小線源治療(ブラキセラピー)を知る
概要
小線源治療(しょうせんげんちりょう、ブラキセラピー)は、がんの治療に使われる放射線治療のひとつです。体の外から放射線をあてる「外照射(がいしょうしゃ)」とちがい、小さな放射線源(線源=放射線を出す小さなカプセルや針)を、がんのすぐ近く、またはがんの中に置いて治療します。放射線が届く範囲がせまいので、まわりの健康な組織への影響を少なくしやすいのが特長です。前立腺がん、子宮頸がん、乳がんなどで行われます。
重要な事実
- 放射線を「外から」ではなく「体の内側から」あてる治療法です。
- 線源の使い方には、治療の間だけ入れて終わったら抜く方法と、小さなカプセルを体内に残して少しずつ放射線を出す方法があります。
- 入院が必要なことが多いですが、日帰りで行える場合もあります。担当医とスケジュールをよく相談しましょう。
前立腺がんや子宮頸がんの治療として、日本でも広く行われている治療法です。ただし、すべてのがんに使えるわけではなく、がんの種類・大きさ・場所によって向き不向きがあります。
主に成人のがん患者さんが対象です。小児ではほとんど行われません。年齢、持病、妊娠の可能性などによって、選べるかどうかが変わります。
症状
- 38℃以上の高熱が続く、または寒気・震えをともなう発熱がある
- 息苦しい、胸が痛い、意識がもうろうとする
- 治療した部分から大量に出血する、または出血が止まらない
- 尿がまったく出ず、下腹部が張ってつらい
- ⚠37.5℃以上の発熱がある
- ⚠治療した部分の腫れ・赤み・膿みが増してきた
- ⚠強い痛みが続く
- ⚠吐き気や嘔吐が続き、水分がとれない
- ⚠尿が出にくい、排尿時に強く痛む
- ⚠下痢が続いてぐったりしている
一般的な症状
- 小線源治療は治療法なので、それ自体に「症状」があるわけではありません。治療の対象になる病気によって症状はさまざまで、たとえば前立腺がんなら排尿のトラブル、子宮頸がんなら不正出血などが見られることがあります。
- 治療中や治療後に、だるさ、治療した部分の痛みや腫れ、排尿の変化、下痢、皮膚の赤みなどが出ることがあります。
- こうした不快な症状の多くは時間とともに軽くなりますが、続くときや強くなるときは我慢せずに相談してください。
原因
主な原因
- 小線源治療は、がんに対する治療法のひとつです。「原因」というより、どんながんに、なぜこの方法が選ばれるかが大切です。
- 前立腺がん、子宮頸がん、子宮体がん、乳がん、食道がん、舌がんなどで行われることがあります。
- がんの大きさ、広がり、場所、体の状態をみて、外照射や手術と組み合わせるかどうかが決まります。
リスク要因
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある(放射線の影響を考えて行われません)
- 出血が止まりにくい体質、または血液を固まりにくくする薬を飲んでいる
- 治療する部分に感染がある
- 全身の状態がよくない、麻酔を使うのが難しい
- 前立腺の大きさや排尿の状態(前立腺がんの場合)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱、強い痛み、止まらない出血がある
- 尿がまったく出ない
- 治療した部分の腫れや赤みがどんどん増している
定期受診を予約すべき場合:
- 治療の前に気になることや不安があるとき
- 治療後の経過で、排尿・排便・性生活の変化が気になるとき
- 気持ちの落ち込みや不安が続くとき
- 仕事や生活の予定をどう調整するか相談したいとき
診断
小線源治療そのものを診断するのではなく、まず「どんながんで、どの治療が合うか」を調べます。問診、診察、血液検査、画像検査、必要なら組織を採る検査(生検)を行い、治療チームで話し合って方針を決めます。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察(これまでの病気、飲んでいる薬、アレルギーの確認)
- 血液検査・尿検査
- 画像検査(CT、MRI、超音波など)
- 生検(組織の一部を採って調べる検査)
- 心電図や呼吸機能の検査(麻酔を使う場合)
- 妊娠の可能性の確認
診察で予想されること
治療の前に、担当医から治療の流れ、入院の期間、起こりうる副作用について説明があります。麻酔を使うことが多いので、前日からの食事の制限などを指示されることがあります。治療中は、痛みや不快感がないかを看護師がそばで確認します。
