精巣プロテーゼ(人工精巣)
概要
精巣プロテーゼ(人工精巣)は、陰嚢(いんのう=睾丸を入れておく袋)の中に手術で入れる、睾丸の形をした人工物です。シリコンなどの素材で作られ、見た目を整えたり、触れたときの感触を補ったりするために使います。ホルモンを作る働きや、精子を作る働きはありません。睾丸を摘出した後や、生まれつき睾丸がない方などが、見た目の悩みや心の負担を軽くするための選択肢のひとつとして考えます。
重要な事実
- 体の機能を代わりに果たすものではなく、見た目と気持ちの負担をやわらげるための「補助具」です。
- 手術は泌尿器科などで行い、睾丸を摘出する手術と同時に入れることも、後から別に入れることもできます。
- 入れた後も、位置や状態を定期的な診察で確認していきます。
頻度の多い治療ではありませんが、睾丸を摘出した方や、生まれつき睾丸がない方にとっては、よく選ばれている方法のひとつです。
症状
- 手術後に息が苦しい、胸が痛い、意識がぼんやりする
- 傷口からの出血が大量で止まらない
- 高熱とともに陰嚢が急に大きく腫れて、激しく痛む
- ⚠傷口が赤く腫れて、膿のようなものが出ている
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠陰嚢の痛みが強くなり、歩くのがつらい
- ⚠入れた人工物の位置が明らかにおかしい、皮膚から出てきそうな感じがある
一般的な症状
- 片方、または両方の睾丸がない、あるいはとても小さくなっている
- 陰嚢の左右のバランスや大きさの違いが気になる
- 見た目を人に見られることが気になり、恥ずかしさや不安を感じる
- 着替えや水着になる場面で強いストレスを感じる
- 下着や衣服を着たときの違和感が気になる
子供の症状
- 生まれつき睾丸が触れない(無精巣症など)
- 停留精巣(睾丸が陰嚢まで下りてこない状態)の治療後に、睾丸が小さくなった
- 陰嚢の左右の大きさの違いを、本人や家族が気にしている
- 小児では体の成長に合わせて、手術の時期を相談しながら決めていきます
高齢者の症状
- 精巣腫瘍などで摘出した後の、見た目の変化が気になる
- 摘出後の陰嚢の違和感や、重さ・ぶら下がり感の変化が気になる
- 皮膚の張りや厚みの変化により、入れる大きさや位置の相談が必要になることがある
原因
主な原因
- 精巣腫瘍(睾丸のがん)の治療で、睾丸を摘出した
- 精巣捻転(睾丸がねじれて血流が止まる状態)で睾丸を失った
- けがや感染症などで睾丸を摘出した
- 生まれつき睾丸がない、または極端に小さい(無精巣症など)
- 体の性に関わる治療の一環として、見た目を整えたい
リスク要因
- 糖尿病や免疫の低下など、傷が治りにくい病気がある
- 喫煙をしている(傷の治りが悪くなることがあります)
- 過去に陰嚢やそけい部(足の付け根)の手術を受けたことがある
- 陰嚢の皮膚に感染症や炎症がある
- 血液を固まりにくくする薬を使っている(必ず医師に伝えてください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 傷口の感染が疑われるとき(赤み、腫れ、膿、熱)
- 強い痛みや腫れが続くとき
- 人工物の位置がずれた、皮膚から出てきそうだと感じたとき
定期受診を予約すべき場合:
- 手術後の経過について相談したいとき
- 人工物の大きさや形の希望を伝えたいとき
- 入れ替えの時期について相談したいとき
- 心理的なつらさが続いているとき
診断
問診と診察で、これまでの治療の経過や、見た目についての希望をうかがいます。陰嚢を触って状態を確かめ、必要に応じて超音波検査で睾丸の有無を確認します。ホルモンの働きを確認するために血液検査を行うこともあります。診断というより「相談と準備」の時間だと考えるとわかりやすいです。
行われる可能性のある検査
- 診察(陰嚢を触って確認する触診)
- 陰嚢の超音波検査
- 血液検査(テストステロンなどホルモンの値を確認)
- 必要に応じてMRIなどの画像検査
診察で予想されること
診察はほとんど痛みがなく、短い時間で終わります。手術の方法、入院の期間、費用の目安、入れる大きさなどを、事前にゆっくり相談できます。わからないことは何度でも質問してかまいません。
治療
