから段階的に再開しましょう。ウォーキングなど軽い運動は、体力と気分の回復にも役立ちます。喫煙は回復と再発の両方にマイナスなので、この機会に禁煙を考える方も多くいます。
精神的健康と心の健康
「手術は怖い」「においが戻らなかったらどうしよう」と不安になるのは自然なことです。術後の回復が思ったより遅く感じられ、気持ちが落ち込むこともあります。不安や気分の落ち込みが続くときは、一人で抱えず担当の医師や看護師、かかりつけ医に話してください。必要に応じて相談の場を紹介してもらえます。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口や医療機関に早めに連絡しましょう。
予防
手術そのものを防ぐというより、炎症を長引かせないことが大切です。かぜをこじらせない、乾燥を避ける、たばこの煙を避ける、アレルギー性鼻炎をきちんと管理することが、副鼻腔炎の悪化や術後の再発を減らす助けになります。
ワクチン
インフルエンザなど呼吸器の感染症のワクチンは、かぜをきっかけにした悪化を減らす助けになる場合があります。自分に必要かどうかは、年齢や持病を含めてかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
副鼻腔炎そのものの決まった検診はありません。鼻の症状が長引くときは、早めにかかりつけ医や耳鼻咽喉科(じびいんこうか)に相談することが実質的な早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 鼻茸が大きくなり、鼻づまりが悪化する
- においの低下が長引き、食事の楽しみが減る
- いびきや睡眠の浅さが続き、日中の眠気や集中力低下につながる
- 中耳炎やのどの炎症を繰り返しやすくなる
- まれですが、炎症が目の奥や脳の近くに広がることがある(目の腫れや激しい頭痛があればすぐ受診)
- 長引く症状で生活の質が下がり、気分が落ち込みやすくなる
長期的な見通し
多くの方は、適切な治療と手術で症状が軽くなり、生活が楽になります。手術はにおいや鼻づまりの改善が期待できる治療ですが、個人差があり、再発を防ぐための通院とお手入れが大切です。良くならない部分があっても、追加の治療の選択肢はあります。心配なことは遠慮なく医師に相談しながら、自分のペースで進めていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.