治療
小線源治療は、線源を体の中に置いて放射線をあてる治療です。大きく2つのタイプがあります。ひとつは、治療の間だけ細い管(カテーテル)や針を入れて線源を出し入れし、終わったら抜く方法(高線量率)。もうひとつは、小さなカプセルを体内に残して、少しずつ放射線を出す方法(低線量率)です。どちらも、がんの種類や大きさに合わせて選ばれ、外からあてる放射線治療と組み合わせることもあります。
自宅でのセルフケア
- 治療後は、指示された期間、入浴やプールを控える(穿刺した部分の感染を防ぐため)
- 穿刺した部分を清潔に保ち、赤み・腫れ・膿みがないか毎日見る
- 水分をこまめにとり、排尿しやすくする
- 性生活をいつから再開してよいか、担当医に確認する(前立腺がんでは特に大切です)
- 無理のない範囲で体を動かし、疲れたらしっかり休む
- 飲んでいる薬やサプリメントは、自己判断でやめたり始めたりしない
医療治療
治療の方法は、がんの種類と広がりによって決まります。小線源治療のほかに、外照射、手術、薬物療法などを組み合わせることがあります。治療中に出る症状(痛み、吐き気、排尿の不快感など)には、症状をやわらげるための対応を行います。具体的な薬の種類や量については、担当医や薬剤師に確認してください。
手術が検討される場合
前立腺がんなどでは、手術で前立腺を取る方法と小線源治療のどちらかを選ぶことがあります。それぞれに長所と短所があり、年齢、持病、生活の希望をふまえて話し合います。
この病気と共に生きる
治療直後は疲れやすかったり、排尿の変化が出たりしますが、多くは少しずつ落ち着きます。通院の予定を手帳に書き、体調の変化をメモしておくと、診察のときに伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙(治療中の負担を減らし、回復を助けます)
- 飲酒は控えめにする
- 十分な睡眠と休息をとる
- 感染予防のため、手洗いを丁寧に行う
- 治療のあいだの入浴・運動・性生活の制限は、必ず指示に従う
食事と運動
バランスのよい食事を、無理なく続けることが大切です。水分はこまめにとりましょう。運動は散歩などの軽いものから始め、痛みや強い疲れがあれば休んでください。激しい運動を再開してよいかは、担当医に相談しましょう。
精神的健康と心の健康
「放射線」と聞くと不安になる方は少なくありません。治療のスケジュールへの心配、体の変化への戸惑いなど、気持ちが揺れるのは自然なことです。眠れない、気分が晴れない状態が続くときは、ひとりで抱え込まずに医療者に話してください。
予防
小線源治療は治療法なので、それ自体を「予防する」という考え方はありません。ただし、治療の対象になるがんの多くは、生活習慣や検診によってリスクを下げることができます。禁煙、節酒、バランスのよい食事、適正体重を保つことが役立ちます。
ワクチン
子宮頸がんの多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが関係しています。日本ではHPVワクチンが定期接種の対象になっています。対象年齢や接種の時期は自治体によって案内が異なるので、お住まいの自治体の案内やかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
日本では自治体によるがん検診(子宮頸がん、乳がん、大腸がんなど)が行われています。前立腺がんではPSA検査が使われることがあります。対象年齢や受診の方法は、お住まいの自治体の案内を確認しましょう。
合併症
治療しない場合
- 治療をしない場合、がんが大きくなったり、広がったりする可能性があります
- 副作用(排尿のトラブル、下痢、皮膚のトラブルなど)をそのままにすると、つらさが長引いたり、脱水や感染につながったりすることがあります
- 不安や睡眠不足が続くと、回復にも影響することがあります
長期的な見通し
小線源治療は、多くの方に使われてきた治療法で、がんを抑える効果が期待できます。副作用の多くは一時的で、時間とともに軽くなることが多いです。経過には個人差があるので、気になることは担当医と共有しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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