尿管鏡(尿管内視鏡)ってどんな検査・治療?
概要
尿管鏡(にょうかんきょう)は、尿道(尿の出口)からとても細いカメラを入れて、膀胱(ぼうこう)を通り、尿管(にょうかん)とよばれる「腎臓と膀胱をつなぐ細い管」や、腎臓の入り口のあたりを直接見る検査・治療のことです。体の外に傷をつけずに行えるのが特徴で、尿管結石(尿の通り道にできる石)を取ったり、狭くなった部分を広げたり、気になる組織を少し採取して調べたりするのにも使われます。多くの場合、全身麻酔か下半身だけの麻酔をかけて行います。
重要な事実
- 尿道→膀胱→尿管の順に、細い内視鏡を入れながら観察します
- 日帰り、または1〜2泊程度の入院で行われることが多い処置です
- 「見るだけ」の検査の場合と、「石を取る・広げる」といった治療を同時に行う場合があります
- 処置のあと、尿の通り道を保つために細い管(ステント)を一時的に留置することがあります
尿管や腎臓の結石は日本でもとても多い病気で、尿管鏡を使った治療は泌尿器科で広く行われている一般的な処置です。特別な大がかりな手術ではなく、体への負担を抑えた方法として選ばれることが多くなっています。
尿管結石や腎結石がある人、尿管が狭くなっている人、原因のはっきりしない血尿が続く人、画像検査で詳しく調べたい影が見つかった人などが対象になります。年齢や性別を問わず行われ、子どもに行うこともありますが、大人に比べると少なめです。
症状
- 腰や背中の激しい痛みで動けず、冷や汗が出ている(救急車を呼んでください=119)
- 38度以上の発熱と腰の痛みが同時にあり、悪寒や震えがある(尿の流れが詰まって感染を起こしているおそれ)
- 尿がほとんど出ない、または全く出ない
- 意識がぼんやりする、顔色が悪い、血圧が下がっているように見える
- ⚠血尿が数日続く、または血の塊が出る
- ⚠排尿時の強い痛みや、尿が出にくい状態が続く
- ⚠発熱や寒気がある(当日中に医療機関へ連絡してください)
- ⚠処置を受けたあとに痛みがどんどん強くなる、尿が出なくなる
一般的な症状
- 背中や脇腹(腰のあたり)の波のように強くなったり弱くなったりする痛み
- 尿に血が混じる(血尿)、尿が赤っぽく見える
- 排尿時の痛みや違和感、尿が近い
- 吐き気や嘔吐、冷や汗を伴うことがある
- 尿の流れが悪い、すっきり出ない感じがする
子供の症状
- 子どもは痛みをうまく言葉にできず、おなかや腰を痛がる、機嫌が悪い、食欲がないといった形で表れることがあります
- 血尿や発熱で見つかることもあります
- 検査では麻酔が必要になるため、前もって絶食(食事を控える)時間などの指示がくわしく説明されます
高齢者の症状
- 痛みがはっきりしないまま、だるさや食欲低下、発熱だけで見つかることがあります
- 心臓や腎臓の持病がある場合は、麻酔の方法や処置の進め方をよく相談して決めます
- 血液を固まりにくくする薬を使っている場合は、勝手に中止せず必ず医師に伝えてください
原因
主な原因
- 尿管結石・腎結石(尿の中の成分が固まってできた石)
- 尿管が傷や炎症、手術のあとなどで狭くなっている(狭窄)
- 尿管や腎盂の腫瘍が疑われる場合の詳しい観察や組織の採取
- 原因がはっきりしない血尿の精査
- 尿管に入ってしまった異物の確認と除去
- 先天性的に尿管の形やつながりに特徴がある場合の評価
リスク要因
- 結石をこれまでに作ったことがある、家族に結石の人がいる
- 水分をあまりとらない、汗を多くかく環境にいる
- 肥満、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病がある
- 尿路感染をくり返している
- 尿管や骨盤の手術を受けたことがある
- 長時間同じ姿勢でいたり、排尿を我慢することが多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 腰・背中の激痛がおさまらない、痛みで眠れない
- 発熱と腰の痛みが同時にある
- 尿が出ない、または極端に少ない
- 血尿が続く、血の塊が出る
- 尿管鏡を受けたあとで、痛みが強くなる・発熱する・尿が出なくなる
定期受診を予約すべき場合:
- ときどき腰や脇腹に違和感がある
- 尿の色がいつもより濃い、赤っぽいことがある
- 排尿の調子が以前と違う
- 健診の画像検査で結石や腎臓の異常を指摘された
- 結石を何度もくり返しているので再発予防の相談をしたい
診断
尿管鏡はそれ自体が「詳しく見るための検査」であり、同時に「治療」でもあります。まず問診と尿検査・血液検査・画像検査で状態を把握し、そのうえで尿管鏡を行うかどうか、麻酔の方法などを泌尿器科医と相談して決めます。処置中はカメラの映像を見ながら、石の有無や尿管の様子、組織の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(血尿や感染の有無を調べます)
- 血液検査(腎臓のはたらきや炎症の程度を確認します)
- 超音波(エコー)検査
- 腹部CT検査(石の位置や大きさ、詰まり具合を詳しく見ます)
- レントゲン検査(腹部の単純撮影)
- 必要に応じて心電図・胸部レントゲン・麻酔科での診察(麻酔の安全性を確認するため)
- 尿管鏡そのもの(直接観察・組織の採取・治療)
診察で予想されること
多くの場合、前日または当日の一定時間前から食事を控える「絶食」の指示があります。処置は麻酔をかけて行い、時間はおおむね30分〜1時間程度が目安です(内容によって変わります)。終わったあとは回復室で休み、痛みや血尿は数日続くことがあります。尿の通り道を保つための細い管(ステント)を一時的に入れることがあり、その場合は抜去の時期をあらためて説明されます。処置の当日や翌日には歩けるようになることが多く、退院の目安も医師から具体的に伝えられます。
