HIFU(高密度焦点式超音波)治療
概要
HIFU(高密度焦点式超音波)は、体の外から強い超音波を当てて、体の中の決まった場所だけを熱で治療する方法です。超音波は、虫めがねで日光を一点に集めるように、ピンポイントに集めることができます。集まった場所だけが高温になり、その部分の組織を固めて治療します。メスで体を切る必要がないため、体への負担を抑えたいときに選ばれる方法のひとつです。HIFUは病気の名前ではなく「治療の方法」の名前です。前立腺(男性だけにある、尿の通り道の近くにある臓器)の病気、子宮筋腫(子宮にできる良性のこぶ)、手のふるえ(本態性振戦)などで、治療の選択肢になります。
重要な事実
- 体を切らずに行える治療法のひとつで、入院期間が短くてすむ場合があります。
- すべての病気・すべての人に使えるわけではなく、病気の種類や大きさ、体の状態によって向き不向きがあります。
- 効果や副作用、他の治療との違いについては、担当の医師とよく相談して決めることが大切です。
HIFUは比較的新しい治療法で、行われている地域や病院によって差があります。保険がきく診療として行われる場合と、保険がきかない自由診療として行われる場合があり、実際に受けられるかどうかは病院によって異なります。
症状
- 治療後に高熱が続き、寒気が止まらない
- 胸の痛み、息苦しさ、意識がぼんやりする
- 大量の出血、止まらない血尿や血便
- 強い痛みで動けない、おなかが硬く張っている
- ⚠尿が出ない、ほとんど出ない(治療後に起こることがある合併症のひとつです)
- ⚠38度以上の発熱
- ⚠治療した部分の腫れ、赤み、膿のようなものが出る
- ⚠痛みが日に日に強くなる
一般的な症状
- 前立腺の病気:尿の出が悪い、夜中に何度もトイレに起きる、排尿に力がいる、尿が近い
- 子宮筋腫:月経の量が多い、月経痛が強い、おなかが張る、頻尿、腰のだるさ
- 手のふるえ(本態性振戦):字を書く、コップを持つ、箸を使うなどの動作のときに手がふるえる
- いずれも症状の出方には個人差があり、病気があっても症状がほとんどないこともあります。
子供の症状
- HIFUは主に大人の治療法で、小児に対して行われることは一般的ではありません。
- 子どもの病気が疑われるときは、小児科の医師に相談してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では、体への負担が少ない治療を希望されることがあります。
- 持病や服用中の薬、認知機能の状態などによって、HIFUが向いているかどうかの判断が変わります。年齢だけで決めず、総合的に相談しましょう。
- 治療後の尿のトラブルなどが出やすい場合もあるため、事前の説明をよく聞いておきましょう。
原因
主な原因
- HIFUは治療の方法なので、「HIFUの原因」というものはありません。HIFUが検討されるのは、前立腺の病気、子宮筋腫、手のふるえなどで、他の治療では十分な効果が得にくい場合や、体への負担を抑えたい場合です。
- 前立腺の病気は、加齢や男性ホルモンなどが関係すると考えられています。
- 子宮筋腫は、女性ホルモン(エストロゲン)の影響で大きくなることが多いとされています。
- 手のふるえ(本態性振戦)は、遺伝や加齢が関係すると考えられています。
リスク要因
- 喫煙、糖尿病、肥満などがあると、傷の治りが遅くなることがあります。
- 血液を固まりにくくする薬を使っている場合は、事前に必ず医師に伝えてください。
- 治療する部分の大きさや形、これまでの治療歴によっては、HIFUが適さないことがあります。
- 尿路の感染症があるときは、先に治療が必要になることがあります。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿が出ない、ほとんど出ない状態が続く
- 38度以上の発熱や、寒気をともなう熱がある
- 胸の痛み、息苦しさ、意識がぼんやりするなど緊急性が高いと感じたら、ためらわずに119番へ連絡してください。
- 出血が多く、止まらない
定期受診を予約すべき場合:
- 尿の出が悪い、夜中に何度もトイレに起きるなどの症状が続く
- 月経の量が多い、月経痛が強い状態が数か月続く
- 手のふるえが生活に支障を与えはじめた
- HIFUを考えている、あるいは他の治療と迷っている
診断
HIFUは「受けたい」と思えばすぐ受けられるものではなく、まず本当に適しているかを調べます。問診と診察、画像検査、血液検査などを行い、病気の種類・大きさ・位置、そして体の状態を確認します。検査の内容は病気によって変わります。
行われる可能性のある検査
- MRI検査(強い磁石の力で体の断面を写す画像検査)
- 超音波検査(エコー)
- CT検査
- 血液検査(前立腺の場合はPSA検査を含むことがあります)
- 組織を少し採って調べる検査(生検)