中心になるのは、手術で人工物を陰嚢の中に入れることです。睾丸のホルモンを作る働きを補うものではないため、ホルモンの補充が必要な場合は別に相談します。見た目の希望と体の状態を合わせて、入れるかどうか、いつ入れるかを一緒に決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 手術後は医師の指示に従い、陰嚢を支える下着を使って安静を保つ
- 決められた期間は、重い物を持つことや激しい運動を控える
- 傷口を清潔に保ち、入浴やシャワーは許可が出てからにする
- 腫れや痛みの変化をメモしておき、受診のときに伝える
- 喫煙をしている場合は、傷の治りをよくするために控える
医療治療
手術は多くの場合、全身麻酔または部分的な麻酔で行います。睾丸の摘出と同時に行うことも、摘出からしばらく経ってから行うこともできます。入院は短くて済むことが多く、日帰りや数日の滞在が一般的です。痛み止めや感染を防ぐための薬は医師の判断で使われます。具体的な薬の名前や量については、医師や薬剤師に確認してください。
手術が検討される場合
摘出と同時に入れたい場合は、事前に相談しておく必要があります。摘出後に時間が経ってから入れることも可能です。小児では体の成長を見ながら時期を決めます。手術を急ぐ必要はなく、気持ちが整ってから決めてかまいません。
この病気と共に生きる
入れた後は、日常生活で大きな制限はほとんどありません。違和感は数週間で落ち着くことが多いですが、慣れるまでに少し時間がかかる方もいます。自分の体のペースに合わせて慣れていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 決められた定期診察を受け、位置や状態を確認してもらう
- 陰嚢の腫れ、痛み、形の変化をときどき自分でも確かめる
- 激しい接触のあるスポーツでは、必要に応じて保護具を使う
- 喫煙は傷の治りを悪くするため、控えることをおすすめします
食事と運動
特別な食事の制限はありません。バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動が回復を助けます。手術後の運動は、医師の許可を得てから少しずつ再開しましょう。
精神的健康と心の健康
体の見た目や変化は、自信や気分に大きく影響することがあります。不安や落ち込みが続くときは、一人で抱え込まないでください。心のサポートは治療の大切な一部です。つらい気持ちが強いときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療機関や地域の相談窓口、救急(119)に連絡してください。
予防
精巣プロテーゼが必要になる状況の多くは、がんやけが、生まれつきの状態によるもので、事前に防ぐことは難しいものです。ただ、精巣捻転は早く受診することで睾丸を失う危険を減らせます。陰嚢に急な痛みや腫れがあれば、すぐに受診してください。
ワクチン
おたふくかぜ(ムンプス)のワクチンは、精巣炎(睾丸の炎症)の合併を減らすとされています。接種の可否については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
入浴中などに睾丸にしこりがないか自分で確かめる「自己チェック」が、精巣腫瘍の早期発見に役立つとされています。気になるしこりや違和感があれば、泌尿器科を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 入れない場合に命に関わる危険はほとんどなく、主な影響は見た目と気持ちの面です。
- 見た目への悩みや不安が続き、生活の質が下がることがあります。
- 陰嚢の左右差による心理的な負担が続くことがあります。
- 衣服を着たときの違和感が気になり続けることがあります。
長期的な見通し
多くの方にとって、精巣プロテーゼは見た目の悩みをやわらげ、毎日の生活を少し楽にしてくれる助けになります。手術には感染、位置のずれ、人工物の劣化など一定のリスクはありますが、定期的な診察で対応できます。必要であれば入れ替えることも可能です。満足している方も多く、心配なことを医師と共有しながら進めていくことが大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.