尿道口切開術・尿道口形成術(尿道口が狭いときの治療)
概要
尿道口(にょうどうこう)は、おしっこが出てくる穴(ペニスの先端の出口)のことです。この穴が炎症や傷あとのせいで狭くなった状態を「尿道口狭窄(きょうさく)」といいます。狭くなると、おしっこの線が細くなったり、飛び散ったり、出るまで時間がかかったりします。このページで説明する「尿道口切開術(めあととみー)」は、狭い部分を小さく切って広げる手術、「尿道口形成術(めあとぷらすてぃ)」は、形を整えながら広げる手術です。どちらも、おしっこの通りをよくするための小さな治療です。
重要な事実
- 尿道口狭窄は、炎症や傷あとが縮んで、尿道の出口が狭くなる状態です。
- 手術は数十分ほどで終わり、日帰りで行われることもあります。
- 多くの場合、治療のあとはおしっこの出がよくなり、生活が楽になります。
めずらしい状態ではありません。とくに、包皮の手術(環状切除)を受けたあとの男の子や、包皮・亀頭の炎症をくり返した人に起こりやすいと言われています。この状態は男性にだけ起こります。
赤ちゃんから高齢の方まで、男性なら誰にでも起こる可能性があります。小児では包皮の手術や炎症のあと、成人では炎症、尿道カテーテルの長期使用、皮膚の慢性の病気(硬化性苔癬:皮膚が硬く縮む病気)などがきっかけになることがあります。
症状
- おしっこがまったく出ず、おなかの下が張って痛い(尿閉:尿がたまったまま出せない状態)
- 高熱と寒け、腰の痛みがあり、尿の出も悪い(腎盂腎炎:腎臓の感染症のおそれ)
- 尿道から止まらない出血がある
- ⚠尿道口が赤く腫れて膿が出る
- ⚠排尿時の痛みが強い
- ⚠尿がにごる、血が混じる
- ⚠発熱がある
一般的な症状
- おしっこの線が細い、勢いが弱い
- おしっこが飛び散る、まっすぐ前に出ない
- 出始めるまで時間がかかる、いきむ必要がある
- 出終わりにぽたぽたと垂れる
- 排尿のときにしみる、痛い
- トイレの回数が多い、急に行きたくなる
- 尿道口のまわりが赤い、かゆい
子供の症状
- おしっこのときに泣く、いやがる
- おしっこの線が細く、遠くまで飛ばない
- いきんで出す、時間がかかる
- 下着がいつも少しぬれている
- トイレの失敗が増える
高齢者の症状
- 出し切れない感じ(残尿感)がある
- 尿路感染をくり返す
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 尿の勢いが以前より弱くなった
- カテーテルを入れている人は、尿の出が悪くなることがある
原因
主な原因
- 包皮の手術や炎症のあとの傷あとが縮む
- 包皮や亀頭の炎症(亀頭包皮炎)をくり返す
- 皮膚の慢性の病気(硬化性苔癬)で皮膚が硬く縮む
- 尿道カテーテルを長く入れていた
- けがや手術のあとの瘢痕(きずあと)
- 生まれつき尿道口が小さい
リスク要因
- 包皮の手術を受けたことがある
- 包皮炎・亀頭炎をくり返している
- 尿道カテーテルを長期間使っている
- 皮膚の乾燥やかぶれを放っておいた
- 糖尿病など、感染に弱くなる病気がある
- 排尿を長時間我慢する習慣がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- おしっこが半日以上出ない
- 発熱と排尿時の痛みが一緒にある
- 尿道から血や膿が出る
定期受診を予約すべき場合:
- おしっこの線が細くなった、飛び散る
- 出るまで時間がかかる、いきむ必要がある
- トイレが近い、夜中に何度も起きる
- 子どもが排尿のたびに泣く、いやがる
診断
まず問診と診察で、おしっこの出方や、これまでの炎症・手術の経験を聞きます。尿道口を直接見て、大きさや形、赤みがないかを確認します。多くの場合は、それだけで診断がつきます。必要に応じて尿検査や、尿の勢いを測る検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 視診(尿道口の形と大きさを直接みる)
- 尿検査(感染や血が混じっていないかを調べる)
- 尿流量測定(おしっこの勢いと量を機械で測る)
- エコー(超音波)検査(出し切れずに残った尿の量をみる)