- 心電図や麻酔の相談(治療中の痛み止めや鎮静の準備のため)
診察で予想されること
治療が決まったら、医師から効果と副作用、他の治療との違いについて説明があります。よく理解したうえで同意します。治療前日は食事の制限をお願いされることがあり、治療当日は日帰りか短期の入院で行われることが多いです。治療中は尿の通り道に細い管(カテーテル)を入れることがあります。治療後はしばらく経過を見て、尿の状態や痛みなどを確認します。
治療
HIFUでは、画像で位置を確認しながら、超音波を病気の部分に集めて熱で治療します。治療する範囲や回数は、病気の種類や大きさによって変わります。痛みをやわらげるために、鎮静や麻酔が使われることがあります。
自宅でのセルフケア
- 治療後は、医師から指示された水分のとり方やトイレの回数を守りましょう。
- 発熱、痛み、尿の出にくさなど、気になる変化は早めに医療機関へ伝えてください。
- 治療後しばらくは激しい運動や長時間の入浴を控え、体を休める時間を作りましょう。
- 処方された薬は自己判断で中止せず、疑問は薬剤師や医師に相談してください。
医療治療
治療の方法はHIFUだけではありません。病気の種類や進行に応じて、薬で症状や病気の進み方を抑える治療、手術、放射線を使う治療、すぐには治療せず定期的に経過を見ていく方法などが選ばれます。どの方法が合うかは、年齢、持病、生活の状況、そして本人が何を大切にしたいかによって変わります。担当の医師と一緒に比べて決めていきましょう。
手術が検討される場合
HIFUでは十分な効果が見込めない場合や、病気の範囲が広い場合、尿の通り道に問題がある場合などは、通常の手術や他の治療が選ばれることがあります。治療の途中で方針を変えることもあります。
この病気と共に生きる
治療後は、尿の状態や痛みの変化を記録しておくと、診察のときに役立ちます。日常生活は、体調を見ながら少しずつ元のペースに戻していきましょう。通院の予定はあらかじめ手帳やカレンダーに書いておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がけましょう。禁煙は治りを助け、他の病気の予防にもつながります。
- 適正な体重を保つことは、体への負担を減らす助けになります。
- 水分をこまめにとり、トイレを我慢しすぎないようにしましょう。
- 睡眠と休息を十分にとり、体調の変化に気づけるようにしましょう。
食事と運動
バランスのよい食事を基本に、塩分や脂っこいものを控えめにするとよいでしょう。運動は、ウォーキングなど無理のないものから始め、治療後は医師の指示に従って少しずつ再開してください。
精神的健康と心の健康
治療を受けるかどうかを決めるだけでも、気持ちの負担は大きいものです。不安や迷いがあって当然です。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに話してみてください。つらい気持ちが続くときは、医療機関の相談窓口や、地域のこころの相談窓口を利用することもできます。
予防
HIFUは治療の方法なので、それ自体を予防するという考え方はありません。大切なのは、対象となる病気を早く見つけ、生活習慣を整えることです。禁煙、適正体重の維持、バランスのよい食事、十分な睡眠が基本になります。
検診プログラム
対象となる病気によって、大切な検診は変わります。前立腺の場合は自治体や職場の健診に加えて血液検査(PSA検査)を相談できます。子宮筋腫など婦人科の病気は婦人科健診で見つかることがあります。厚生労働省や自治体のがん検診の案内も参考に、かかりつけ医に相談してみてください。
合併症
治療しない場合
- HIFUを受けないこと自体が問題なのではありません。大切なのは、対象となる病気を放置した場合の影響です。
- 前立腺の病気では、尿が出にくくなる、何度もトイレに起きるなど、生活の質が下がることがあります。
- 子宮筋腫では、月経の量が多くなって貧血になったり、痛みが続いたりすることがあります。
- 手のふるえでは、字が書きにくい、食事がしにくいなど、日常の動作が難しくなることがあります。
- 病気の種類によっては、時間がたつと治療の選択肢が限られてくる場合もあります。
長期的な見通し
HIFUは、体への負担を抑えながら治療できる方法のひとつとして、選択肢が広がってきました。向いているかどうかは人によって異なりますが、他の治療も含めて比べながら、自分に合った方法を選んでいくことができます。定期的な通院と相談を続けることが、安心につながります。
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最終更新: 2026年11月3日
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