治療
尿管鏡は、診断と治療を一度に行える方法です。石があれば砕いたり取り出したりし、狭くなった部分は広げ、気になる組織は一部を採取して詳しく調べます。体の外にメスを入れる必要がなく、回復が比較的早いのが特長です。ただし、すべての人に適しているわけではなく、石の大きさや位置、体の状態によって別の方法が選ばれることもあります。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとり、尿の量を保つようにしましょう(医師の指示があればそれに従ってください)
- 処置のあとは血尿や軽い痛みが数日続くことがあります。無理をせず休みましょう
- 処置後しばらくは激しい運動・重い物を持つ・長時間の入浴や旅行は控えめにし、再開の時期は医師に確認してください
- 処方された薬は指示どおりに使い、自己判断で量を変えたり中止したりしないでください
- 発熱、強い痛み、尿が出ないといった変化があれば、我慢せず医療機関に連絡してください
医療治療
尿管鏡の中では、石を細かく砕いて取り出す処置、石をつかんで取り出す処置、狭くなった尿管を風船や器具で広げる処置、組織の一部を採取する処置などが状況に応じて行われます。尿の流れを守るために細い管(ステント)を一時的に留置することがあり、これは数日〜数週間で抜くのが一般的です。麻酔の方法や痛みのやわらげ方は、麻酔科医と相談しながら体の状態に合わせて決めます。具体的な薬の種類や量については、必ず担当の医師・薬剤師の説明を受けてください。
手術が検討される場合
尿管鏡そのものが「処置(広い意味での手術)」にあたります。石が大きい、尿管が強く狭い、感染を伴っているなどの場合は、尿管鏡を一度に行わず、先に尿の流れを確保する処置をしたり、別の治療法を選んだりすることがあります。どの方法が合うかは、画像検査の結果と全身の状態を合わせて判断されます。
この病気と共に生きる
処置のあとは、数日間は血尿や軽い排尿時の痛み、腰の重い感じが続くことがあります。多くは少しずつ落ち着いてきます。仕事や家事は、体調を見ながら少しずつ戻していくのがおすすめです。ステント(細い管)が入っている間は、尿が近い、下腹部が重いといった感覚が出ることがありますが、これも一般的なことです。気になる症状はメモしておき、次の診察で医師に伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- こまめな水分補給を習慣にする(汗をかく日は特に意識しましょう)
- 塩分や糖分のとりすぎに気をつけ、バランスのよい食事を心がける
- 適度な運動を続け、体重を適正に保つ
- 排尿を長時間我慢しない
- 禁煙を心がける(尿路のがんのリスクにも関係します)
- 処置後の入浴・運動・性生活の再開時期は医師に確認する
食事と運動
結石をくり返さないためには、水分を十分にとることがいちばん大切です。食事は特定のものを極端に避けるより、塩分を控えめにし、野菜や果物を取り入れたバランスのよい食事が勧められます。運動は、処置後しばらくは軽い散歩から始め、体調に合わせて少しずつ増やしていきましょう。食事や運動の具体的な内容は、腎臓のはたらきに合わせて管理栄養士や医師に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
「また石ができるのではないか」「処置が痛いのではないか」と不安になるのは自然なことです。痛みや検査のことを考えると気持ちが落ち着かない、眠れないというときは、一人で抱え込まずに医療者に話してみてください。不安を言葉にすることで、対処の方法が見つかることがあります。つらい気持ちが続くときは、心の相談窓口やかかりつけ医に相談することも大切です。
予防
尿管鏡が必要になる一番の理由は結石です。結石は、水分不足や食生活の偏りを整えることで再発のリスクを下げられるとされています。すべてを防ぐことは難しいものの、日々の習慣を少しずつ見直すことが助けになります。結石を一度作った人は再発しやすいため、定期的な経過観察が勧められます。
検診プログラム
健診の尿検査や腹部超音波検査で、石や血尿が見つかることがあります。結石をくり返している人、家族に結石の人がいる人、尿路感染をよく起こす人は、かかりつけ医に相談して定期的な検査を受けておくと安心です。症状がなくても、健診結果で気になる指摘があったら早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 結石が尿の流れをせき止め、腎臓が腫れる(水腎症)
- 詰まった尿に細菌が繁殖し、高熱を伴う重い感染を起こす
- 長く放置することで腎臓のはたらきが低下することがある
- 尿管が狭いまま血尿や痛みが続き、生活の質が下がる
- 腫瘍などが見逃され、発見が遅れる可能性がある
長期的な見通し
尿管鏡は体への負担が比較的少なく、多くの方は数日から1週間ほどで普段の生活に戻っていきます。処置のあとに軽い血尿や痛みが出ることはありますが、多くは一時的なものです。結石は再発することがあるため、水分補給などの習慣づくりと定期的な通院を続けることが、長い目で見た安心につながります。気になる症状があれば、早めに医療者に相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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