- 必要に応じて画像検査や、細い管での確認
診察で予想されること
検査は痛みが少なく、短時間で終わることがほとんどです。尿検査のために、できれば朝の尿を持っていくと話が早く進みます。緊張するときは、遠慮なく医師や看護師に伝えてください。
治療
症状が軽く、生活にあまり困っていない場合は、急いで手術をしなくてもよいことがあります。炎症やかゆみがあるときは、まずその治療を優先します。おしっこの出が悪くて生活に支障がある場合や、感染をくり返す場合に、尿道口を広げる手術を考えます。
自宅でのセルフケア
- 尿道口を清潔に保ち、石けんの泡でやさしく洗ってよくすすぐ
- 排尿を長時間我慢しない
- 水分をこまめにとる(医師から制限の指示がある場合はそれに従う)
- 下着は通気性のよいものを選び、毎日取り替える
- かゆみや赤みがあるときは、香料入りの石けんや刺激の強い洗剤を避ける
- 手術後は、指示された期間、激しい運動や入浴の方法に気をつける
医療治療
狭くなった部分を薬で広げることは、基本的にはできません。炎症や感染があるときは、医師の判断で抗菌薬や軟膏が使われることがあります。皮膚の慢性の病気が原因の場合は、その治療を続けることが大切です。手術は、局所麻酔か全身麻酔で行い、狭い部分を小さく切って広げます。出血を止めるために少し縫うことも、縫わないこともあります。時間は数十分程度で、日帰りで終わることも多い治療です。
手術が検討される場合
おしっこが細くて困る、いきまないと出ない、感染をくり返す、残尿が多い、といった場合に手術を考えます。小さいお子さんの場合は全身麻酔で行うことが多く、大人は局所麻酔で行えることもあります。手術のあと、一時的に細い管を入れることがありますが、多くは数日で抜けます。
この病気と共に生きる
手術のあとは、傷が落ち着くまで数日から数週間かかります。トイレのあとはやさしく拭き、清潔を保ちましょう。おしっこの線が以前より太くなったかどうかを、日々の感覚で確かめてみてください。
生活習慣のアドバイス
- 水分をこまめにとる
- 排尿を我慢しない
- 下着を毎日取り替え、通気性のよいものを選ぶ
- 炎症やかぶれを放っておかず、早めに受診する
- 手術後は、医師の指示があるまでプールや長風呂を控える
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と適度な水分で、尿の流れを保ちましょう。便秘は排尿にも影響することがあるので、食物繊維と水分を意識するとよいでしょう。手術後の激しい運動は、しばらく控えて医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
おしっこの悩みは人に話しにくく、恥ずかしさや不安につながりやすいものです。お子さんの場合は、トイレの失敗が続くと本人も家族も心配になります。症状は治療でよくなることが多いので、ひとりで抱えこまずに相談してください。つらい気持ちが続くときは、医療者や信頼できる人に話すことが助けになります。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、包皮炎やかぶれを早めに治療する、尿道口を清潔に保つ、尿道カテーテルを必要以上に長く入れない、といったことが助けになります。
検診プログラム
特定の決まった検診はありません。おしっこの出方が気になったら、早めに泌尿器科で相談することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 尿閉(おしっこがまったく出なくなる)
- 尿路感染をくり返す
- 膀胱や腎臓に負担がかかることがある
- 治療のあとに再び狭くなることがある
- 瘢痕が広がり、治療が難しくなることがある
長期的な見通し
尿道口を広げる治療は、多くの人でおしっこの出がよくなり、満足度も高い治療です。まれに再び狭くなることがありますが、その場合も対応できます。心配なことは、主治医と一つずつ確認しながら進めていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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