尿道下裂の手術(尿道形成術)
概要
尿道下裂(にょうどうかれつ)は、生まれつきおしっこの出口(尿道口)が陰茎の先端ではなく、陰茎の下側や途中にある状態です。尿道口が先端にないことで、おしっこの向きが下向きになったり、飛び散ったりすることがあります。また、陰茎が下に曲がる(弯曲)こともあります。尿道下裂の手術は、尿道口をできるだけ先端に近づけ、曲がりを直し、おしっこの出方や見た目、将来の生活の困りごとを減らすために行います。
重要な事実
- 生まれつきの状態で、程度は人によってさまざまです。
- 手術はおしっこの出口を整え、曲がりを直すことを目的とします。
- 手術後も通院で経過を見ることが大切で、追加の手術が必要になることもあります。
比較的よくみられる生まれつきの状態で、男児の数百人に1人程度といわれています。程度はさまざまで、軽い場合もあれば、手術が必要な場合もあります。
主に男児にみられます。女児には通常みられません。家族に同じ状態の人がいる場合もありますが、いない場合も多くあります。
症状
- 手術後に大量の出血が止まらない——すぐに119番へ連絡してください。
- 呼吸が苦しい、顔色が悪い、意識がもうろうとしている——すぐに119番へ連絡してください。
- 高熱とぐったりした様子がある——すぐに119番へ連絡してください。
- おしっこが全く出ない、強い痛みで尿が出せない——すぐに119番へ連絡してください。
- ⚠38℃以上の発熱がある
- ⚠傷の赤み・腫れ・膿がある
- ⚠痛みが強くなっている
- ⚠尿が出にくい、カテーテルから尿が出ない
- ⚠嘔吐が続き、水分がとれない
一般的な症状
- 尿道口(おしっこの出口)が陰茎の先端より下側にある
- おしっこの線が下向きになる、飛び散る、まっすぐ出にくい
- 陰茎が下に曲がっている(弯曲)
- 包皮(皮)の形が左右均等でなく、背側に寄っているように見える
- 睾丸が陰嚢(たまぶくろ)に下りていないことがある(別の先天異常を伴う場合)
子供の症状
- おむつ替えのとき、おしっこが下向きに出たり、漏れ方に偏りがある
- 立っておしっこをすると、便器の外に飛び散りやすい
- 幼稚園・保育園や学校で、おしっこの向きや見た目を気にすることがある
- 手術後は、傷の痛みや排尿の変化をうまく言葉で伝えられないことがある
高齢者の症状
- 成人になって未治療の場合、おしっこの向きを調整しにくい
- 陰茎の曲がりで性交時に痛みや違和感がある
- 手術の傷あとや見た目、排尿、性生活について不安を感じる
- 小児期に手術を受けた人でも、成人後に追加の相談が必要なことがある
原因
主な原因
- 胎児の尿道がつくられる過程が途中で止まることで起こると考えられています
- 遺伝子、ホルモン、環境要因などが関係する可能性があります
- 多くは、はっきりした原因をひとつに特定できません
リスク要因
- 家族に尿道下裂の人がいる
- 早産や低出生体重
- 妊娠中のある種の薬や環境物質への曝露が関係する可能性(はっきりしないことも多い)
- 他の先天異常を伴う
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術後に大量の出血が止まらない
- 呼吸が苦しい、顔色が悪い、意識がもうろうとしている
- 高熱とぐったりした様子がある
- おしっこが全く出ない、強い痛みで尿が出せない
定期受診を予約すべき場合:
- 新生児健診や乳幼児健診で尿道口の位置を指摘された
- おしっこの向きが下向き、飛び散る、まっすぐ出ない
- 陰茎が下に曲がっているように見える
- 睾丸が陰嚢に下りていないと言われた
- 成人で、未治療の尿道下裂や手術後の排尿・性生活の困りごとがある
診断
小児科医、小児泌尿器科医、または泌尿器科医が診察します。陰茎の見た目、尿道口の位置、おしっこの出方、陰茎の曲がり、睾丸の位置を確認します。診察は痛みを伴いません。
行われる可能性のある検査
- 身体診察(陰茎・陰嚢・睾丸を確認)
- おしっこの出方の観察
- 必要な場合の超音波検査
- 重症例や他の先天異常が疑われる場合の追加検査
- 成人では排尿機能や性生活に関する問診
診察で予想されること
診察では、緊張するかもしれませんが、保護者と一緒に受けることができます。医師は手術が必要か、いつごろがよいか、回復の見通しを説明します。疑問は遠慮なく聞いてください。
治療
尿道下裂の根本的な治療は手術です。尿道口を先端に近づけ、陰茎の曲がりを直し、おしっこの流れを整えます。手術の方法や時期は、程度、年齢、健康状態によって変わります。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って、傷口を清潔に保つ
- おむつや下着の管理について、看護師や医師に確認する
- 水分をとり、便秘を避けるよう心がける(排便時の力みを減らすため)
- 入浴や運動の再開は、許可が出るまで指示に従う
- 痛み、腫れ、発熱、尿の出方を観察し、変化があれば連絡する
医療治療
尿道口の位置を変えるには手術が必要で、薬だけで治す治療はありません。手術前後の痛みや感染を防ぐためのケアは、医療機関の判断で行われます。特定の薬を自分で使ったり、量を決めたりしないでください。
手術が検討される場合
尿道口が先端にない、おしっこが飛び散る、陰茎が曲がっているなどの場合に手術を検討します。多くは乳幼児期から就学前までに専門医と相談しますが、成人になってから相談する場合もあります。
この病気と共に生きる
手術後は、排尿の向き、傷の治り、腫れなどを通院で確認します。保育園・幼稚園・学校への復帰や体育の再開は、医師の指示に従って少しずつ進めます。
生活習慣のアドバイス
- 傷口を清潔に保つ
- 水分をしっかりとる
- 便秘を避ける
- 激しい運動やプールは、医師の許可が出るまで控える
食事と運動
特別な食事制限は通常ありません。バランスのよい食事を心がけ、回復に合わせて無理のない範囲で体を動かします。
精神的健康と心の健康
見た目やおしっこのことが気になったり、保護者が「自分のせいかも」と感じたりすることはあります。これは自然な気持ちですが、一人で抱え込まないでください。子どもの不安や思春期の悩みにも寄り添うことが大切です。
予防
尿道下裂を確実に防ぐ方法は、今のところ確立していません。妊娠中の健康管理は大切ですが、尿道下裂が起きたことを親の責任と考えないでください。
ワクチン
尿道下裂を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
新生児期の健診で身体の確認が行われ、尿道口の位置や睾丸の位置を確認します。胎児超音波検査で見つかることもありますが、多くは出生後の診察でわかります。厚生労働省の母子保健の健診などを活用してください。
合併症
治療しない場合
- おしっこの向きが安定せず、飛び散りや衣服の汚れで困ることがある
- 陰茎の曲がりで、性交時に痛みや違和感が出ることがある
- 尿路感染症を繰り返すことがある
- 見た目や排尿、性生活への不安が大きくなることがある
- 将来の生殖機能に影響する場合がある
長期的な見通し
多くは手術でおしっこの流れや見た目が改善し、日常生活を送りやすくなります。追加の手術が必要になることもありますが、専門医と長期的にフォローすることで対応できます。希望を持って相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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